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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

"三の関係"で、上司に上手に諫言する

2015-01-22 22:53:24 | Weblog

 

 以前掛川にいたときに、東京で行われた出向者の会議で、仲の良かった助役仲間から声を掛けられました。

 話題は、『市長の判断に対して反対意見をいかに上手に伝えるか』ということ。

「それって市長さんの考え方が正しくないと思っているわけ?」
「いや、我々も答えには迷っている。だからもっと周辺にある色々な要素や環境条件を市長に正しく伝えて、皆で徹底的に意見交換をして方向性を確認したいと思っているんだ。でもなにしろ忙しいのでなかなか長い時間は取れないし、市長もあちこちとの関係の中で約束しちゃっているようなところがあって、考えを改めるのも難しい。でも本当にそのままでいいのか、ということを僕を始め部下の局長以下に自信がないんだ」

「ははあ、なるほど」
「仮にも市長は選挙で選ばれたリーダーで最終意思決定者だろう?部下から、『市長の言うAプランよりもBプランの方が良いと思います』と言われても、最後の最後には、『じゃあ君たちはBプランで失敗したときに責任が取れるのか? 僕は選挙で信任を仰ぐことになるが君たちは責任を取れないだろう』ということになる。
 確かに選挙での責任は取れないけれど、じゃあ市長が決めたんだからなにも考えなくて良いか、というともちろんそうではない。
 市長を支えてわがまちのためになる判断をして欲しいと人一倍思うから、違う側面からの視点や情報を与えて再度市長の判断を仰ぎたい。そこの意思疎通がどうもうまく行かないんだ。掛川ではそういうことはないかい?」

 なるほど、上司に対して相手の気分を害さずに周辺情報を提供して判断材料にしてもらうかということは、案外難しいものです。


「掛川では、市長が考えを述べたら部長以上の幹部会議で皆で意見を言い合いますよ。番頭さんみたいな収入役なんかはたまに市長に対して『市長、それはやっちゃいかんよ!』と語気を荒げて意見することもありますね。

 その会議の場では皆が対等で、メンバー同士が賛成反対の意見で対立して言い合いになったりすることもあります。そんなとき市長はいつもニコニコしながら嬉しそうに議論を見守っています。
 その意見の言い合いから、自分の考えに合致する単語や考えを見つけ出すと、次の挨拶の時なんかはすぐにそれを使ったりして、常に自分の考えをバージョンアップさせるんです。良いアイディアは常に取り入れるという意識が高いです。

 『責任は僕が取る』というような言い方はしませんが、そういう覚悟はやはり持っていると思います。夜中に二人きりで話し合ったときには、『最終意思決定者というのはもうこれ以上誰かのせいにはできないから孤独だよ。いつもこれでいいのかなあ、と悩んで迷っているからねえ』とぽつりと言っていましたから」

「そうか、掛川では意見はちゃんと聞いてくれるんだなあ」


        ◆   


 その会話が印象的だったので、その話を後に友人に話したところ、友人は膝を打って、「小松さん、それこそ"三の関係"ですよ」と言われました。

「直接相手をやり込めようと思うと、相対の"二の関係"になるでしょう?これだと勝った負けたという印象がしこりになって残ってしまうんです。日本人は相対での勝負事が好きですが、関係性を上手に保つためには"三の関係"を理解しておくと良いですよ」

「うーん、で実際こういう場合に三の関係でどうしたらよいのですか?」

「相手の目の前で第三者である二人が意見を言い合って喧嘩をするというのはどうですか。一人は市長の味方、一人はそれに対する反対意見でディベートをするんです。市長さんには意見は言わせずに両者のやりとりを見てもらうことですね」

「そんなんでうまくいきますかねえ」

「直接的に物を言って感情的になることはないんじゃないですか。まあいずれにしても、直接説得するよりも第三者的な立場に置いたところで議論を聞いてもらって本人自身が何かを感じるように導きかたの方が良いと思いますよ」


