とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

祝婚歌/吉野弘

2014-12-08 20:43:50 | いろいろ
しばらく前のある集まりの時に、ラン友のIさんが、詩を朗読してくれた。その内容がとても良く心に残っていたが、日々の雑事で記憶の片隅に追いやられていた。しかし、最近その詩の話を再び聞く機会があり、改めてどんな詩だったか確認してみた。

題名は、「祝婚歌」といい、詩人の吉野弘さん(2014年1月没)の作品だ。結婚する姪に送った詩で、夫婦が仲睦まじくあるための心構えを綴った詩だという。改めて詩を良く読んでみたが、読めば読むほどいい事が書かれていると思えてきた。この詩は、結婚式のスピーチでも良く引用されるようで知っている人は、結構いるのかもしれない。結婚する人たちには、是非この詩を知ってもらいたいと思うが、夫婦間だけの話ではなく、友人や家族、会社、社会全般においてもあてはまると思える。

そんな訳で、多くの人にこの詩を知ってもらいたく詩の全文を掲載する。幸い、著作権について吉野さんは「祝婚歌」を「民謡みたいなものだ」として、自由に使っていいとされ問題はないようだ。


『祝 婚 歌』  吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい

そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい