映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

マエストロ:その音楽と愛と(2023年)

2023-12-30 | 【ま】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv83880/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 ウクライナ系ユダヤ人移民の2世としてマサチューセッツ州ローレンスに生まれたレナード・バーンスタインは、美容器具販売業を営む父の反対にあいながらも、プロの音楽家の道を志す。

 決して恵まれた音楽環境ではなかったものの、ニューヨーク・シティ交響楽団の音楽監督に就任するレナード。チリ系アメリカ人の女優フェリシアとパーティーで出会ったのは、そんな希望に満ちた1946年だった。

 レナードとフェリシアは結婚、ジェイミー、ニーナ、アレクサンダーと3人の子どもを授かる。だが、フェリシアは結婚前からレナードが男性と関係を持っていることを知っていた……。

=====ここまで。


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 バーンスタインが亡くなって、もう30年以上経つのか、、、とビックリ。個人的には、指揮者としての彼は、まぁ、、、別に好きでも嫌いでもないのだけど、やはり、作曲家として天才だと思っています。……といって、彼の作品は聴いたことないものの方が多いんだけど、あの『ウエスト・サイド物語』だけ聴けば、その才能が分かるというもの。

 本作は既にネトフリで配信しているけど、演奏シーンもありそうなので、やっぱし劇場で見るでしょ、これは、、、と見に行ってまいりました。

~~以下、本作で感動した方、本作をお好きな方、、、はお読みにならない方が良いです。悪意はありませんが、かなりの悪口になっておりますので。~~


◆なんじゃこりゃ、、、(心の声)。

 正直に言います。この映画は、かなり時代遅れだと思います。

 21世紀のこのご時世に、夫婦愛のキレイごとを描く意味って、どんくらいあるんでしょーか? んで、もひとつ言うと、実在した人物の物語を描くのに、その人物について忠実に模写する意義って、どんくらいあるんでしょーか??

 イマドキ、こんな内助の功映画、誰が見たい? こんだけセクシャルな問題が世界的に多々噴出している時代に、妻の忍耐の上に成り立った夫の奔放極まる人生を思いっ切り表層的に描いている作品、、、70年代かよって、ビックリ。時代錯誤とまでは言わないが、機を見るに疎すぎるのでは。

 おまけに、もうさんざんやりつくされた感のある“ソックリさん芸”。ブラッドリー・クーパーの熱演は、まさに“熱演”であり、まったくもってウザいの一言。彼の演技には、高峰秀子様のこの辛辣なお言葉を進呈しよう。

“よく映画評論家に「熱演」などと書かれてウハウハ喜ぶ俳優がいるけれど、熱演に見えるのは、つまり画面からハミ出している、ということで、一言でいえば出しゃばりすぎ、「オマエ、シロートだねぇ」と言われているのと同じこと。俳優にとっては「恥」だと私は思っている。”

 2時間以上ある本作だが、もうほとんどの時間、ドン引きして見ていた。本作関係が、来年のオスカーの主要部門を複数ゲットするようなことがあれば、既に私の中では地に堕ちているアカデミー賞に対する価値は、跡形もなく霧散することになるだろう。それくらい、本作は映画としてお粗末である。


◆敢えて見どころを挙げる。

 本作で見るべきところがあるとすれば、たった1つ。それは、中盤の、イーリー大聖堂での『復活』の演奏シーンだ。ブラッドリー・クーパーの“熱演”が、ではなく、その音楽が、、、である。

 私、あんましマーラーって好きじゃない、、というか、嫌いじゃないけど、シンフォニーだと良さが分からんのが結構ある。特に、歌付きのは、聴いているだけで疲れる曲もあり(8番とか、、、)、CDも全曲は持っていない。2番はその中では聴きやすい方だと思うが、それでもあんまし積極的に聴きたくなる曲ではなかったのだが、今回、このシーンを見て“あら、、、この曲ってこんなにイイ曲だったんだっけ??”と思ったのだった。

 しかも、この音源は、実際にクーパー指揮でのものだという。サントラも、クーパー指揮で出ているらしい。あの『ター』と同じ趣向だ。Amazonで見ると、ネゼ・セガンの名前も並列して書かれているので、全てクーパー指揮の音源ではないのかも? よく分からんが。