 人を説得するというよりも、異なる意見を言うのも難しい場面ってありますね。

 いざというときに相手に嫌なことを言っても許されるような関係を、普段から作っておくことの方が大切ではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

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「沈みゆく大国アメリカ」を読む~医療をビジネスにしたら

2015-01-21 23:24:38 | Weblog

 たとえ話を一つ。

「私のもってきた器の説明をいたしましょう。全体が鉄でできていてこれを組み合わせて作られています。鉄はとても強い素材ですが錆びに弱い。そしてそれを補うために鉄にはメッキが施されています」

 ある画期的な器の説明が始まった。

「光り輝く銀色のメッキのお陰で材料が錆びることはまずなくて、一度買えばほぼ一生使えると言っても良いでしょう。素材は細い繊維を組み合わせて作られているので丈夫で軽量。ちょっとした衝撃で壊れることはありませんし、大きいサイズでも持ったり使ったりするのに苦労はないのです」

「まだ重たい木製の桶を使っているのでは重たくて大変でしょう?それにタガが緩んだら締め直したりするメンテナンスが大変ですね。落とせば壊れるし、使っているうちに腐れが入ったりすると衛生上も問題ですね。これからもまだそれを使い続けますか?どうぞ私の提供するこの光り輝く軽量の器と交換してはいかがですか?クーリングオフはありませんが、今の道具に不満のある方はぜひこれをどうぞ」

 そのセールスマンの説明は、確かに今持っているものの欠点を指摘し、新しい器の素晴らしいところばかりを説明してくれた。

 細かいところも説明してくれたが現物は今はないという。ただ話を聞くだけでも、軽くて丈夫でいつまでも壊れない、子供でも使えると聞いてワクワクしてきた。

 これこそ未来の器だと信じて、私はたった一つ持っていた水汲み桶を新しい器と交換することに決めてそれを相手にくれてやった。

 そして後日、約束通りそのセールスマンから代わりに届いた丈夫で軽い器とは…ザルだった…。

  
 一つの例え話ですが、これを読んで  
 そんなバカな話はあるまい。確かに宣伝文句に嘘は言っていないかも知れないが、それがちゃんと役に立つかどうかを見極めない方もどうかしている。騙す方も悪いがつまりは騙される方も悪い。まあ騙す方は確信的な詐欺だろうけど。


         ◆  


 堤未菓著「沈みゆく大国アメリカ」という本を読んだ完走はそんなところ。

 オバマ大統領が通したアメリカの医療保険改革制度はオバマケアと呼ばれ、彼の代表的な政策の一つとなっています。

 リベラルを旗印にして弱者への配慮を求める民主党を支持者や、それまで医療保険に入れずにいた多くの低所得者・貧困層はオバマケアを支持し、それに警鐘を鳴らす共和党系の議員らの声をかきけすためのロビー活動を重ねてきました。

 オバマ大統領が2010年3月に、共和党を始めとする強い反対勢力を押し切って、「医療保険制度改革法」に署名したことによって、アメリカの医療制度は大きな改革を成し遂げるはずでした。

 アメリカの医療保険制度を批判するドキュメンタリー風映画「シッコ(Sicco)」を作ったマイケル・ムーア監督も、『国民に義務を押しつけるオバマケアは憲法違反だ』という訴訟に最高裁が合憲の判断を下したときに、祝福のメッセージを送ったといいます。オバマケアに明るいアメリカの未来を見、期待した人は多かったのです。


        ◆   

 医療改革の主立った改革点といえば、

①アメリカでは医療保険加入は国民の義務となり、違反者は罰金を支払わねばならない
②週30時間以上働く従業員が50人以上の企業はオバマケアの条件を満たす保険を提供する義務を負う

