北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

"三の関係"で、上司に上手に諫言する

2015-01-22 22:53:24 | Weblog

 

 以前掛川にいたときに、東京で行われた出向者の会議で、仲の良かった助役仲間から声を掛けられました。

 話題は、『市長の判断に対して反対意見をいかに上手に伝えるか』ということ。

「それって市長さんの考え方が正しくないと思っているわけ?」
「いや、我々も答えには迷っている。だからもっと周辺にある色々な要素や環境条件を市長に正しく伝えて、皆で徹底的に意見交換をして方向性を確認したいと思っているんだ。でもなにしろ忙しいのでなかなか長い時間は取れないし、市長もあちこちとの関係の中で約束しちゃっているようなところがあって、考えを改めるのも難しい。でも本当にそのままでいいのか、ということを僕を始め部下の局長以下に自信がないんだ」

「ははあ、なるほど」
「仮にも市長は選挙で選ばれたリーダーで最終意思決定者だろう?部下から、『市長の言うAプランよりもBプランの方が良いと思います』と言われても、最後の最後には、『じゃあ君たちはBプランで失敗したときに責任が取れるのか? 僕は選挙で信任を仰ぐことになるが君たちは責任を取れないだろう』ということになる。
 確かに選挙での責任は取れないけれど、じゃあ市長が決めたんだからなにも考えなくて良いか、というともちろんそうではない。
 市長を支えてわがまちのためになる判断をして欲しいと人一倍思うから、違う側面からの視点や情報を与えて再度市長の判断を仰ぎたい。そこの意思疎通がどうもうまく行かないんだ。掛川ではそういうことはないかい?」

 なるほど、上司に対して相手の気分を害さずに周辺情報を提供して判断材料にしてもらうかということは、案外難しいものです。


「掛川では、市長が考えを述べたら部長以上の幹部会議で皆で意見を言い合いますよ。番頭さんみたいな収入役なんかはたまに市長に対して『市長、それはやっちゃいかんよ!』と語気を荒げて意見することもありますね。

 その会議の場では皆が対等で、メンバー同士が賛成反対の意見で対立して言い合いになったりすることもあります。そんなとき市長はいつもニコニコしながら嬉しそうに議論を見守っています。
 その意見の言い合いから、自分の考えに合致する単語や考えを見つけ出すと、次の挨拶の時なんかはすぐにそれを使ったりして、常に自分の考えをバージョンアップさせるんです。良いアイディアは常に取り入れるという意識が高いです。

 『責任は僕が取る』というような言い方はしませんが、そういう覚悟はやはり持っていると思います。夜中に二人きりで話し合ったときには、『最終意思決定者というのはもうこれ以上誰かのせいにはできないから孤独だよ。いつもこれでいいのかなあ、と悩んで迷っているからねえ』とぽつりと言っていましたから」

「そうか、掛川では意見はちゃんと聞いてくれるんだなあ」


        ◆   


 その会話が印象的だったので、その話を後に友人に話したところ、友人は膝を打って、「小松さん、それこそ"三の関係"ですよ」と言われました。

「直接相手をやり込めようと思うと、相対の"二の関係"になるでしょう?これだと勝った負けたという印象がしこりになって残ってしまうんです。日本人は相対での勝負事が好きですが、関係性を上手に保つためには"三の関係"を理解しておくと良いですよ」

「うーん、で実際こういう場合に三の関係でどうしたらよいのですか?」

「相手の目の前で第三者である二人が意見を言い合って喧嘩をするというのはどうですか。一人は市長の味方、一人はそれに対する反対意見でディベートをするんです。市長さんには意見は言わせずに両者のやりとりを見てもらうことですね」

「そんなんでうまくいきますかねえ」

「直接的に物を言って感情的になることはないんじゃないですか。まあいずれにしても、直接説得するよりも第三者的な立場に置いたところで議論を聞いてもらって本人自身が何かを感じるように導きかたの方が良いと思いますよ」


 人を説得するというよりも、異なる意見を言うのも難しい場面ってありますね。

 いざというときに相手に嫌なことを言っても許されるような関係を、普段から作っておくことの方が大切ではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

コメント
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