映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

インドシナ(1992年)

2015-09-24 | 【い】



 仏領インドシナで暮らすフランス人女性エリアーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、今は亡き親友夫婦の忘れ形見で安南の皇女であるカミーユを養女として、親友夫婦のゴム園経営を引き継いで、実の父親と3人で暮らしていた。

 ある日、絵画のオークション会場でフランス軍将校のジャン・バチスト(ヴァンサン・ペレーズ)と出会い、2人は恋に落ちるのだが、エリアーヌを奪われると恐れた父親が2人の仲を引き裂く。そして、偶然、街中で起きたテロに遭遇したカミーユをジャン・バチストが助けたことで、運命の歯車は回り出す、、、。

 植民地における宗主国出身の女性と将校、そして現地の娘の愛憎劇を描いた壮大な物語。


 
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 本作は、大昔にBSで放映されたのをVHSビデオに頑張って録画したのに、間違って上書きしちゃって、当時、ソフト化されていなかったのでガーン、、、となったことをよく覚えています。その後、大分経ってからじゃなかったですかねぇ、DVD化されたのは。長い年月を経て、ようやく見ました。

 これ、レジス・ヴァルニエ監督だったのですね~。見終わってから確認して、やっぱりそうか、と思いました。レジス・ヴァルニエ監督作品というと、『イースト/ウエスト 遥かなる祖国』という素晴らしい映画があります。どこか、本作と語り口が似ているので、もしやと思いました。、、、つーか、見る前にそれくらい予習しとけよ、って感じですが、、、。

 まあ、なんとも壮大なオハナシでございます。幼かった養女カミーユが大人になって赤ちゃんまで産んで、その子が大人になるまで、足掛け40年近いお話です。40年経っても、ドヌーヴさまはお美しいまま、、、。いや、マジで、撮影当時48歳とは思えぬ美貌です、ドヌーヴさま。でもってまた、作中での衣装が素敵なことといったら。ため息が出てしまう。何を着てもお似合いというか、気品があるのですよね~。

 このドヌーヴさま演じるエリアンヌが、思いがけず恋に落ちるフランス軍将校ジャン・バチストを演じるヴァンサン・ペレーズが、まあ、イイ男には違いないんだけど、ドヌーヴさまに比べるとやや見劣りが、、、。誰なら良いかな~、、、ブノワ・マジメルとかはどーですかね。若すぎるか。ちょっと、ヴァンサン・ペレーズは品がないというか。ま、好みの問題ですけれど。

 植民地政策の功罪(と言っていいのか)を垣間見せられる作品です。エリアンヌは気丈な女主人で、現地の使用人たちを鞭打つ一方で、フランス軍の横暴から守ることもします。エリアンヌ自身、親友から受け継いだゴム園をとても大事にしており、植民地政策に反感を持つ現地の人間によるテロに遭いながらも、そのたびに立ち上がる、もの凄く強い女性です。ドヌーヴさまがとても魅力的に演じています。

 そんなエリアーヌがちょっと女性としてのはかなさ、弱さを見せるのがジャン・バチストとの恋愛。一瞬で終わりますが、エリアーヌの身を焦がすような思いが伝わってきてとても切ないです。

 結局、養女カミーユは自分と同じ男を好きになり、挙句、許嫁を捨ててその男の下に走り、逃亡生活の果てに子どもまで作って産むという、何とも壮絶な人生。

 最大の見どころは、カミーユとジャン・バチストの逃亡劇で、エリアンヌ自身は飽くまで受身な存在です。彼女自身が能動的に動いてドラマが動く、ということはありません。いわば、エリアンヌは運命と父親と植民地政策に翻弄された女性だった、ということだと思います。そして、対照的にカミーユは飽くまでも意思のままに生きた女性。ジャン・バチストとは引き裂かれたけれど、その子については潔く養母に託し、自らはレジスタンスに生きた女性となっています。

 母と娘の対照的な生き方を見せつつ、植民地という今から見れば特異な場所における、宗主国の人間と現地の人間の置かれた立場の違いも浮き彫りにしているところは秀逸だと思います。

 ジャン・バチストの悲惨な最期を見たエリアンヌは取り乱しますが、その姿から、彼女は、ジャン・バチストが養女の産んだ赤ん坊の父親になってもまだ、彼のことを愛していたのだと分かります。それがまた哀しい。

 そういう人間の心のひだを一つ一つ丁寧に描いているから、本作は見応えがあるのだと思います。 ストーリーを追うと、ふ~ん、、、という感じなんですが、その辺がこの監督の凄いところでしょう。そして一つ一つのシーンにほとんど無駄がなく、また映像がとても美しいのです。そういう点では『イースト/ウエスト 遥かなる祖国』もそうでした(ちなみに、『イースト/ウエスト~』にもドヌーヴさまはご出演で、すごい重要な役どころを演じておられます)。

 こういう作品こそ、映画と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。決して、スペシャルだろうが何だろうかTVドラマでは真似できない境地です。






出番は多くないけれど、ドヌーヴさまの魅力を堪能できます。




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2 コメント

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インドネシアとちゃう (松たけ子)
2017-04-08 23:32:51
すねこすりさん、こんばんは!
この映画、なかなかの佳作ですよね。ベトナムに行きたくなりました。
ドヌーヴ女王の美貌と貫禄、ファッションが、まさにザ・大女優でしたね~。ただキレイなだけ、ただ演技が巧いだけの女優とは何もかも格が違うって感じ。
ヴァンサン・ペレーズ、どっちかっつーとジゴロ系?王妃マルゴの彼が好きかも。
イーストウェスト、また観たくなってきました。おそロシアな内容の映画でしたよね。
昔も今もおそロシア。 (すねこすり)
2017-04-09 17:21:44
たけ子さん、TB&コメありがとうございます♪
王妃マルゴ、見なくっちゃ。
トランプ閣下の暴挙のせいで、まじでおそロシアが牙を剥くかも。これぞホントのおそろしやですね。
お嬢さん、広島はイオンシネマで6月公開って出てます。お近くですか?

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