③企業保険がない人は、政府が設立した保険販売所(エクスチェインジといわれる)で保険を買う
④低所得者層はメディケイドと呼ばれる、自己負担ゼロの公的医療に加入する

 …などで、弱者に配慮し、無保険者は必ず保険に入ることができ、医療保険の財源は金持ちや企業が負担をするという触れ込みの制度がスタートしたのです。

 
 この著書では、オバマ大統領がオバマケアを導入するときの発現を引用して、その言葉が現在どのように社会を変えたのかを、アメリカ国内各地の各階層のルポルタージュとして紹介し、この制度がいかにアメリカの中流層を破壊し、善良な労働者を医療による破産者に導くことになるかを鋭く書いています。

 たとえば、上記②が制度化されたことで、経営者側は労働者の労働時間を週に29時間以下にしました。これによって多くの労働者の収入が減りました。制度の逆作用です。

 医師はオバマケアで治療した代金を保険会社に請求しますが、複雑な規定に反すると治療代がもらえなかったり、そもそも低い料率の保険で治療すると治療費が医者に全額は払われないように保険会社が支払いを操作します。

 医療費をもらおうと思ったら、オバマケアで猛烈に複雑化した書類を作成しなくてなりませんが、そんな余裕は病院にはないのだそう。
 まさに保険会社が支配者となった医療ビジネスの渦に飲み込まれようとしています。

 それに嫌気が差した医者は、オバマケアのネットワークに入らないという選択をし、どんどん逃げ出しています。結果としてオバマケアで医療を受けようにも地域にそれを使える医者が、とくに地域にかかりつけの医者がいないという状況を巻き起こしています。

 オバマ大統領が医療改革に当たって述べた夢のような言葉は、そこで述べていないそれ以外のところで改悪が進み、低所得者は相も変わらず医療から遠ざかり、中流は負担にあえぎ、医師は疲弊しています。

「その陰で儲かっているのは、政治に多額の献金をしてきた保険会社と製薬会社なのです。オバマケア後の株価を見れば一目瞭然でしょう」という医療関係者の言葉が本質をついているようです。

 どこかで見た構図…?これってリーマンショックの前の状況なんじゃないか?というのが著者の見立て。

 そしてこの構図が次に狙っているのが日本の医療なのではないか?TPPによって日本が開放させられる分野の中にこのオバマケアの様な医療ビジネスはないのか?
 国民皆保険制度という日本の優れた制度が、効率化と緊縮財政の名のもとに医療の民間開放によってガタガタにされる危険性はないのか?


 知らないということは恐ろしいことで、知らないままの淡い期待はときには害毒だということをよく考えなくてはなりません。

 この本には、ここまでのオバマケアによる社会システムの破壊を受けたその後の抵抗を描く続編があるそうですが、まずはこの本をご一読されることをお勧めします。

 アメリカ、本当に大丈夫なのか?

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37年目の歯医者さん

2015-01-20 21:42:48 | Weblog

 奥歯の詰め物が取れてしまったために、約一年ぶりに歯医者さんへ行きました。

 札幌に住んでいるときは必ずここにかかるという歯医者さんですが、初めてここにかかったのは大学浪人をしていた19歳の時で、もう37年のお付き合い。

 行ってから知ったのが、こちらは当時から先進的な治療をすることで有名な歯医者さんだったということで、遠くは稚内からも通っている患者さんがいました。

 今では巷に歯医者さんが増えましたが、こちらは予約がずっと詰まっていて治療の予約は一週間待たされました。

 こちらは先生の息子さんも歯医者になり二人で治療に当たっていますが、相変わらず人気が高くて嬉しいです。

 今日も担当はいつものお父さん先生がやってきました。

「お、小松さん、お久しぶり」
「どうもご無沙汰しております」

「今日は…んー、詰め物が取れましたか。じゃ診ましょう」

 歯の詰め物は、時間が経つと本来の歯との接触面が痛んで接合が怪しくなってきます。

 治療方針の確認のために別室に移り、治療前に撮った写真を見せてもらうとやはり痛んだところが多く、「こういうところを削って詰め直すからね」と教えてくれました。


「ところで先生はお幾つになられたんですか?19歳からお世話になって、若い先生だなあと思いましたが」
「ふふ、小松さんより20歳くらい先輩かな」

「じゃあ75歳を超えられたんですか。まだまだお元気ですね。最初にかかった当時に、先生が『歯医者は根を詰めるから総じて短命だよ』と言っていたのを今でも覚えているのですが、先生はお元気ですね(笑)」
「いやあ、本当に基本は短命だと思うよ。同期でももう二割はこの世にいないしね」

