映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年)

2020-09-21 | 【ふ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71332/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 成績優秀な優等生で親友同士のエイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)。ところが、高校の卒業前夜、遊んでばかりいたはずの同級生がハイレベルな進路を歩むことを知り、2人は自信喪失してしまう。

 失った時間を取り戻そうと、卒業パーティーに乗り込むことを決意するエイミーとモリー。だがそんな彼女たちに待ち受けていたのは、怒涛の一夜だった……。

=====ここまで。


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 予告編を何度か見たときは、「あー、アメリカのハイスクールもんね、はいはい……」って感じで、ゼンゼン見たいと思っていなかったんだが、精神科医の斎藤環氏がTwitterで絶賛しているのを見て、そこまで言われると見たくなるなぁ、、、と思いつつ、斎藤先生の絶賛する映画は私的にはそれほど、、、ってのがパターンなので、これもそうかも知れないから、やっぱ見に行くのやめとこっかなぁ~、などとウダウダ迷いつつ、結局見に行った次第です。


◆イジメとスクールカーストが全く出て来ない。

 見た後知ったんだが、本作はプロの批評家が軒並み高評価をしているみたい。斎藤先生と評価ポイントは大体同じ。まあ、そこを好意的に捉えられるか否かは、好みでしょうな。好意的に捉えられないことを批判しているネットの反応などをいくつか見たけど、それはちょっと違うだろ、と思う。

 つまり、本作は、アメリカのハイスクールもの(『25年目のキス』とか『ウォールフラワー』とか)のお約束であるクルマ、プロム(本作ではパーティだけど)、セックスは出てくるが、必須要素であるスクールカーストとそれに伴うイジメが一切出て来ないんである。

 で、好意的に捉えられない派の言い分としては「こんな良いヤツばっかの学校があるか!」ってこと。逆に、好意的に捉える派は、「イジメやらスクールカーストなんかでリアリティや共感を求めるのは安易だ! 大体、そんなん手垢つきまくりで、もう古い!!」って感じかな。

 どちらの言い分も分からなくはない。私自身、本作について面白いと思ったけれども、正直なところ、そこまでグッとくるものはなかった。斎藤先生が絶賛するほどには、私には刺さらなかった。

 イジメやスクールカーストを描いていなくてもリアリティのある面白い映画だから「志が高い」(by斎藤先生)とまでは思えない。イジメやスクールカーストで深刻に悩んでいる高校生たちは大勢いるだろうから、古かろうか手垢つきまくりだろうが、それを描くこと自体が問題だとは思わない。

 また、本作の舞台となる高校は、多分、学力的にかなりハイレベルの学校と思われ、ということはつまり、それなりの家庭の子たちが通う学校なわけだ。これは、アメリカに限らず万国共通、日本でもそうだと思うが、そこそこのレベルの進学校では、あまりスクールカーストやそれにまつわるイジメってのは見られないだろうと思う。残念ながら、子の学力と家庭の経済力には相関関係があることは実証されている。私が高校生だった30年以上前でも、今ほど分断が露呈していなかった社会だったが、そういう傾向はあったのだから。勉強が出来ても性格の悪い人間はゴマンといるが、スクールカーストで見栄を張り合ったり、組織だってイジメたりする必要がそもそもないのだ。イヤな言い方をすれば、ある程度のカースト上位の子たちの集まりだ、ということ(もちろん、それでもそういう学校に陰湿なイジメが全くないとは思わないが)。

 だから、良いヤツばっかであり得ん!というのも、本作の場合はちょっとズレている気はする。そもそもそういう環境なんだよ、ってことなわけで。


◆青春するぞ!

 本作のモリーも、お勉強は出来るが性格は悪いという、進学校にいる典型的な秀才ちゃん。嫌われてはいるが、いじめられてはいない。これは、モリーが勉強一筋で、周囲を見下してはいても、実害を与えるようなことはしていなかったってことだろう。そう、勉強一筋さんは、イヤなヤツでも周りに迷惑を掛けるわけじゃないので、別にターゲットにはならない。

 しかし、モリーは、自分が見下していたヤツらが、軒並み名門大学に進学すると分かって、愕然となる、というところから本作のストーリーは展開する。確かに、これは衝撃だよなぁ。私は、大学に入ってからだったが、自分より遙かにお勉強も出来たであろう方々が、自分より遙かにいろんなことに詳しくて視野も広いということに、プチ・カルチャーショックを受けたもんねぇ。私は、モリーと違って、勉強すらしていなかったが、それでも「私は18年間何をしていたんだろう、、、がーん!!!」となったものだ。

 モリーのすごいところは、そこで、「じゃあ、今から取り返すぞ! 青春するぞ!!」となれるところ。私は、プチ・カルチャーショックを受けたまま、何もせず漫然と過ごしていた(怠惰ってことなんだが)けれど、彼女のあの切り替えの速さはスゴいというか、面白い。

 監督のオリヴィア・ワイルドは、本作について、女子高生2人の冒険譚だと言っている。確かに、冒険だろう、これまで見向きもしなかった世界に飛び込んでいくのだから。

 冒険譚は確かに面白いが、私が良いなー、と素直に感動したのは、モリーとエイミーの関係だ。終盤、この2人にとって恐らく初めてであろう大喧嘩をするんだが、ここで、2人の関係がいろいろ微妙な要素を含んでいたことが明らかになる。仕切りたがりでお節介なモリー、マイペースでおおらかなエイミー、に見えたけど実際は……、という2人の積年の思いをぶつけ合うところはジーンとなる。

