先日行った稚内出張。
帰りがてらに宗谷岬を巡り、浜頓別~枝幸と回ってきました。
枝幸町では、オホーツクミュージアムを見学してオホーツク地域の自然環境や歴史を学びましたが、特に考古学が興味深いです。
日本の教科書は我が国の歴史を「縄文時代→弥生時代→古墳時代→飛鳥・白鳳→奈良時代」と変遷してゆく、と教えています。
しかし北海道では「縄文時代→続縄文時代→擦文時代→アイヌ時代」と変遷してゆくという研究結果が得られています。
それが、ここオホーツク地域では、続縄文時代の5世紀半ばから擦文時代の10世紀にかけて、オホーツク文化が形成されていた、という研究があります。
このオホーツク文化とは、北海道の北部沿岸地域から樺太、南千島の沿海部に栄えた海洋漁猟民族の文化で、海の魚や海獣を狩猟して暮らす生活スタイル。
この文化は10世紀ころからは次第に擦文文化に取って代わられるようになり移動あるいは衰退してゆきます。
北海道の歴史は、日本全体の教書通りではないことを、地元学を学ぶことで伝えてゆきたいですね。
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さてそんなオホーツク文化を学べるオホーツクミュージアムですが、入ってすぐのコーナーには地域の自然環境が展示されています。
地域に生息する動植物のはく製や模型なども多いのですが、そんな中に「サクラマス」と「ヤマベ」という魚の模型が置いてありました。
どちらも生殖時期を迎えて個体変化の最終形になったようなごつい模型です。
これを見たときに私が同行した方に「サクラマスとヤマベは同じ魚なんですが、元々川魚のヤマベは、川の中で十分食える個体は川に残り、相対的に弱くてエサを取れない個体が海へと移動して、ホルモン変化によって巨大なサクラマスに変化して帰ってくるんです」と説明しました。
「面白いですね」
「ええ、川に残るヤマベはまるで狭い世界で番を張っているようですが、故郷を離れて大冒険をする魚は巨大になって帰ってくる。私にはまるで人間の転勤生活のように見えます。自分の世界を広げた方が成長するということに似ているように思えるんです」
するとそれを聞いた同行者は「その話は良いですねえ。転勤を渋るような若い人たちに聞かせてあげたいなあ(笑)」と感心した様子。
所詮はたとえ話にすぎませんが、どうせなら人生の中で世界を広げてみて欲しいと思うのは、先輩というか歳を取ったからなのかもしれません。
若者よ、荒野を目指してくれい!