藤田展

久しぶりに中合に
出かけたので、
美術サロンによって
藤田嗣治展を鑑賞してきた。

そしたら、主催者の画商が
しきりに「買え買え」と
くっついてくるので
「90万もするものを
おいそれとは買えないよ」
といなした。

中には、切手サイズで
4万という木版画もあったので、
ボンビーな身の上でも
月1万のローンで買えないことも
なかったが、特に魅かれるものでも
なかったので、衝動買いせずには
澄んだ。

7階のギャラリーに来るたびに、
24才の講師時代のとき、
高校の教員採用試験が
絶望的に狭き門だったので、
一時の気の迷いで
画商になろうかと
採用試験の面接に来たことを思い出す。

その際、面接してくれた人がいい人で、
「あなたは今、先生って言われてるけど、
画商になったら、今度は、先生って言わなきゃ
ならないんですよ」
という言葉が妙に心に響いて、
「考え直したら、どうですか…」
という親切な申し出に
納得してしまった。

そしたら、その年に
新設されたばかりの
金光大阪高校の
生物教員に採用されたので、
アドバイスして下さった
ギャラリーの方には
恩を感じている。