とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画「プラチナデータ」

2013-04-01 22:03:54 | 映画
プラチナデータ  予告編


チェック:さまざまな作品が映画化されている東野圭吾の小説を、『ハゲタカ』『るろうに剣心』の大友啓史監督が映画化したサスペンス。DNAデータを基に犯罪捜査が行われる近未来を舞台に、自らが携わるDNA解析捜査で連続殺人事件の容疑者となってしまった科学者の逃亡劇を描く。天才科学者から逃亡者へと転落する主人公には、嵐の二宮和也。彼を執拗(しつよう)に追跡するベテラン刑事に豊川悦司がふんするほか、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏ら多彩なキャスト陣がそろった。(シネマトゥデイより)

ストーリー:政府が極秘に収集した国民の遺伝子情報“プラチナデータ”を基に犯罪捜査が行われ、検挙率は驚異の100パーセントで、冤罪(えんざい)は皆無となった近未来の日本。警察庁の科学捜査機関に所属する科学者の神楽龍平(二宮和也)は、DNA捜査システム関係者の連続殺人事件を担当することに。しかし、同システムは神楽自身を容疑者として示し、思考を繰り広げた結果彼は逃亡するが……。(シネマトゥデイより)

キャスト
・神楽龍平/リュウ - 二宮和也(嵐)
・水上江利子 - 鈴木保奈美
・志賀孝志 - 生瀬勝久
・白鳥里沙 - 杏
・蓼科早樹 - 水原希子
・浅間玲司 - 豊川悦司


東野圭吾原作の映画化という事で、早速見に行ってきた。原作は、新刊で出た当初、珍しく購入までして読んでいる。内容は分かっているので、映画化でどんな味付けになったかという興味で見たかった作品だ。感想としては、可もなく不可もなくといったところだった。まあ、だいたい原作通りに作られていたようだが、違うといったら犯人の設定が女になっていたところか。また映画化ということで、原作から削られている描写も多く、サスペンスというよりアクションに重きを置いたような展開だった。

キャストについて一言いうと、主役の二宮和也は、演技力があってアイドルグループのメンバーにしてはいい俳優さんだと思う。しかし、このドラマでの天才科学者と芸術家の二重人格を持つ役柄は、今一つピンとこなかった。そして、原作では男性だった遺伝子研究で世界的な医師である水上教授を演じたのが、鈴木保奈美である。最初、誰だかわからず気になっていたのだが、エンドクレジットで彼女だったと分かり意外な感じがした。二人とも、天才科学者や高名な医師にはとても見えない。この映画のキャラクターには、ミスキャストとしか思えない。見終わってからの昂揚感みたいなものがなかったのは、そんな事だったのかもしれない。

存在感があったのは、刑事役の豊川悦司だ。執拗に主人公を追い詰める姿は、映画「逃亡者」でトミー・リー・ジョーンズの演じた刑事を彷彿させる。トヨエツならではの渋さが光っていたといえる。また、自閉症で天才数学者の蓼科早樹を演じた水原希子も良かった。ほとんどセリフがなく、冒頭で殺されてしまうので出番は少ないのだが、ミステリアスな少女の雰囲気がよく出ていた。それにしても、白鳥里沙役の杏が、あっけなく殺されてしまったのは残念だった。

この映画で一番感じたことは、近未来において国民一人一人のDNAが国に登録され、監視カメラで管理されてしまう社会になってしまうことの恐ろしさだ。DNAで人間の性格や行動、体型、顔が全て決まってしまうというのは、ちょっとありえないような気がするが、いきつくところまで科学が進んでしまうと、あり得るのかなとも思ってしまう。原作が書かれたのはかなり前なので、その当時からDNAについての先見の明があったということでは、さすが東野圭吾は凄いと思う。小説や映画の中だけに存在する話では無く、国家権力が先端科学を都合のいいようにねつ造し操る日が来るかも知れないという警鐘を与える映画だといえる。どんな完璧なシステムだとしても、そのシステムを作ったのが人間である以上、人為的なものが入ってしまえば、信用できないものになってしまうのは当然である。