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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

マリモの復権を目指せ

2011-07-04 23:45:10 | Weblog
 先日阿寒湖畔を訪ねた際に、阿寒湖畔エコミュージアムセンターの中にある、釧路市教育委員会マリモ研究室学芸員のWさんを訪ねました。

 こちらは旧阿寒町の時代から阿寒湖のマリモを研究している機関で、市町村合併後は市の教育委員会の一環として研究を続けています。

 マリモは水温上昇など、湖の環境悪化とともに生息域が狭まり、かつては阿寒湖の4カ所の地区で生息が確認されていたものが、今では2カ所になってしまったのだそう。

 Wさんの当面の思いは、無くなってしまった2地区でマリモを繁殖すること。

 長年の研究の結果、マリモは大きくなりすぎると壊れてしまいますが、壊れた屑マリモがまた集まることも可能なんだそう。ただし、適度に波に揺られて転がることで上下の向きが変わったり汚れが取れたりしないとダメなので、やはり環境の変化にびんかんにはんのうしてしまうのだそうです。


    ※     ※     ※     ※     ※


 Wさんの長年の研究の結果、どうやら最近では壊れた屑マリモから丸いマリモを再生させることができるようになりました。

 それは屑マリモの繊維を手で丸めて、絹のミシン糸で巻いて球形を保つようにするという簡単なことで、ここ阿寒湖畔エコミュージアムにも再生途中のマリモが展示されています。絹糸はやがてもろくなって分解されるのですが、そのときにはマリモは球形を維持できるようになっているのだそう。


   【修復中のちびマリモ】


   【マリモの糸で毬のように見えますね】


 管理上の問題は水温上昇や水質さらには適度な移動や清掃などを適切にコントロールすることで、それさえできれば長期にわたって生息させ続けることが分かってきました。

 Wさんがさらに試みていることは、こうしたマリモ再生を子供たちの手でやってもらってマリモを身近に感じてもらう環境教育と、さらにこのマリモに電子タグを埋め込んで、個体識別を可能にするという試み。

 似たようなマリモの個体識別ができれば、誰がいつ再生させたのかや、時系列的に何センチに成長してきたかが分かります。


   【このタグが修復マリモの中に入っています。下はその識別機】


 Wさんの夢は、このタグによる個体の成長状況をインターネットで公開して、自分が手掛けたマリモに親近感を持ち遠くからの観光客でも何度でも来たくなるようなマリモの世界を作りたいということです。

「市役所の本庁でも飼えますか」と訊くと、「温度と清掃がコントロールできれば大丈夫ですよ」とのこと。市長応接室に飾って来訪者に見てもらう、などというのも良いアイディアかもしれません。特別天然記念物のため、市外への持ち出しはいけませんが、市内ならば教育的観点から良いのだとも。


 来年はマリモとタンチョウが特別天然記念物に指定されたからちょうど60周年目の節目の年にあたります。こうした執念の機会も上手に使って、折角いろいろと分かってきたマリモとともに魅力ある湖畔地域をつくりたいものです。

 

 

【阿寒湖のマリモ公式ホームページ】marimo-web   http://bit.ly/jo0VvJ
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