「先生のところは診て欲しい患者さんも多いですから簡単には引退できませんね」
「まあ、もう少しはやろうと思うけど、時期は近いね」

「先生に治療してもらったこの歯なんか、『何年持ちますか』と訊いたときに『うーん、もって十年かなあ』と言われたんですが、37年ももっていますよ」
「それは相性が良かったね。大事にしてください」

 最近は歯そのものの治療もさることながら、歯茎全体が歯周病にかかるとその毒が全身に悪さをするというようなことも分かってきたそうです。

 歯も体の一部です。歯は黙って様子を見ているだけでは治らないので勇気を出して早めに治療することをお勧めします。

 

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"絶対積極性"っていいと思います

2015-01-19 22:40:51 | Weblog

 石田勝紀さんという方の『学業不振の子に教えたい、"絶対積極"の力』という文章を読みました。

 約25年にわたって学習塾を運営して多くの子供を指導し成績向上に導いてきた石田さんは、「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。

 今回は、どんな出来事も、「自分を鍛えるための経験だ」と思うことができれば、人生に前向きになれるという「絶対積極の力」について、熱く語られています。

 どんな出来事もネガティブにとらえるか、ポジティブにとらえるかで考え方も、その後の人生も変わるに違いありません。

 

【学業不振の子に教えたい、"絶対積極"の力】http://toyokeizai.net/articles/-/56777

 … 多くの子どもたちは、間違えることをとにかくおそれています。間違えると怒られるからか、自信を喪失することをおそれているのか、それとも小さい頃から間違えることは悪いことだと教えられているからかはわかりません。ですが、多くの大人もそうですから、子どもがそう思うのも無理もありません。

 しかし、一見、マイナスと思われることが実はプラスのことであるということを知るのは大事なことです。これを私は「絶対積極」と言っています。私が教育するときに最も重視している考え方です。この「絶対」という言葉が重要なのです。

私たちは日常において、いいことがあるとラッキーだったと思います。一方、嫌なことがあればツイていないと思います。ラッキーなときは積極的な心になれますが、アンラッキーなことがあると心が沈み、消極的、否定的になります。このような積極的な状態は消極的と比較して積極なので、これを相対的積極状態と言います(相対とは比較的にという意味です)。

しかし、私が言う絶対積極状態とは、いいことがあってもラッキーであり、悪いことがあってもラッキーだという最強マインドの状態なのです。


 … 中略 …


 大切なことは原因分析であり、よくても分析、悪くても分析です。子どもがまだ小さければ子どもと一緒に行い、そうでなければ、原因分析という思考方法を教えて子ども自身でやらせることです。そうすると、点数による一喜一憂ではなく、問題点の解決という積極的視点に焦点が移動します。視点が移動すれば心がブレずに、前向きになっていきます。

 絶対積極という考え方は、勉強のときのみならず、人生においても有効的な考え方です。勉強においても、人生においてもトラブルは付きものであり、順調にばかり進むわけがありません。必ず障害物がやってきます。そのときにいちいち反応して、心をアップダウンさせても意味がありません。まして、親がいつも振り回されていると、子どもは親の反応に敏感なので、すぐブレていきます。

 トラブルが起きたら、「よしやっと来たか。これでまた成長できる!」と思って、さっさと解決させていきます。心がこのように前を向いていると、トラブルをマイナスに感じるレベルが軽減されていくのです。このような心の状態を、日常生活の些細な出来事で習慣化させていくと、勉強のときでも絶対積極という最強マインドが当たり前になっていきます。