 で、このシーンの持つ意義は、“本番の演奏会シーン”であることだ。『ター』でも書いたが、指揮者の真価は、やはり“本番でしか分からない”。そういう意味で、このイーリー大聖堂での本番シーンを入れたのは、稀代の指揮者の映画を撮るという志を強く感じられるものであり、素晴らしい。特に、『ター』を割と近い時期で見ているから、その対比で余計にそう感じたのだと思うが、、、。

 ……マジで、これ以外に、私的には見るべきところがほぼない映画であった。驚いたことに、エンドマークが出た直後に、劇場内でパラパラと拍手が起きたんだが、感動した人もいるんだなぁ、、、と不思議な感じがした。やはり、見る人によって感じ方ってゼンゼン違うのだね、当たり前だけど。

 キャリー・マリガンが出ていなかったら見なかったかも知れないのだが、、、彼女自身は良かったけど、ちょっともったいなかったかな。タイトルが“マエストロ”だから、バーンスタイン自身が主人公かと思うけど、実際には、彼女が演じた妻が主人公の話だよなぁ、これ。タイトルが詐欺やない?

 折角バーンスタインをとりあげるのなら、その天才っぷりが如何なく発揮された作曲家としての人生を主軸に描いてほしかったね。夫婦善哉なんかもういらん。3人の子たちの全面協力があったってことらしいけど、だからこういう映画になったんだろうな、、、としか思えない。ある人物を描くのに、身内の協力を得たら、そら負の側面は絶対に描けないもんね。人間、善だけの存在なんてあり得ないんだから、遺族の協力なんか得るのはクリエイターとしてはちょっと甘いかな、とも思う。

 

 

 

 

 

 

老けメイク、、、リアル過ぎてちょっと気持ち悪かった。

 

 

 

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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年)

2023-12-26 | 【し】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv56908/


以下、ソニーの商品紹介ページ(?)よりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 ロサンゼルスの有名レストランで料理長を務めるカールは、口うるさいオーナーや自分の料理を酷評する評論家とケンカして店を辞めてしまう。心配する元妻イネズの提案で、息子パーシーを連れて故郷のマイアミを訪れたカールは、そこで食べたキューバサンドイッチの美味しさに驚き、フードトラックでサンドイッチの移動販売をすることを思いつく。

 カールはイネズやパーシー、仲間たちの協力を得て、マイアミからニューオリンズ、ロサンゼルスへと旅を続けながら、本当に大切なものを見つけていく。

=====ここまで。


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 職場に「団地ともお」の“ともお”がそのまんま大人になったような男性がいるんだけど、彼が、この映画が公開された当時「すねこすりさん、これ、すげぇ~良かった!まぢでっ!!見てみて!!!」と、細い目を1本線にして満面の笑みでオススメしてくれたのでした。

 まあ、ちょこっと面白そうかなぁ、とは当時も思ったものの、あんましそそられないなぁ~、と長らく放置してしまい、、、(ごめん、ともお)。先日、BSでオンエアしていたのを録画して、ようやっと見たのでありました。


◆ん~~~、やっぱりごめん、ともお。

 結論から言うと、面白いけどつまんなかった、、、という矛盾した感想となったのだった。

 見ている間はお気楽に、アハハ~!と見られるし、鑑賞後感も良い。けれど、噛み応えが無いというか、見て終わり、、、な作品だった。

 普段からちょっとクセのある映画ばかり見ているせいか、どうも素直に画面を見ていられない。平和に話が進んでいても「この次のシーンで何か大問題が起きるのでは?」「この後、とんでもない悲劇が起きるかも??」とかドキドキしながら見てしまう。……で、結果、何もなく、いたって平穏無事に終始したストーリーは、私にとってはあまりにも単調過ぎるように感じられてしまうのだった、、、ごーん。

 つまり、山ナシ谷ナシ、ハッピー&ラッキー、みんなイイ人、イエ~イ!! な映画は、最早私の心には何も響かないのである。……これって、哀しむべきこと?

