作品情報⇒https://press.moviewalker.jp/mv87151/
以下、公式HPからあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。
=====ここから。
かつて兄弟同然に育ち、近年は疎遠となっていた従兄弟同士、デヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)が数年ぶりに再会した。亡くなった最愛の祖母を偲んで、彼女の故郷ポーランドを旅するためだ。
参加した史跡ツアーでの新たなる出会い。旅の先々で揺れ動く感情。
正反対の性格ながら互いに求める“境地”は重なり合う、そんな2人がこの旅で得たものとは?
=====ここまで。
ジェシー・アイゼンバーグが監督も務める。プロデューサーに、エマ・ストーンが参加。
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1月末に公開直後から見たかった本作。ようやく、先月半ばに見に行くことが出来ました。終映ギリギリ、間に合った~。
◆I POLSKA !
見たかったのは、本作の舞台がポーランドだから。しかも、全編ポーランドロケを敢行したと聞いていたので、これは是非見たいと思っていた。
オープニングとラストがNYの空港である以外、本当にずーーーっと、ポーランドが舞台であった。私は、ポーランドはワルシャワしか行ったことがないけれど、あの文化科学宮殿も一瞬映るし、俯瞰で交差点が映るが、恐らくあそこは、私が宿泊したホテルに面していたラウンドアバウトだ。わ~~~っ、と声が出そうになってしまった。
しかも、デヴィッドとベンジーが目の前にそびえたつその文化科学宮殿を見上げるときに流れているのは、ショパンの練習曲の中でも一番好きな12の練習曲第1番。もうこれだけで、ウルッと来てしまった。
ちなみに、本作の劇伴は全てショパンによる楽曲。まあ、ポーランドだもんね。オールショパンにした意図がプログラムに書かれていて、あまりここに書くのもアレだからやめておくが、デヴィッドとベンジーの心象風景として最適解であると考えた、、、ということのようだ。監督のアイゼンバーグとしては、話の内容が内容だけに、他の楽曲を使用することは考えられなかったらしい。
ともあれ、映画とショパンの楽曲が実に見事に合致しており、監督の狙いは当たっていたと感じる。
ワルシャワでのシーンは短くて、ゲットー記念碑とワルシャワ蜂起記念碑が出て来るのみ。私は、蜂起博物館には行ったが、この2か所には行けなかった。また時間をかけて滞在できることがあれば、じっくり色々回ってみたいな、、、。
◆ベンジーとデヴィッド
ツアー参加者の面々が初めて顔を合わせるシーンから、見ている者の心をザワつかせる。
ルワンダ虐殺を生き延びてカナダに移住したのを機にユダヤ教に改宗したエロージュの自己紹介を聞いたベンジーは、そんな劇的な話の後に自己紹介をすることについて「やりにくいなぁ」とあっけらかんと言い放ち、一瞬、場が凍りかける。その状況に、デヴィッドの顔には明らかに困惑、焦りが浮かぶ。が、その後に続くベンジーの話で、雰囲気は和み、事なきを得る。
また、ワルシャワ市内観光に出たら、記念碑の前でポーズをとって写真を撮ると言い出すベンジー。不謹慎ではないかと戸惑う一同を尻目に、楽しそうにポーズをとるベンジーに触発され、他の参加者も次々にポーズをとってカメラを構えだす。その様子に、やはり戸惑うデヴィッド。
……といった具合に、ベンジーの場の調和を躊躇なく壊す様に、デヴィッドだけでなく、映画を見ている者たちも何となく気まずさ、居心地の悪さを感じるのだ。
ベンジーのKYっぷりは止まらない。
全員でテーブルを囲んだディナーの最中にぷいと席を外したり、ツアーガイドのガイドっぷりに異を唱えたり、、、、。私は、明らかにデヴィッドタイプの人間なので、ベンジーのこういう行為は正直ストレスを感じる。デヴィッドも、彼の言いたいことは理解できてしまう。でも、「それ今言う?」「え、そこ??」となりつつも、臆せず言葉にして発するベンジーに嫉妬心にも似た感情を抱く。