 大喧嘩の後、翌日の卒業式のラストシーンまでの展開は、これぞザ・青春映画という感じで、この辺りで感動できるか否かで本作に対する印象が変わってくるだろう。

 結局、モリーもエイミーも、この冒険で苦い思いをすることになるのだが、この辺は割とよくある話かな。そうして、それぞれに決めた道へと進んでいきます、、、というラスト。鑑賞後感は非常に爽やかです。

 監督は、「高校時代は人生において特別な最も重要な時期」みたいなことも言っている。これは、ちょっと首肯しかねるが、まぁアメリカ映画見ているとそうだろうなぁ、とは思う。5年後、10年後のモリーとエイミーがどうなっているか、見てみたい。


◆その他もろもろ

 本作の高評価の要素としてさらに指摘されているのが、下ネタ満載なのにPCにまったく引っ掛からない、というところ。コンドームに水を入れて水風船みたいにして飛ばし合いしたり、ポルノ映像を大音量で見たり、、、と、色々あるのだが、確かにお下劣にはなっていないどころか、面白く笑えるようになっている。

 また、エイミーは同性愛者で、両親にもカミングアウトしているし、当然モリーも承知の上だ。ごく当たり前のこととして周囲がそれを受け止めているという点でも、本作は評価が高い。監督は、ステレオタイプな悪役を置かないことに配意したと言っているが、まあ、確かに分かりやすい嫌なキャラ、ってのは出て来ないし、いわゆる“多様性”が具現化された世界を描いているところも今の時流を捉えたものだろう。

 モリーを演じたビーニー・フェルドスタインが、圧倒的な印象の見た目で、このキャスティングで本作は半分成功しているみたいなもんでしょ。あの『レディ・バード』にも重要な役どころで出演しているのだとか。『レディ・バード』、、、ちょっと敬遠しているんだけど、見てみようかな。ちなみに、某新聞の評では、オリヴィア・ワイルド監督は、グレタ・ガーウィグに続く、女優出身の将来が楽しみな映画監督だと書いてあった。

 エイミーのケイトリン・デヴァーがスゴく可愛かった。密かに思いを寄せている女の子に、これまた密かに失恋してしまうところのシーンは素晴らしい。プールの中で、、、っていうシチュエーションが抜群だと感じた。

 一番可笑しかったのは、ピザ屋の親切なおじさんが、実は殺人鬼で指名手配犯だった、、、ってところ。あの似顔絵が出て来たシーンで噴き出した。脚本もよく出来ているな~、と感心してしまった。

 ストーリー的にも、ちゃんと伏線回収されており、笑えるオチもある。安易な予定調和に陥ることなくラストまで突っ走るのは、そう簡単にできることではないと思う。だから確かに良い映画なんだと思うが、良い映画でも大してグッと来ない割に、世間の評価が高くて、ちょっと気持ち的に引いてしまっている。ほとぼりが冷めて、DVD化された頃に、もう一度見てみようかな。

 

 

 

 

 

 

パンダのぬいぐるみが、、、、

 

 

 


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ぶあいそうな手紙(2019年)

2020-09-20 | 【ふ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71203/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 ブラジル南部にあるポルトアレグレの街。46年前に隣国ウルグアイからやって来た78歳のエルネスト(ホルヘ・ボラーニ)は、頑固で融通がきかず、本とうんちくが好きな独り暮らしの老人。

 ところが、老境を迎えた今は、視力をほとんど失っていた。後はこのまま人生が終わるだけ……。

 そう思っていた彼の元にある日、一通の手紙が届く。差出人はウルグアイ時代の友人の妻。視力の低下により、手紙を読むことができないエルネストは、偶然知り合った若い女性ビア(ガブリエラ・ポエステル)に代読を依頼する。その代読と返事の代筆を通して、エルネストの部屋にビアが出入りするようになるが……。

=====ここまで。


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 予告編を何度か見て、まあまあ面白そうかもとは思ったけれど、何となく展開は想像つくし、劇場に見に行くまでもないな、という感じだった。けれど、平日の午前中にぽっかり時間ができてしまい、上映時間がちょうどぴったんこだったので、それならばと見ることに。

 まぁ、想像の範囲を大きく超える展開ではなかったけれど、思っていたよりは味わいのある逸品だった。良い映画だとは思うのだが、何かこう、、、見てから1週間以上経つんだけど、特に感想として書きたいことが浮かんでこない。

 ただ、ちょっと思うところもいくつかあったので、書き留めておこうと思う。

 本作の紹介で、エルネストのことを、頑固爺みたいに書いているものがあったけど、息子に「そんな身体で一人じゃムリだ」と言われて「はいはい、仰せの通りにいたします」とすんなり言う親がいるだろうか? いるかも知らんが、少数派だろう。老いて身体が思い通り動かせなくなり「一人じゃムリかも」とは薄々自覚していても、住み慣れた家を離れたくないだとか、子の世話になんぞなりたくないだとか、そりゃあ親にだって色々思うことがあるのは当たり前だろう。それで頑固爺ってのは、ちょっと違う気がするゾ。

 むしろ、このエルネスト爺さんは、思考は柔軟で、若者の無謀さを安易にたしなめることなく容認できる人だ。ビアが嘘をついても、金をくすねても、顔にアザを作ってきても、男を連れ込んでも、頭ごなしに叱ったり責めたりしない。もちろん、ビアが訳ありだと勘づいていたからだろうが、それにしたって、嘘をつかれたら追及するし、金を盗られたら普通は糾弾するよなぁ。ビアが宿無しだと分かると、息子の部屋に泊めてあげ、「いつでもおいで」と言って送り出す。こんな親切な爺さん友達、いたら有り難いかも。でも、現実には、こんな下心のない親切な爺さんはいない(断言)。

 ビアも、最初こそエルネストを利用しようとしていたが、彼の見返りを求めない親切に心を動かされたのだろう。やはり、見返りを期待する好意なんてのは、相手に見透かされる。所詮知れているってことだ。

