知人が訪ねて来て、四方山話。
話題が人手不足のことになって、そろそろ社会全体が困ってきているのではないか、という話になりました。
彼は、「そもそも、札幌市役所の採用辞退率が29%という、高さですよ。失礼ですけど、転勤の多い道庁や国の機関よりも、転勤のない市役所で、それも札幌なら希望する人が多いじゃないですか。それが29%も辞退する時代なんですねえ」と驚いています。
「札幌市を受験しておいて、それでいて採用を辞退するというのは、何が嫌なんですかね」
「窓口業務が嫌われるらしいですよ。札幌市も、採用されてから数年間は、窓口で鍛えられますけど、そこでの市民対応が嫌なんだと。しかも別な区役所へ行くことは『転勤』と捉えられているみたいです(笑)」
「それじゃ、転勤のある道庁なんかはさらに大変なんだ」
「道庁の採用辞退率は6割を超えるそうですから」
「6割が辞退!? 半分以上辞退されたら試験の意味ってあるのかね?」
「道庁では、部門をまたいで異動がありますよね。建設部門から総務だとか、農林部門とか。そういうのが一から勉強をし直さないといけないので嫌われている、という話を聞きますよ」
「そんなに自分の守備範囲を狭くしていたら、使われる範囲も狭くなるし、視野も狭くなるのにねえ。そんなに大変さを嫌って、楽な方に流れるとは…。それにしても、そもそも、受験してくれる若い世代の数が減っているのだから、様々な職種の取り合いになって、昔と同じような年間採用数は絶対に確保できな時代になりますね」
「それって、わがままが通じやすくなる時代ってことですか?それじゃあ、本当に大変だと思われている職場の担い手はいなくなりますよ。北海道の冬の除雪車のオペレーターなんか、後継者はいなくなりますね」
「だから、適切どころか、もっと優遇された賃金を保証してあげるくらいじゃないといけないと思うなあ。『冬の北海道観光にお越しください』とキャンペーンをやっても、バスの運転手もいなければ、バスを走らせようにも道路が除雪されていない、なんてことになりかねないしなあ」
今の若者は、「給料よりも休日」「現場仕事と営業よりは内業」「転勤はいや」とくくられがちですが、では転勤があって休日返上で働かなくてはならない現場の仕事って、いったいどうなるのでしょうか。
最低限、戦略的に賃金を上げていかないと、つらい仕事を誰もやる人のいない社会って、その一点で持続性のない社会になりそうです。
そもそもの問題の根源は、少子化による人数の減少なのですが、さて、外国人労働者を入れればそれで問題は解決するでしょうか。
札幌もいよいよ雪が積もりそう。
問題が顕在化する時代は、すぐそこです。