 いやまぁ、一応、谷はあるんだよね、序盤。YouTubeが炎上して店をクビになるっての。でも、その後のリカバリーは全くノープロブレムでスルスルと話が進んでいく。本人が努力するとか何とかではなく、周りがあれやこれやとお膳立てしてくれる、試みは全て吉と出る、結果、大成功!!ってさ、あーそーですか、の最たるもんじゃん。現実はそんなに甘かねぇよ、とか言いたくなるわけよ、性格が歪んでいる者としては。

 え?? 名シェフになるまでに努力したんだよ、、、って? そんなん映画で描かれてないから知らんわ、、、って。

 本作は、ファンタジーだと割り切って見れば楽しいし幸せになれて良いよね~~、というわけで、ともおの推し映画なのも納得ではある。職場のともおは、アバウト営業マンだからな。

 ちなみに、ともおには感想は言っていない。もう、ともおは覚えていないだろうから、この映画をかつて私に激推ししたこと。そういうヤツなのよ。……いや、これは悪口じゃないのよ。そういうところが彼の良さだってこと。 

~~以下、ネタバレバレです。~~


◆ラストが、、、

 ファンタジーと書いたけど、ちょっと、どうもなぁ、、、と思ったのはラストのオチ。

 何と、カールと元妻イネスは、復縁して再婚パーティを盛大に開くのである。それがラストシーン。……はぁ??まあそら、世の中そういうことはあるでしょう。でもさあ、絶対また上手く行かなくなるの、火を見るより明らかやん、この2人、、、、とかって思う私は、やはりリアリストなのか?

 何か、そこまでは内心ツッコミを入れながらも、まあ、割り切って見ていたつもりだったんだけど、最後の最後でズッコケた。

 別れた男と復縁、、、私にはあり得んわ~。別に嫌いになった人はいないけれども、正直、もう違う世界で生きていたいと思ってしまう。こういう映画や話を見たり聞いたりすると、ホントに不思議で分からなくて、ちょっとイヤな気持ちにさえなるんだよね、、、何でだろう。どうして復縁なんてする気になれるのか、、、。
 
 とはいえ、2人の息子ちゃんは可愛いし、カールの作る料理はどれも美味しそうだし、こういう映画にケチをつける方が野暮ってもんだろう。

 疲れたときとか、ボーッとしながら見られる映画ではあるが、落ち込んでいるときに見たら、「こんなウソくさい話あるかよ!!」って却って落ち込むかも知れない危険はあるかもね、、、いや、ないか。

 ゼンゼン感想文になっていなくてスミマセン。

 

 

 

 

 


キューバサンドイッチ、めっちゃ美味しそうだった。食べてみたい。

 

 

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CLOSE/クロース(2022年)

2023-12-19 | 【く】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv80389/


以下、公式HPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。

 13歳になる2人は同じ中学校に入学する。入学初日、ぴったりとくっついて座る2人をみたクラスメイトは「付き合ってるの?」と質問を投げかける。「親友だから当然だ」とむきになるレオ。その後もいじられるレオは、徐々にレミから距離を置くようになる。

 ある朝、レミを避けるように一人で登校するレオ。毎日一緒に登下校をしていたにも関わらず、自分を置いて先に登校したことに傷つくレミ。二人はその場で大喧嘩に。その後、レミを気にかけるレオだったが、仲直りすることができず時間だけが過ぎていったある日、課外授業にレミの姿はなかった。心ここにあらずのレオは、授業の終わりに衝撃的な事実を告げられる。それは、レミとの突然の別れだった。

 移ろいゆく季節のなか、自責の念にかられるレオは、誰にも打ち明けられない想いを抱えていた…。

=====ここまで。


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 先日、『aftersun/アフターサン』との2本立てで早稲田松竹まで見に行ったのですが、『aftersun/アフターサン』はちょっともう一度見てみたいというのがありまして、感想は再見してから書こうと思います。

 で、本作は、公開前に予告編を何度か見ていて、あんまし食指は動かなかったんだけど2本立てなので、まあ見てみるか、、、という感じで見た次第なんですが。うぅむ、これはちょっと、、、、という感じの感想になりますので、本作がお好きな方、ここから先は自己責任でお願いします。

~~以下、ネタバレバレです。~~


◆フィクションにおける“自死”

 上記のあらすじにある「レミとの突然の別れ」というのは、レミが自殺で亡くなってしまった、、、ということ。

 このブログでも何度か書いているが、私はどうも、自殺というファクターが苦手というか、正直言うと好きじゃない。もちろん、展開に必然性が感じられればよいのだけど、唐突な感じで、話の大転換に“自殺”が入ると、どうも引いてしまう。