デヴィッドは、ベンジーが席を外した後にツアー参加者に言う。「アイツが憎いけど、アイツになりたい」(セリフ正確じゃないです)と。
印象的なシーンは、強制収容所のあるルブリンで、ホロコーストの犠牲者たちの墓石を前に、立て板に水の如く説明をするガイド氏に、ベンジーは「言葉ではなく、感じたい」と言うところ。
私は、でも、ここでグッと来たのは、ベンジーの言動ではなく、ガイドのジェームズの反応だった。自分が良かれと思ってやっていることを、ツアーの面々の前であそこまで全否定されたら、普通の人間ならカチンと来て反論の一つもしたくなるところだろう、でも、ジェームズは戸惑いつつもベンジーの言葉と気持ちに寄り添い、理解を示すのだ。研究者として、いろんな意見を否定しないという思考訓練ができているのだろうが。
ジェームズがベンジーの言葉を受け入れたことで、ツアーがより参加者にとって良い思い出に昇華されただろうし、なにより、強制収容所を訪れた意味が増したに違いない。
同じツアーに、もしベンジーが居たら。私ならどう感じるだろうなぁ、、、と思いながら見ていたが、やはり、本作内の参加者と同様、戸惑いつつも、受け入れるだろうな、と思った。場の空気を乱すので、ハラハラするけど、不思議と怒りや不快さは感じない。むしろ、ツアーがより豊かなものになるんじゃないのかな、と素直に思うわ。それが、ベンジーのキャラであり、デヴィッドが「アイツになりたい」と思う所以だろう。
◆その他もろもろ
ジェームズは、妻子があって定職もある、、、という背景が分かるのだが、ベンジーはどんな生活をしているのか、本作内ではほとんど分からない。恐らく、無職だろうし、もしかすると、ホームレスに近いのかも??とさえ感じる。
対照的な従兄弟同士の2人だが、正直なところ、序盤ではもしかしてこの2人は同性愛関係にあったのか?と感じる部分もあった。
というのも、2人がホテルに到着した後、ベッドに並んで座ると、ベンジーはデヴィッドの脚を見て「キレイな脚だ」としみじみ言うのだ。それまでのNYの空港からの経緯を見ても、どことなく2人の間には何か独特の空気があるように感じたから。
でも、どうやらそれは私の勘繰り過ぎで、従兄弟どうしの2人は幼い頃から仲が良かった、、、というだけらしい。最近、ゲイ映画を立て続けに見ていたからかしらん。
オスカーをゲットしたキーラン・カルキンは、なるほどの演技で素晴らしい。ただのKYではなく、どこか危うさを持ちつつ、皆を魅了するという難しいキャラにピッタリの見た目と喋り方だった。あえてアドリブで演じたシーンも多かったとのこと。
そんなちょっと型破りなカルキンを、マジメなアイゼンバーグが戸惑いつつも受け止めて演出したってのは、この映画のベンジーとデヴィッドそのままではないか。良い映画になるわけだ、、、と納得。
ガイドのジェームズを演じたウィル・シャープが良かった。この方、「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」の監督を務めていたとは。見たかったのにまだ見てないのだ、この映画。見なくっちゃ。
ポーランド、また行きたい!!
コペルニクスやキュリー夫人もポーランド出身なんですねェ。因みにワルシャワの教会には、ショパンの心臓が埋葬されているそうですが、パリで亡くなったあと遺言通りにとは言え、心臓を取り出す様子を想像すると、ちょっと・・・ねぇ。
↓私もジャムの入ったチョコビスケットが大好きで、Bahlsenのオレンジがお気に入りです。
車で!いいなー、いいなー、、、うらやまC。
15時間で行けるのですね。遠いようなそうでもないような。
地味ですが、良い映画でした。是非、ご覧くださいまし。
謎オスカーが多い中、キーランのオスカーは納得です。
ショパン、せめてこの心臓だけでも、、、という思いだったんでしょうか。
その聖十字架教会からコペルニクス像も見えて、、、ああ、また行きたい。
Bahlsenのオレンジ、検索しました!が、日本では売っていないみたいです(;_;
何で日本で売らないんだろ。絶対好きな人多いと思うのですが、、、。
ポーランド旅行記、是非アップしてください! お願いします!!