 エルネストは、ビアに手紙を代読してもらうだけでなく、返事を代筆もしてもらう。友人の妻宛だけでなく、ラストは、息子に対する手紙をビアに代筆してもらう。その、息子への手紙の内容が、結構泣ける。こんな手紙を親からもらったら、嬉しいというより、ちょっと辛いだろうなぁ。こんな手紙を親からもらう息子は幸せだ。

 最終的にエルネストがどういう選択をしたか、、、は、ここには書かないけれど、微笑ましい結末になっている。今やコロナで大変なブラジルの映画だが、エルネストの暮らすアパートもなかなか素敵だし、アパートのある地区も趣があって美しい。wikiによれば、「ヨーロッパからの移民が多く、ヨーロッパ風の建物が多い」とのことで、納得。

 心温まるほんわか系とはちょっと違う、苦みのある、暖かい映画。見た後の感覚と、感想で書くことが具体的に浮かばない、というギャップが、自分でもちょっと珍しいと感じる。何故かは分からないけど、、、。

 

 

   

 

 

 

エルネストの書斎が素敵。

 

 

 


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この世の果て、数多の終焉(2018年)

2020-09-15 | 【こ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv70805/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1945年3月のフランス領インドシナで、現地に進駐していた日本軍がクーデターを起こし、協力関係にあったフランス軍に一斉攻撃を仕かける。

 ただ一人生き延びたフランス人兵士のロベールは、兄を殺害したベトナム解放軍の将校ヴォー・ビン・イェンへの復讐を胸に秘め部隊へ復帰。悪夢のような日々のなか、マイというベトナム人娼婦と出会ったロベールは、しだいに彼女への想いを募らせていく。

=====ここまで。


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  4連休を前に、劇場の満員容認となるそうですが……。これ、どーなんでしょうか。一席置きでなくなったら、正直、私は見に行くのイヤですね。まだ終息していないのに、どんどん緩和していくのはおかしいのでは。検査体制や医療体制がきちんと整ったというのならまだしも。

 劇場のためにも、一席置きの措置をとる間は、鑑賞料金を高く設定して、サービスデーをなくすとかしても良いと思います。映画館の存亡に関わるのだから、日頃お世話になっている映画ファンとしては、それくらいは貢献したいのであって、、、。料金変更するのって、そう簡単なことじゃないのだろうけど、、、。

 19日以降に公開予定の作品にも見たいものがいくつかあるけど、劇場の方針を確認して、一気に緩和するようであれば見に行くのは止めておくかな、、、。無策のお上を戴いて、自衛するしかないもんね。

 さて、本作ですが。チラシを見て、ギャスパー・ウリエルとギョーム・グイの共演と知り、何となく見てみよっかな、、、と思い劇場まで行ってまいりました。


◆明号作戦を生き延びた主人公は、、、

 仏領インドシナ、、、と言えば、映画『インドシナ』が真っ先に思い浮かぶくらい、私は東南アジアの植民地について無知なわけですが、第二次大戦が終わった後、各国が独立を宣言してもなお、フランスは植民地支配を諦めていなかったということを、本作を見て初めて知った次第、、、。

 本作は、大戦末期の話らしい。1945年3月に起きた明号作戦で幕が上がる。冒頭から、いきなり死体の山に向かって銃をぶっ放す日本兵、、、という描写(……ちなみに、本作は結構グロいシーンが所々であります)。で、その日本兵がオイル(死体の山に火を放つため)を取りに戻った隙に、死体の山から這い出てくるのが、ウリ坊演ずるロベール・タッセン。いやぁ、もうこれだけでお腹一杯って感じになってしまう。

 とにかく、このロベール、虐殺を実行した日本兵ではなく、それを側で見ていて止めなかったという理由でベトナム軍の中尉ヴォー・ビン・イェンという人を激しく恨んで復讐に燃えているんだが、この辺がよく分からない。実行者よりも、傍観者が憎いと。私なら、どっちも憎いけどなぁ、、、。この辺は、フランスとベトナムの宗主国と属国の関係性によるものだろうか。

 ……まぁ、それはとりあえず置いておくとしても、本作は、終始一貫して描写がモヤモヤしている(画面がぼやけているという意味ではありません)んだよなぁ。それが狙いなんだとは思うけど、ロベールがヴォー・ビンを執拗に追い掛ける、というのが本作のメインストーリーなんだが、肝心のヴォー・ビンは出て来ないので、ロベールが追い掛けているのは誰なのか、、、いや、何なのか、というのが分からなくなってくる。ホントにヴォー・ビンはまだ存命しているのか? とか。もう近くにはいないんじゃないの? とか。

 そんなヴォー・ビン追跡という縦糸に、現地のマイという娼婦とのあれこれが横糸として絡んでくる。この関係性も、まあ外国人兵士と現地女性だから、こういう不安定なおぼつかない感じになるのは分かるんだが、、、うぅむ。他にも、横糸であるサイドストーリーはいくつか描かれるんだが、いずれもあまりに散文的過ぎて、本作全体が非常に散漫な印象になっている気がする。

 監督のインタビューを読むと、復讐は成否は最早どうでも良くて、復讐をロベールが決意することでマイとの愛が終わる、ロベールがマイとの愛を諦めるということが重要なんだ、、、みたいなことを言っていて、ううむ、そういう映画だったのか、、、??と、正直言って何となく腑に落ちない感じがする。

 監督曰く「愛を維持する最良の方法は、最も愛が激しいときに諦めることなのです」だって……。え゛ーーーーー、そんなぁ、、、。がーーーん。

 だったら、あのグロい映像の数々は何だったんだ、、、とか。まあ、戦争映画だからなぁ。……などと、見終わって何日も経っているのに、いまだにストレスを感じるというか、喉につっかえるものがあるみたいな、消化不良感が尾を引いている。


◆その他もろもろ

 ロベールを演じたウリ坊は、今回も体当たりというか、全裸でイチモツも惜しげもなくご披露するという思い切りの良さ。かなり長いシーンでモザイクもかからず、却って目のやり場に困る。ハッキリ言って男性器なんか、もう見たくないです。オバサンにはグロ過ぎる。

 マイを演じていたのは、ベトナムの女優さんのよう。出演者紹介にも何の紹介文もないから、まったく分からない。これ、もう少し何とかならなかったのかしらん。とても綺麗な人だった。ちょっと壇蜜に似ているかなぁ、、、と思ったのは私だけ?