 子どもの心を絶対積極化させることを通じて、親も同時に、この最強マインドを身に付けてみてください。様々な場面で大きな効果が出るはずです。

 
       ◆   ◆   ◆


 どんな出来事も、前向きに考える人の前では人生の糧になりますし、ネガティブに考える人には人生を暗くする原因になってしまいます。

 要は心の持ち方ひとつと言うこと。で、それは自分の意思で何とでもなるではありませんか。

 どうぞ元の記事を読んで元気を出してください。

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道民・国民の教養として~千島列島と日露のこと

2015-01-18 21:27:18 | Weblog

 

 北方領土である千島列島について、ロシアとの関係史という視点でずっと興味を持っています。

 これについては、以前に渡辺京二著『黒船前夜』という大変面白い本をご紹介しました。

【「黒船前夜」レビュー】
 2011.08.31付『北の心の開拓記』ブログ

 渡辺京二さんは、浦賀にペリー率いる四隻の黒船がやってきて日本が開国したことをもじって、それ以前に北方領土を舞台とする日露の緊迫した開国直前の物語があったということを"黒船前夜"という表現で表しました。

 渡辺さんは、この時代を「アイヌを巡る日露の関係の中で、アイヌの人たちを取り込もうとするやり取りだった」と言っていますが、まさにアイヌの人たちから見れば民族が翻弄された歴史でもあったわけです。

 道民としては是非読んで欲しい一冊ですが、それに加えて今回は北海道大学の秋月俊幸先生が著された『千島列島をめぐる日本とロシア』をご紹介します。

 秋月先生は日露関係史・日本北辺史が御専門の方で多くの学術書も出されていますが、今回はその広大な世界を一般読者向けに極めて分かりやすく書き下ろされた日ロ関係の通史と呼べる一冊となりました。

 元々ロシアも日本も、千島列島は良質で希少なラッコの毛皮が獲れる場所として探検や交易をしていましたが、ある程度海を渡る航海術や船の技術が進歩しても、地図を作る技術がなかなか確立しませんでした。

 特にこのオホーツク海域はよく霧が立ち込めたり陸域から遠く離れているために正確な地図ができず、地図ができたのは世界各地の中でも遅い方でした。

 また厳しい寒冷の気候や補給の難しさによって、アイヌの人たちの支援を借りなければ満足に生活することは難しかった地域です。
 
 だから基本的にはアイヌの人たちをどう取り込むか、ということに腐心しながら活動できる地域の拡大を狙ってきました。

 秋月先生は、日露関係を「いくつかの衝突はあったもののおおむね良好で、それは両国が互いを尊重しつつ千島列島における勢力範囲を認めていたから」だと言っています。

 第二次大戦によってそれが崩されたまま今日に至っていることは日本にとって極めて残念なことですが、千島列島と本道の関係を考えると、道民としては北方領土の中でも千島列島を巡る日本とロシアとの関係を通史で理解しておくことは一つの重要な教養だと思います。

 北海道にゆかりのある方なら是非興味を持っていただきたいところです。

 私も読んでいてとても参考になりましたが、願わくばもう少し地図をふんだんに入れておいていただくともっと理解が深まるような気がして、その点だけはちょっと残念でした。

 
 いずれにしても、北海道を理解するためには江戸時代に端を発している千島列島をめぐる日露関係史を押さえておくことをお勧めする次第です。

 こういう良い本を読まないでいると、人生はあっという間に過ぎてしまいますよ。 

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孫のお七夜に誓う ~ これからも若者を支えるぞ

2015-01-17 22:28:56 | Weblog

 

 今夜は孫のお七夜のお祝い。

 娘は三日前に退院して、これからややしばらくはわが家へ長逗留して産後の肥立ち、体調の回復に努めます。

 お七夜と言うことで身内が集まってお赤飯や尾頭付きのタイのお刺身などの祝膳を用意しました。

 無事命名も終えて、やっと我が家族への仲間入りと言うところです。

 
       ◆ 


 昨日の若者たちとの懇談会で印象的だったのは、どの人たちも結婚や子育てに前向きだったこと。

 私が「二人目の孫が生まれたんだよ」という言葉に対しては「うらやましいです」という反応が多かったですし、お付き合いをしている彼女とも結婚や交際を真剣に考えていました。

