今日は建設系業界紙の(株)北海道通信社が主催する「道路事業座談会」でした。
今回は第51回目の座談会で、今日のこのやりとりは、北海道通信のお正月の紙面を飾ることになっている重要な座談会なのです。
冒頭に、北海道通信社の代表からご挨拶を頂いた後に、(一社)北海道舗装事業協会の渡辺会長からも挨拶があり、「今年も災害の多い年だったが、わが舗装業界も被災地に真っ先に駆けつけて復旧復興の一端を担った誇りがある。しかしアスファルト合材出荷量は年々減少を続け、このような状況が続くと業界の経営はますます苦しくなり、このままでは、地域社会の維持に支障を来す懸念がある。
また少子高齢化のなか、次代を担う技術者を育成していくための礎は、企業の健全な経営であり、公共事業予算の増額に向けて、お集まりの皆様のますますのご活躍にご期待申し上げます」という挨拶がありました。
座談会は、舗装業界側から質問を行い、官庁側から質問に答えるという形で行われました。
業界側からの質問は7項目で、
「北海道の諸課題解決と発展を支える道路行政のあり方について」
「道内の広域幹線道路等の延伸とストック効果について」
「国土強靱化に資する北海道の道路整備と管理の方向について」
「舗装道路の維持とメンテナンスについて」
「舗装工事の安定的な発注について」
「働き方改革への対応について」
「ICTを活用するなど今後の生産性向上に向けた取り組みについて」など、どれも舗装業界として切実な問題ばかりです。
官庁からの出席者も、業界からの強い要望に対して『思いは同じ』という面が大きく、地域の要望として歩調を合わせながら声を上げていく方向性が述べられました。
例えば、国土強靱化に関しては、「全体の道路予算が潤沢ではないために、点検はするが修繕ができていない。そんな状態で維持修繕を重点的に行うことになると、改築の予算が減ってくる。
安倍総理は強靭化に資する重要な施設整備を3年で集中的にやる、と言っている。我々の希望は通常予算とは別枠での対処という事だが、それを当初予算の中でやるということになると、今後がつらくなる。
維持管理費が増大する中で着実に老朽化対策が行われるように財源の確保に努めるとともに、多岐にわたる道路の諸課題の解決に向けて努力してゆきたい」など、共に頑張ろうという気持ちは同じです。
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しかし、いずれにしても、やはり道路の予算が足りません。
社会を未来に向かって発展させるためにはネットワークを強化する活動も必要ですし、その一方で、すでに先人たちの手によって作られてきた施設がしっかりと機能を発揮し続けられるように維持管理を行っていかなくてはなりませんが、それには予算が必要です。
維持管理一つとっても、安っぽい管理でお茶を濁せば、そのツケは「耐久性が劣って直ぐに壊れる」という形で払わされることになります。
壊れてから修繕するという、「事後修繕」よりも、まだ大丈夫そうに見える段階で予防的に補修工事をしておくことが、結果的に社会的コストはお安くなるのです。
そして、事後修繕の処置を続けてきた結果が、今日の春先のポットホールの大量発生という社会問題も発生ではなかったでしょうか。
しかし、そのあたりの真実を社会に説明して理解していただくことは実に難しいと感じます。
ただ最後に官庁側からの感想は、「今後人件費が高くなってゆけば、必然的に同じ予算での出来高は少なくなってしまう。それを補うためには、働き方改革も必要だし、ITC技術などをだんだんに導入して、より少ない人の数で同じだけの、さらに以前以上に生産性を上げて行かなくてはなりません。
そうしたことはやはり大切だと思うので、どうか変化を前向きにとらえていってほしい」とまとめられました。
よりよい社会づくりのために、もっともっと声をあげていきましょう。