 ロベールと親しい兵士カヴァニャを演じていたのがギョーム・グイ。『ぼくを探しに』のときより、かなりオッサンになっていて、しばらく分からなかった。終盤、ロベールとジャングルに分け入っていこうとしたその矢先に、ビックリする展開に、、、。数々のグロいシーンよりも、この終盤のシーンの方がよほど衝撃的だったかも。

 あと、ジェラール・ドパルデューが、現地に住む作家の役でご出演だったんだが、彼は年齢を重ねると共にどんどんデカくなっている気がするぞ。こないだ見た、『ファヒム パリが見た奇跡』でも感じたけれども、、、。あんなにデカくなっちゃうと、健康が心配だよなぁ。大丈夫かしらん。

 もう少しまともな感想を書くには、あと2回くらい見た方が良いと思うのだが、とてもじゃないがもう一度見る気にはなれない作品。それより、仏印のことをもう少し色々ちゃんと知りたいと思った。映画を見ると、その作品自体にはピンとこなくても、その背景などを調べることでまた世界が広がるので、どちらにしても良いことだと思うわ。

 
 

 

 

 

 


高温多湿なジャングルの光景が暑い、、、。

 

 

 


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ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火(2012年)

2020-09-13 | 【ほ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv54943/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 第二次世界大戦末期のロシア戦線。劣勢のドイツ軍から突如現れた1台の重戦車“タイガーI改”が、ソ連軍を恐れさせていた。神出鬼没なその戦車は、従来型とは明らかに異なる高い戦闘力を持ち、ソ連軍の戦車一個部隊を全滅させては姿を消してゆく。

 白みを帯びた特異な外見から、ソ連兵の間で“ホワイトタイガー”と呼ばれるそれは、果たしてヒトラーの秘密兵器なのか? 大きな謎を孕みつつ進撃する怪戦車に為す術のないソ連軍。

 1台の戦車に苦戦を強いられる中、1人の救世主が現れる。それは、“ホワイトタイガー”の攻撃を受けて全身の90%を超える大火傷を負いながらも、驚異の回復力で前線に復帰した記憶喪失の戦車兵。“発見されたイワン”を意味する“イワン・ナイジョノフ”(アレクセイ・ヴェルトコフ)という名で呼ばれる彼は、失った記憶と引き換えに、ある特殊能力を身に着けていた。

 ナイジョノフは、ソ連軍が改良した装甲強化型“T-34/85”と、特殊能力を活かした最高の戦車操縦テクニックで“ホワイトタイガー”に挑んでゆく。

=====ここまで。

 アカデミー賞の外国語映画賞にロシア代表作として出品されたが、ノミネートには至らなかった。


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 またしても、なぜレンタルリストに入れたか覚えていないDVDが送られてきましたが、ロシアものなのでロシアに行く前後で入れたと思われる。タイトルからB級映画と思う方も多いでしょう。私も、独ソ戦ものか、、、程度にしか思っていませんでした。

 ……が!! これが非常に味わい深くて良い映画だったのです。鑑賞後調べたら、ノミネートこそ逃したものの、ロシア代表でアカデミー賞に出品していたんだと知り、納得。


◆オカルト!?

 本作の面白いところは、戦車ホワイトタイガーが、実在しているのかどうかがハッキリしない、というところ。もちろん、実在しているという前提で話は進んでいくし、戦闘シーンも当然あるんだけれども、どうも、その存在が何とも謎めいている。

 全身の90%もの火傷を負えば、普通の人は死んでしまうが、それを奇蹟的に生き延びたナイジョノフ。このナイジョノフの存在が、そもそもちょっとオカルトチック。瀕死の状態から生還したことで、“戦車の声が聞こえる”という能力を得た、という設定。……ね、オカルトでしょ。

 しかも、ナゾの戦車ホワイトタイガーは、本当に人が操っているのか??という疑いも生じる。ホワイトタイガー自身が意思を持っている、とナイジョノフは言うのである。

 このホワイトタイガー、いつも突然現れる。しかも現れるのは、必ず敵の背後。知らぬ間に背後を、このナゾの重戦車に取られ、いきなり速射砲でやられるのだ。その威力がまた怖ろしく強力。こんなのが戦場に現れたら、敵はひとたまりもない。

 そうやって、敵を一掃したかと思うと、アッと言う間に忽然と姿を消してしまう。周囲の林は沼地で、到底戦車が隠れられるような場所ではないのに、ナイジョノフは「ヤツはあそこに隠れている」と言い切る。それこそ、戦車の声が聞こえるかのように。上官が「あの辺り一帯は沼地だぞ」と言っても「あそこにいます。ヤツは待っているんです。我々が攻撃するのを」と言うナイジョノフ。

 正直、序盤から中盤くらいまでは、見ていて???な感じで、一体、どういう方向へ展開するんだろう? と戸惑ってしまう。しかし、中盤以降、ナイジョノフの操る戦車とホワイトタイガーの一騎打ちになり、さらにドイツが降伏して、、、という終盤に至り、なんとも不思議な感慨を覚える。