 中には、「実は私、先日入籍をいたしました!」とカミングアウトする者まで現れて、場が大いに盛り上がったのは間違いありません。

 しかしながら、結婚のタイミングや仕事で一人前になってからじゃないといけないのじゃないか、といった思い込みや不安があって、どう決断したらよいか、ということへの迷いが伺えます。

 さらには国家公務員となるともちろん転勤がつきまとうわけで、そのことへの不安や迷いも決断に影を差しています。

 振り返ってみると、我々は職員研修などで、やれ「OJTだ」、「求められる人間像とは」とか、「信頼を得るために」などといった、求められる職業人としてのアドバイスはたくさんするのに、それ以前に「組織として職員が結婚したらどのようにサポートするか」とか、「結婚した相手が働いていたら共働きと仕事は両立するか」とか、「子育てについてどのような配慮がなされるのか」といった、具体的なことに対してはまずアドバイスをすることがないのではないでしょうか。

 おそらく多分いまだに、そのような個別具体的な事例に対して細かな配慮事項が決まっているわけではないでしょう。

 ただ今日、人事を預かる立場の私たちは、子育てや結婚に対しては最大限配慮しなくてはならないな、という制約をひしひしと感じています。女性が「出産・育児休暇を取りたい」というようなときはその他の人事は、無条件でそれを前提とします。

 結婚や子育てなどの人生上の悩みや相談ごとについてはかなり入念に希望を聞き取るようにしています。

 ただ、そうしたことに対して配慮しているというアナウンスが若者に対して十分になされているかと言うとそうではないかもしれません。これはこれから、組織を考える世代が十分念頭に置かなくてはならないことのような気がします。


       ◆ 


 酔った勢いでの私のアドバイスは、「いつ結婚するかなんて悩んじゃダメ。先にまず事実を作ってしまう方が良い。それを前提にして次に仕事や転勤を上司と共に考えるという方が良いと思う」というもの。

「適当じゃないか」と言われるかもしれませんが、中国の古典である"大学"の要諦は、

 "修身斉家治国平天下"と呼ばれるもの。その意味は、

 修身 = 学んでわが身をしっかりと修め
 斉家 = 家をなし(=結婚して子供をつくる)
 治国 = 国を治め(るような仕事をちゃんとして)
 平天下 = (そうすれば)天下は平和になるだろう

 ということです。この順番こそが大切なものの順番なのです。

 だから仕事よりも世間よりも、まずは我が身をしっかりと律し、そして夫婦相和して家庭を築く。その人生上の基盤があるからこそ、良い仕事もできるしその結果としての安定した社会が築けるだろうというのです。

 若者たちよ、安心して結婚し子供を作ってください。

 そこから先は人事担当者の腕の見せ所だし、なによりも、意図しない未来になっても、「それが運命だし人生だ」ということです(笑)。

 そんな絶対的積極性さえあれば、大概の苦労は乗り越えられますからね。

 さあ、若者たちよこれからのあなたたちの時代を年寄りは精一杯支えるぜ!

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若手との勉強会

2015-01-16 23:45:23 | Weblog

 今年採用された職場の若手との自主勉強会を開催しました。

 今年の新人となると年齢は私の次女と同じ。親子ほど年の違う若者たちに対して、自分の経験とそこから得られた私の思いを伝えました。

 私の切り口は、地方自治体から見た国の機関という視点や、地方自治体とどのような関係性をつくれるか、というもの。

「地域に対する敬意はその地に対して関心を持つかどうかだよ」という話をいろいろな事例をあげて話をすると、ある一人が、「そうですか。先輩が『この事務所のあるところに住んだらどうだ』と何度も言っていた意味が初めて分かりました」としみじみつぶやきました。

