暴風雪時のドライバーに対する通行止め情報は素早く適切に提供されることが望まれます。
独立行政法人土木研究所寒地土木研究所(寒地土研)では、昨年2月から北の道ナビというサイトの中で、「吹雪の視界情報」サービスを行っていますが、昨日はこれを担当している寒地土研のAさんが訪ねてきて、背景などを話してくれました。
【吹雪の視界情報】
http://northern-road.jp/navi/touge/fubuki.htm
この視界情報というものは、気象の予測値から何メートル先が見えるかという視界を推定し、それを1,2,3,4,5,6,9,12,24時間先を予測して伝えるシステムです。
視界予測は、1000メートル以上先が見える「良好」から、500~1000mの「やや不良」、200~500mの「不良」、100~200mの「かなり不良」、100m未満の「著しい視程障害」の五段階に分かれていて、ひどくなればなるほど赤に近づくような配色で分かりやすくなっています。
ちなみに、気象予測値から視界を推定することは「気象予報業務」に該当し、気象予報士の資格を持ったものが行わなければならないのだそうで、現在寒地土研には3人の気象予報士の有資格者がいるそうですよ。
さて、こうした視界情報や通行止めなどの道路情報は、いまでこそスマートホンや携帯電話が普及してドライバー個人が取得することも簡単になりましたが、始めの頃はどうやってドライバーに知らせるかに相当苦労したそうです。
最初にこうした情報提供が必要だと感じたのは平成15年台風や平成16年の北見豪雪の後だそうです。
このときに、あるコンサルタントの方が車を運転していて通行止め情報を求めたけれど、どこからも入手できなかったことから、『コンビニやガソリンスタンドに通行止め情報を送るとドライバーが入手しやすいのではないか』と提言をくれたのだそう。
それを聞いてなるほどと思ったAさんは、「単に今どこが通行止めか、だけではなく、何時間後にどこが通行止めになる」という予告もしなければ、ドライバーがさんざん走ってから通行止めを知って引き返すことになる、と考え、予告情報も出すようにしたのだそう。
そしてそれを道の駅はもちろんのこと、協力してくれるコンビニやガソリンスタンドなどにファックスで送り、張り出してもらうことで情報伝達に努めたのだそう。
Aさんは、「その頃から比べると、手元にスマホがあって提供した情報が俊次に伝わる時代なんて夢のようですよ。本当に昔は数キロに一個しかない電光道路情報板に載せるくらいでしたからね」と感慨深げです。
この「吹雪の視界情報」へは、去る2月17日には一日で約11,000件のアクセスが殺到したそうで、少しずつこうした情報サービスも知られてきたようです。
しかも最近は「吹雪の視界情報メール配信サービス」というのもあります。これは事前にメールアドレス、配信条件を登録すると、希望の条件に合った視界不良予測情報を自動でメールに送ってくれるサービスです。
【吹雪の視界情報メール】
http://time-n-rd.jp/fubuki/index.php
登録は無料で、配信は午前6時からの3時間毎(6,9,12,15,18,21時)の1日6回、視界不良の予測される最も近い時間をメールで届けてくれるそうですから、冬道のドライブの際はこうしたサービスも利用して情報通になっておくと良いですね。
ただし、これらの情報も、場所によっては気象状況が変化しやすいことも多く、道路状況が異なる場合もあります。
また、情報は約30分間隔で更新を行われていますが、情報更新時点からの時間経過や、現地到着までの間に道路状況が急激に変化していることもあるため、寒地土研でも「この情報は、運転の参考程度にお考えいただき、現地の状況に合せて十分注意してご通行ください」と注意を促しています。
あくまでも最後は自己責任なのですが、判断できる情報が少しずつ提供できる時代になり、こうした情報を上手に活用して安全・安心な冬道運転につなげて欲しいものです。