 本作が、オカルトチックなのにB級作品にならずにいる要素の一つとして、ナイジョノフの上官・フェドトフ少佐の存在があると思う。この少佐、ナイジョノフの言うことを「バカバカしい」と一笑に付すようなことをしない。信じがたいとは思っても、頭ごなしに否定しない。そして、実際に、ホワイトタイガーの姿を少佐自身もその目で確認する。こういう、脳ミソ筋肉系ではない、思慮深い軍人の存在というのは、優れた戦争映画には必須キャラだと思う。

 他にも、ミリオタの方々が見たら大喜びしそうな、本格的な戦闘シーンがかなりの時間を割いて描かれているのも本作の見どころの一つ。私は、戦車とか全く無知なんだが、そんな私でもあのホワイトタイガーがとんでもない戦車であることくらいは見れば分かる。戦場でホワイトタイガーに出くわすなんてのは、丸腰の人間が、巨大な野生のヒグマに出会ってしまったような感じだろう。ほとんど為す術ナシなんである。なのに、ナイジョノフの操る戦車は、ホワイトタイガーの砲撃をまともには喰らわない。それは、ナイジョノフが戦車の声を聞いて、的確に位置取りしているから。ナイジョノフがそう言うのだ。

 そうして、結局、ナイジョノフ VS ホワイトタイガー の闘いに、本作内では決着は付かない。それどころか、終盤、ドイツが降伏して戦争が終わるんだが、少佐がナイジョノフに会いに行くと、ナイジョノフは戦車の手入れをしていて「戦争が終わってもアイツ(ホワイトタイガー)との闘いは終わらない」と言う。少佐が「ホワイトタイガーはもういない」と言っても、ナイジョノフは「50年でも100年でもアイツは待っています」等と言うのである。

 少佐が仕方なく立ち去ろうとするが、ふと振り返ると、さっきまでそこにいた戦車とナイジョノフは、忽然と消えている。……え、、、??? となる。

 とにかく、B級オカルト映画になってもおかしくない素材なのに、むしろ味わい深い作品になっているのが不思議な映画である。


◆終盤、謎は深まる。

 で、上記のような終盤のシーンに至り、ようやく私にも本作の意図が何となく見えてきた気がした。

 ホワイトタイガーは戦争そのもののメタファーなのだ(と思う)。もちろん、メタファーとしてだけではないのだが、そういう要素が多分にあるのだろうな、と。というのもラストシーンがかなり意味深なんである。

 そこには、もう死んでいるはずのやつれきったヒトラーが出て来て、暖炉の前で誰かと2人で向き合って座り、話している。相手の顔は暗くてよく見えない。ヒトラーは、自分が起こした戦争について語っている。ちょっと長いけど引用すると、、、

「勇敢で完全無欠の我々が明解に宣言したのだ。皆、ユダヤ人を嫌い、ロシアを恐れた。あの陰気で不機嫌な国はヨーロッパではない。野蛮な怪物だ。私はこの2つの問題を解決しようとした。それは我々独自の考えだったのか? いや違う。我々は問題を明るみに出しただけなのだ。ヨーロッパ中が望んでいたことだ。寒さと暑さ、そして、嵐と日の光がある限り、人々や民族の間の争いは続く。人は天国に住むと破滅する。人類は争いのおかげでありのままの姿になった。戦争は自然でありきたりのものだ。戦争は常にどこかで起こる。戦争には始まりも終わりもない。戦争は生命そのものだ。戦争は原点なのだ……」

 このラストシーンの前には、ドイツの降伏に当たり、調印式が行われるんだが、そこに参加したナチスの上層部の面々が食事をとるシーンがある。この食事シーンもかなりのナゾシーンなんだが、見ようによってはこれは“最後の晩餐”とも考えられる。

 また、途中で2度、SSの将校がソ連の尋問を受けているシーンが挿入されているんだが、いずれのシーンでもSSの将校は、ホワイトタイガーを「実在しない」と言っているのだ。

 さらに、特殊能力を得たナイジョノフは、極めつけに「戦車の神様」等と言い出す。

 ううむ、、、そうなると、やはり、このホワイトタイガーは、ただの化け物戦車というだけの存在ではなさそうだ、となる。ヒトラーの持論展開ラストシーンで、ダメ押しという感じである。

 こういう、余韻があり謎が残る映画は、結構好き。単純明快もモノによっては悪くはないが、やはり、考えさせられる映画の方が、時間を割いて見た甲斐があるというもの。

 ミリオタの方々が書いている感想をいくつか読んだけれど、本作に出て来た戦車は、相当マニアックらしい。もちろん、私にはさっぱり分からないけれども、タンク好きの方をも唸らせる充実した作りになっているということで、ソフトもハードもイケてる作品と言えそうだ。

 ちなみに、ナイジョノフの上官・フェドトフ少佐を演じていたのは、あの『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』でカレーニン伯爵を演じていたヴィタリー・キシュチェンコ。ロシアではきっと名脇役なんでしょう。少佐、なかなか渋くて善い人だった。彼がいなければ、ナイジョノフの活躍もないもんね。

 

 

 

 

 

 

 


もう少しこの邦題(特に副題)は何とかならなかったんだろうか、、、。

 

 

 


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イタリア式離婚狂想曲(1962年)

2020-09-12 | 【い】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv13125/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです(途中まで。なお長いので一部編集しています)。

=====ここから。

 フェルディナンド・チェファル(マルチェロ・マストロヤンニ)はシチリアの没落貴族で、結婚生活十二年の彼は、口うるさい妻ロザリア(ダニエラ・ロッカ)との息の詰りそうな毎日にあきあきし、当時十七歳だった美しい従妹アンジェラ(ステファニア・サンドレッリ)に年甲斐もなく憧れを抱いていた。