「その事務所のところには官舎もなくて、(札幌から通うのでもいいかな)と思ってしまいました。先輩のアドバイスにはそういう意味があったんですね。これからのこととして考えます」

 自分が入りたての頃には、父親くらいの職場の上司と会話などしたことがありませんでしたが、求められればこういう機会はいろいろな気づきが与えられるきっかけになるでしょう。

 勉強会の後の飲み会でも大いに盛り上がりましたが、後から加わった女性が釧路でお世話になった方の御嬢さんというサプライズも。

 人生いろいろな出会いを糧にしてお互いに成長したいものです。

 若い人と飲めてこちらも大いにリフレッシュできました。

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私の講演を聴いた人の感想~こりゃ笑った

2015-01-15 22:25:00 | Weblog

 

 今日は土木研究所のショーケースと言う、研究成果の見本市のような会合が開かれました。

 タイムスケジュールの中では、いろいろな研究成果の発表があるのですが、そのなかで特別講演をしてほしいという依頼が私にあって、関わっている仕事の中から「情報化施工」という建設機械を最先端の情報技術でコントロールする取り組みについてお話をしました。

 国が旗振りをする割には、どこか「施工のやり方が指定されているから仕方がない」という風が読み取れるのが情報化施工の現状なので、そのあたりの理由を分析したり、個別の業者さんから聞き取り調査をした結果を報告するというのが主な内容です。

 30分の講演と言うのは時間的にはポンポンと話せば丁度終わるくらいの時間です。

 前半はこの取り組みを取り巻く状況などを説明しましたが、後半はわが開発局で調べた結果の報告。私は自分で腹に落ちて納得できた内容を話すことにしているので、誰かに言わされているということもなく自分の想いを伝えられたと思います。


 全てのプログラムが終わったところで関係者一同が集まって、夜のお疲れさん会がありましたが、その中で友人から「今日の話も上手でしたねえ」と言われました。

「そう?」と聞き返すと、「ええ、私の横にいた人なんか、『文字ばかりのパッとしないパワポの資料だと思ったのに、これで30分びっちり聞かせるんだから大したもんですね』というようなことを言っていましたよ(笑)」と教えてくれました。

 パワポがぱっとしなくても話術で聞かせるという評価をされたというのが何か可笑しくてわたしも笑ってしまいました。

 伝える話に自分自身が共感したり感動していれば伝え方にも心がこもりますよね。ただそれが大事なのです。

 これからも興味深い話題をお伝えしてまいりますとも、はい。

 

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「人物だなあ」と思う人について

2015-01-14 23:01:32 | Weblog

 子供の時に白土三平さんの『忍者武芸帳』という長編時代劇漫画を父が手に入れたのをむさぼるように読みました。

 白土三平さんの漫画は後に『忍風カムイ外伝』がヒットしてテレビアニメにもなったのでこちらの方が有名ですが、『忍者武芸帳』は戦国時代の歴史背景を踏まえながら登場人物一人ひとりに物語があって壮大な時代小説という感じでした。

 子供の未熟な知識では分からない描写や表現なども多かったのですが、最後の方で登場人物が明智光秀を見て「人物だ…」とつぶやくシーンで(なぜ「人物だ…」と言うのか?)ということが分からなかったために印象的だったのを覚えています。

「人間にどうして"人物だ"と言うのだろう?」という子供らしい素朴な疑問でした。

 後に成長して、「人物」に「人格・才能などの優れたひとかどの人」という意味があるということを知って初めてあのときの「人物だ…」というセリフの意味が分かりました。

 しかし「この人は『人物だなあ』と言えて、自分自身がこの単語を使えるようになるのはずっと後のことでした」


【忍者武芸帳】 
 

        ◆   


 先日ある会合で、「年齢を重ねてきたリーダーに課せられることは何か」という話題で盛り上がりました。

 その中であるOBの方が、「私なんかも指揮命令系統でずっと仕事をしてきたけど、それって組織の中だからできる事なんですよね」
「ははあ、なるほど」

「やっぱりリーダーって組織の中で仕事をするときも、いかに部下や仲間の共感と信頼を得て実施できるかということが大事じゃないでしょうか。それに国だって組織そのものが外部の人や自治体などといかに良い関係を作って、共感してもらえるかということが大切じゃないですか」
「いや、よく分かります」