 彼女も秘かに自分を愛していると知って固く愛を誓ったものの、二人の恋に希望はなかった。この国では離婚出来ない上、落ちぶれたとはいえ古い家柄の彼はやはり人々の注目の的だからだ。罪に問われずにロザリアを殺す方法はないものかと毎日彼は妻の死を思い描いた。

 そんな時彼は“刑法五八七条自己ノ配偶者、娘、姉、妹ガ不法ナル肉体関係ヲ結ブトキ、コレヲ発見シ激昂ノ上殺害セル者ハ、三年以上七年ノ刑ニ処ス”を見つけて躍り上った。妻が不貞を働けば名誉を守るためなら殺しても軽い刑ですむのだ。彼は妻の浮気の相手に彼女の初恋の画家カルメロ(レオポルド・トリエステ)を選び、邸の壁画修理に名を借りて二人を近づけた。

 とうとう二人は駈落し、フェルディナンドは妻を寝取られた男として街中の嘲笑をあび……

=====ここまで。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 9月になったというのに、連日の酷暑。どーなってんの? おまけに、このクソ暑いのにマスクしなきゃならないし。あ゛ーーーー、コロナもイヤだが、とにかく早く少しでも涼しくなって欲しい。秋ちゃんよ、どこにいるんだい?

 そんなわけで、この夏は、休日はほとんど外出せずに巣穴に引き籠もり。まぁ、それ自体は全く苦にならないんですが、いかんせん動かないから身体が重い、、、。確実に太っている気がするけれど、我が巣穴には体重計がないので正確な体重は年一の検診でしか分からない。分からないが、大体分かる。……マズいなぁ。でも、今日も三越のジョアンで、あんドーナツ(あんドーナツをあれこれ食べ比べたが、ここのが一番美味しいと思う)とかクロワッサンザマンドとか、高カロリーパンを4つも買ってきてしまった。ウチの人は食べないから、この週末でこれ全部私が消費するんだろうなぁ、、、。大丈夫か、私、、、??

 さて、本作もリストに入れた経緯は忘れたけれど、送られてきたので見てみたら、、、意外に面白かった!!


◆濃い女房

 当時のシチリアでは、妻が浮気したら、その妻を殺しても刑が減軽されるなんてことになっていたのか、、、?  しかも「娘、姉、妹ガ」って、息子や兄弟はええんか?っていう、今のインドやパキスタン等で行われている“名誉殺人”と発想が同じ。

 で、これを悪用し、自らの欲望を全うさせようとするフェルディナンド。正直、これだけにフォーカスすると笑えないんだが、まあ、その辺はさすがにイタリア映画。かなりひねりが効いていて、ブラックコメディに仕上がっている。

 とにかく、フェルディナンドの、妻に不倫を仕向けたり、その証拠を確実に得ようとしたりという涙ぐましい努力が、乾いた笑いを誘う。こんな卑劣でちっちゃくてセコい男を、実にコミカルに演じるマストロヤンニの巧さが際立つ。顔の造作はイイのにすっとぼけたような、どこか間抜けな表情とか、ホントに巧い。

 さらに、強烈なのが、妻ロザリアを演じているダニエラ・ロッカ。この妻、設定上は、不美人で暑苦しい女、ということなんだが、確かに個性的な顔立ちだけど、不美人ではないし、単純な罪のない人である。ダニエラさんの眉が濃くてつながっている上、口元にはうっすら髭まで生えているという、“濃い”顔なのが、実にロザリアのキャラにピッタリ。

 このダニエラさん、すごく個人的な話で恐縮だが、学生時代のサークルの後輩(仮にD子とします)にソックリで、どうにも可笑しかった。何となくキャラも似ていて、私はD子がちょっと苦手だったんだが、同級生の男の子がこのD子に一目惚れしていた。サークルの勧誘に新入生D子がやって来たんだが、そのときD子を見た彼はフリーズし「すっげぇタイプ、、、」とボソリと呟いていた。私は、へぇー……? としか思わなかったが、その後、D子はサークルに入ってきて彼と付き合い、卒業後数年してお二人結婚なさった。

 ……いや、そんなことはどーでも良いんだが、とにかくD子のキャラはキョーレツで、サークル内でも何かと話題を提供してくれていた。そのほとんどは、彼女の独特の喋り方や、立ち居振る舞いに拠るもので、その雰囲気がこのダニエラさん演ずるロザリアにメチャクチャ被るのだ。もう、途中から、ロザリアがD子にしか見えなくなってしまって、終盤、フェルディナンドに射殺される辺りでは、見ていて困ってしまった、、、。

 ちなみに、D子と彼は、今じゃ4人の子の親である。ロザリアとフェルディナンドとは大違い。


◆離婚できないなんて地獄。

 世の殿方の大半は「あんな妻なら、殺したくもなるわ」ってなところじゃないですかね。でも、フェルディナンドは、当初の目的を達成し、無事にアンジェラと再婚を果たすんだけれど、それが波乱含みであることを予感させて、本作は終わる。このエンディングがイイ。

 そうなのだ。この妻がダメなんじゃなく、要はフェルディナンド自身がダメなんである。……そんなことは、本作を見ていればよぉぉく分かることだが、そうすると、殺されたロザリアはただただ気の毒でしかない。フェルディナンドに徹頭徹尾ハメられただけなんだからね。

 ……してみると、離婚できないという掟自体が、罪なのだよね。やはり、離婚は、できなきゃ困る。フェルディナンドも、離婚ができる社会なら、慰謝料がっぽり取られるくらいで、殺しなんかせずに済んだ。ロザリアも死なずに済んだ。

 今の日本でだって、離婚が法的に禁じられていたら、こういう事件が頻発するのでは。人生を豊かに暮らすには、合わない人間とはなるべく距離を保つことが必須だ。ウマが合う者同士だって、ストレスが全くない関係でいるのは不可能に近いのに、合わない者同士が一緒にいたら、人生真っ暗である。

 恐らく、遠くない未来、結婚制度そのものが破綻しているだろうと、私は思っている。そうすれば、本作のような設定自体が無意味になる。

 あと、フェルディナンドの父親もセクハラ爺で、お手伝いのお姉ちゃんのお尻や胸を堂々と触るのである。しかも妻がいる前で。妻も「もうしょーがない爺さんねぇ~」みたいな感じで咎めないし。この家のだめんずは血筋かもね。

 イタリア映画を見ているとよく感じるが、イタリア人ってあんなに騒がしいものなんだろうか。皆、ものすごくおしゃべりで、しかも声が大きい。人の話聞いていない。自分の言いたいことを、口角泡を飛ばして喋りまくる。、、、コロナが蔓延するのも道理かも。

 まぁ、あまり色々考えずに見て楽しめる映画だと思います。私は、何度か睡魔に襲われて、その度に巻き戻てしまったけれど、、、。  

 

 

 

 

 


フェルディナンドのその後はいかに、、、。

 

 

 


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赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年)

2020-09-02 | 【あ】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71214/

 

以下、公式HPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズには、大いなる疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れるなか、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。

 その謎を解くために単身モスクワを訪れたジョーンズは、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、すべての答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。やがて凍てつくウクライナの地を踏んだジョーンズが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような光景だった……。

 ジョーンズはいかなる苦難の末に、スターリンの“偽りの繁栄”の実態を暴いたのか。そしてソ連の執拗な妨害工作に阻まれるなか、果たしてその一大スクープを世に知らしめることができるのだろうか。

 巨悪な力に屈せず、正しい道を選ばんとした名もなき人間の実録ドラマが、現代を生きる我々に問い質すものとは ??? ?

=====ここまで。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 ロシアに行ったせいか、ソ連とかロシアものにやたら目が行ってしまう……。これも、チラシで見てから、公開されたら劇場へ行こうと思っていた作品。監督がアグニェシカ・ホランドってのも見たいと思った理由の一つ。『太陽と月に背いて』『ソハの地下水道』と、かなり毛色の違う作品を撮っているけど、どちらも面白かったので。


◆ウクライナに何かある、、、。

 このガレス・ジョーンズという記者は、もちろん実在した人で、ケンブリッジを卒業後に、ロイド・ジョージの外交アドバイザーに命じられた、、、というんだが、大学出たばっかの若造をアドバイザーにするっていうのは、どういう仕組みなんだろう。序盤に、ガレスがロイド・ジョージらが集う会議の席で、ヒトラーについて「アイツはヤバい男だ、危険!」(もちろん、セリフはもっと知的です)とオッサンたち相手に説明するシーンがあるんだけど、若造が故に(?)オッサンたちには鼻で笑われてしまっている。

 どうして、ロイド・ジョージの外交アドバイザーになったのか、、、といういきさつは全く描かれていないので分からない。でもまあ、優秀だったんだろう。いくらヒトラーに直接インタビューしたって、その危険性を早期に見抜けないヤツは一杯いたんだから。現に、ロンドンのお偉方は揃いも揃って一笑に付しているのだし。

 で、ソ連が変だ、、、ということにも気が付いたガレス。ソ連が変なことに気付いていた人は他にもいただろうが、現地に潜入取材してしまうというのは、ガレスくらいだったんだろう。大体、外国人記者はモスクワから出してもらえない、ましてや現地(ウクライナ)になんぞ行かせてもらえないんだからね。ガレスは、監視の目を欺いて、現地の人しか乗らない汽車に乗り換える。

 この汽車の中のシーンが怖ろしい。そこまでガレスが乗って来たのは、食堂車もある豪華列車。賑やかな車内は、内装も色彩豊かで、ガレスは監視者と酒を飲みながら食事をする。監視者がウォツカを飲み過ぎて酔っ払った隙に乗り換えた汽車の中は、灰色一色。壁も座席も、人々の着ている者も、、、色がない。そしてシーンと静まりかえっている。その落差に愕然とする。

 突然乗り込んできたガレスに、現地の人たちは皆一様に不審の目を向ける。ガレスも一瞬戸惑うものの、まだ実態を分かっていない彼は、しばらくすると手荷物の中からパンを取り出して口へ運ぶ。乗り合わせている人々は一斉にガレスに注目し「食べ物だ……」と囁く声もする。列車が揺れた拍子にガレスがパンを取り落とすと、一斉に皆がそのパンにたかる。その様は、例えが悪いが、本当に、まるでハエのよう、、、。

 それを見て、ガレスもようやく、ここの人たちが“異常な飢え”の状態にあることを察する。……とはいっても、本当に凄まじい光景を目にするのはその後なんだが。凄まじいと言っても、本作内の描写は抑制的で、それほど凄惨なシーンはないが、当然カニバリも出てくるし、痩せ細った死体を山積みにした荷車が通り過ぎていくシーンもある。

 それを目の当たりにして、ガレスは怖れをなして引き返す、、、どころか、さらに真相を探ろうと、身の危険も顧みずに現地の人に「これは一体どういうことなんだ?」等と聞き回るのだ。そして、案の定、捕えられる。


◆おそロシアに生きる。

 普通だったら、ここで殺されるところを、NYタイムズのモスクワ支局長ウォルター・デュランティというアメリカ人の口利きで救われる。このデュランティ、スターリン賞賛記事を書いてピューリッツァー賞なんぞももらっているんだが、半面、モスクワで乱交パーティーに興じるなど、共産主義の闇を見ぬ振りをして恩恵だけ享受しているという、曲者。外国人記者のよしみだろうか、スターリンをバックにガレスを助けてくれたわけだ。