 周囲と上手に関係性を構築して信頼と共感を得られる力、というのは本来年齢に関係なく発揮される方が良い能力ですが、やはり年齢を重ねて付き合いが深い故に構築できている関係性だってあるのです。

 いくら口でうまいことを言っていても、それが実際の行動として出来る人と出来ない人を世間は実は見ています。実践講堂の積み重ねによって初めて人は信頼を勝ち得ることが出来るのです。

 共感を得るためには、こちらも相手に共感をしなくてはなりません。共感も口で「共感します」と言うのではなく、共感を示す実践的行動があります。それは相手に対する関心を持つということ。

 相手が人なら著書を読むとかブログを読むとかですし、相手が自治体だったら、そのまちの歴史を勉強するとか名所や旧跡を巡り、お店に入ってみてまちを味わうということ。

 そこの役に立ってやろうという精神が表に出て行動に表れているかどうか、ということを見ている人は見ています。


        ◆  

 
 そういう行動が取れ、影響力を優しい力で発揮出来て、周りの人が惚れるような人を世の中は「人物だ…」と思うのでしょう。
 
 自分の身の回りのことに関心をもちましょう。まずはそれが最初の一歩です。

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孫の誕生祝い~細く長く生きよ

2015-01-13 22:05:11 | Weblog

 二人目の孫が生まれたということでお祝いは蕎麦打ち。まあ理由はともあれ、蕎麦が食べたかったからなのですが。

 ところで今日は蕎麦打ち道具の話を少々。

 掛川蕎麦研究会時代に持ち歩いて外でのイベント用に使える蕎麦打ちののし台を作りました。

 コンパネを造作して作った大きめの伸し板に工作台を工夫して装着できるようにしたものですが、材料代だけだと一万円もしないので「これは安くて便利だ」と蕎麦打ち仲間のなかで評判になりました。

「真似していいから皆も作ったらいいよ」と言っていたら、蕎麦打ちをするメンバーの中に工作好きの人がいて、私のものを改良したセットを作ってくれました。

 改良点は、伸し板が工作台にがっちりと固定できるようにした事と、蕎麦を打つときに使う打ち粉の引き出しを作ってくれたことですが、この引き出しが実に秀逸なのです。

 蕎麦を打つときには蕎麦の生地の持つ水分が伸し台との滑りを悪くするので打ち粉という粉を振るのですが、これを器にいれて伸し台の上に置いておくと打つときに邪魔になってしまいます。

 その煩わしさを、伸し板の下に打ち粉用の引き出しをつけることで解消したアイディアなのですが、造作の美しさと巧みさに脱帽でした。

 
 札幌に帰ってきてからは、あまり移動用の伸し板を使わなくなったので、引き出しシステムを自宅の伸し台に移植して、我が家の蕎麦打ち環境が一層充実しました。

 これがあれば、打ち粉が欲しいときにさっと取り出せますし、蕎麦を打ち終わった後に篩を掛けて残った打ち粉はまた簡単にケースに戻せます。

 たかが蕎麦打ち道具ですが、創意工夫によって効率的になる余地はまだまだあるのです。

 


        ◆   

 
 さて今日はとことん長い蕎麦に挑戦。

 蕎麦粉は年末に余った滋賀県産の常陸秋ソバと佐呂間産のものをブレンドしたものを使いましたが、良い感じのコシがあって、折り返しで26センチの蕎麦が打てました。

 切れないように茹でて50センチ以上の長い蕎麦を楽しめました。

 孫にも細く長く、コシの強い人生を歩んでほしいという願いを込めました(笑)

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