 結局、ガレスはソ連から追い出され、ロンドンに戻ってウクライナで見てきたことを記事にする(史実ではロンドンではなく、ドイツに戻った様子)。しかし、デュランティはそれを真っ向から否定する記事をNYタイムズにデカデカと書き、ガレスはロイド・ジョージにもクビにされるわ、ソ連からはさらに睨まれるわで、居場所がなくなる。

 でも、そこでめげないのがガレスのすごいところ。『市民ケーン』で描かれたアメリカの新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストに直談判して、NYタイムズに大々的な反論記事を書いて載せるのだ。

 本作は、ここで終わっている。しかし、史実では、これによってソ連に決定的にマークされることとなり、その2年後、満州で殺された。満州にはソ連に内通しているものがいて、それらに殺されたという見方がされているみたい。真相は今も分かっていないとのこと。

 ……まぁ、彼の生き様に見合った最期なんだろうが、今も、ロシアでは体制に(というかプーチンに)逆らうと毒を盛られるという、本作の頃からの精神が脈々と受け継がれている。まさしく、“おそロシア”を地で行く国である。

 ガレスが命の危険を冒してまでウクライナを取材し記事化したのは、恐らくは記者としての使命感と、人としての正義感によるものだろう。それは誰にでも真似できるものではないけれども、そうすることで、悪を挫くことには大抵はならず、正義を通した方が冷や飯を食わされるのが、現実世界なのである。最悪の場合は、ガレスのように命を奪われる。日本でだって、、、ねぇ。公文書改ざんのスクープ記事が出たら、一昔前までなら内閣は吹っ飛んでいたはずなのに。スクープすれば斬られる、飛ばされる。一方で、悪はさらに強大化して居座り続ける、、、がーん。

 片やデュランティは、死んじまったらおしまいとでも言わんばかりに、現実主義を貫く。記者の風上にも置けぬイヤらしいヤツだが、彼のピューリッツァー賞は剥奪もされておらず、恐らく天命を全うしている。

 どちらの生き方が正解かなんて、誰にも言えない。そりゃ、ガレスみたいに生きられたらカッコイイけどね。

 自分だったら、、、まぁ、私はガレスにもデュランティにもならない、というかそもそもなれないが、なれる能力があったとしてもならないだろうな、と。ある意味、私は、デュランティよりも卑劣で、記者なんか早々に辞めて、高みの見物を決め込むのではないかと思う。ガレスのように闘う気力もないし、デュランティのような権力欲もない。それか、西側に亡命するかもなぁ。今の日本でもイヤなのに、ソ連で生活できたとは思えない、、、。


◆カニバリの歌、オーウェル、HBCの曾祖父さま、その他もろもろ、、、

 ウクライナの雪深い林を彷徨っているガレスの映る背景に流れる歌が、もの凄く怖い。メロディは単調だが哀しげで、歌声は今にも消え入りそうなか細さ。しかも歌詞がグロい。

 ♪飢えと寒さが家の中を満たしている/食べるものはなく寝る場所もない/私たちの隣人は もう正気を失ってしまった/そして ついに……

 これを子どもたちが無表情で口ずさんでいるのである。ホラー映画よりも遙かに怖ろしい光景だと思った。

 ガレスが降り立った駅では、ホームや道ばたで人が倒れて(死んで)いるが、誰も気にも留めない。もはや、風景の一部になっている。これと似たシーンは、『戦場のピアニスト』でもあった。ゲットー内を歩くシュピルマンの足下には死体がゴロゴロ転がっているが、道行く人も、シュピルマンも、それを避けて歩くだけ。

 この、ウクライナの飢饉はあの『チャイルド44 森に消えた子供たち』でも背景として描かれていたが、私は本作を見るまで、それがただの飢饉だとしか思っていなかった。でも、実際は“人工的な大飢饉”であったと知り、驚いた。ホロドモールと呼ばれ、虐殺とされている。ソ連が隠蔽したので正確な実態は分かっていないが、犠牲者は300万人を超えると言われている、、、とのこと。このことは、現在のウクライナーロシア関係にも影を落としているらしいが、……まあそらそーだよね、こんなことがあれば。

 あと、本作では、あのジョージ・オーウェルも出てくる。史実と年代が少しズレているけれども、『動物農場』を執筆しているシーンが所々で挟まれ、終盤ではガレスと直接対面するシーンもある。『動物農場』は、原作の方が面白いけれど、アニメもまあまあ良いので、一見の価値はあるかも。演じていたのが、ジョゼフ・マウルというイギリス人俳優だが、何となくオーウェルの風貌に似ている(まあ、そういう人を選んでいるんだろうが)。

 一番印象に残ったのは、デュランティを演じていたピーター・サースガード。何ともイヤらしい感じがよく出ていた。『エスター』で無残に殺される父親役だったのかぁ、、、。『ブルー・ジャスミン』にも出ていたのね。

 ガレスがアドバイザーを務めていたロイド・ジョージは、アスキス首相の総辞職を受けて、首相に就いている。アスキス首相といえば、私の愛するHBCの曾祖父さま。本作では、ロイド・ジョージはあんまし良い感じには描かれていないけど、本作は、首相を退いた後の話になるみたい。ますます、若い兄ちゃんガレスが外交アドバイザーとして選ばれたのが面白い。

 モスクワの街並みとか、クレムリンとかがちょろっとでも出てくるかと思って楽しみにしていたけれど、、、、ゼンゼンだった。……ガックシ。

 

 

 

 

 

 

 

 


極限の飢え、、、想像を絶する。

 

 



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