 本作もそうで、予告編では仲良し少年の一人が自殺でいなくなってしまうという感じでもなかったので(まあ、真剣に予告編を見ていなかったから、見抜けていなかっただけかも知れんが)、これは完全に不意打ちを喰らった。そして、レミを自殺させる展開が、私にはどうも違和感バリバリで終始してしまったのだった。

 自殺の原因は人それぞれであり、第三者が納得できるものばかりじゃないし、納得できる必要はない。本人が死を選んだ、それが全て。現実世界ではそうだけど、フィクションの世界でそれをやったら、“展開に困ったら自死”という安易な使われ方にもなりかねず(実際そういう安易さを感じるシナリオはあるしね)、私としてはかなり抵抗を覚えるのである。

 レミは、レオとのそれまでの関係が変化していくことを受け入れられなかったわけだが、子供でも大人でも人間関係で距離感に変化が起きるのは当然の現象であり、もっと言えば、人間関係なんて程度の差はあれ、全てが「片想い」であると言っても過言じゃないのでは。お互いの思いの重みに全く差がない関係なんて極めてレアだろう。レミ少年は、レオに冷たくされたり素っ気なくされたりして、それまでの濃密だった関係が壊れていくことに絶望し(?)、結果“自死”を選ぶというのは、、、どうなんだろうねぇ、ということである。レミの性質がそういうものだった、と言われればそれ以上反論の余地はないのだけど、、、。そうなると、詰まるところ、本作は何を描きたかったのか、、、という根本的な問いになってしまうのである。

 本作を最後まで見て、私にはそれがイマイチ胸に届いてこなかったんだよね。何を描きたいか、、、なんてのがそもそも非常に陳腐な問いなんだが、未来ある少年を一人、フィクションとは言え物語の中で殺しておいて、結局、見終わって何かピンと来ないというのは、私としては腑に落ちないのである。

 直近で『戦場のピアニスト』を見たのもあるかもね。あれは、いつ死んでもおかしくない状況で、ひたすら生きる主人公を描いているので。

 本作の主題は、多分、“取り返しのつかない喪失からの再生”であると思うのだが、それを描くのなら、別にレミを死に至らしめる必然性はないと思ってしまう。とはいえ、現実世界では、自死は確かに起きていることであり、それで遺された者が苦しむことも多々あるのであり、それを映画にして描くことに意味がないはずはない。この辺は、私の感性の問題だと思うので、あんましグチグチ書き連ねるのはこの辺でやめておく。


◆あなたたち付き合ってるの?

 結果的に、レオは、レミの母親に、レミの自殺の原因が自身の言動にあった、と打ち明け、レミの母親がそんなレオを抱きとめる、、、という終盤の展開になるのだが、見ていてただただやるせなかった。

 たかだか13歳かそこらで、こういう経験をしたレオの今後を思うと、私がレオの母親だったら、レミをこそ恨むかも。レミの母親は、レオの言葉を聞いた後、一旦責める様な態度をとるが、思い直して抱きしめる、、、んだが、レミの母親にレオを責める資格は、ハッキリ言ってないと思うね。気持ちとしては仕方がないと思うけど。レオは、レミをいじめたり辛く当たったりしたわけではなく、ただレミとの距離感をちょっと変えようと試みただけだ。

 そのきっかけが、これまたありがちなんだが、クラスの女子生徒に「あなたたち付き合ってるの?」と言われたこと。自然過ぎる身体的な接触も多いレオとレミを見ていて、第三者がそう感じるのも、まあ別に不思議ではないだろう。それを言葉で本人に言っちゃうのはよろしくはないが、子供同士なら十分あり得るシチュエーションだ。そう言われて、レミは何とも感じなかったが、レオは気にするようになる。でも、気にするレオを責められないでしょ。ましてや、レオはその後、クラスメイトから「女みたい」などとからかわれもするのだ。

 気にしないレミからすれば、そんなことくらいスルーできないレオが情けないってことかも知れん。でも、何をどう気にするかのポイントは、人によって全然違うのだから仕方がない。

 レオはゲイと思われることを気にして大親友との距離を取ろうとした。レミはゲイと思われたって平気だけど、レオに距離をとられることに死ぬほど傷ついた、、、。これぞ、悲劇である。何も死ななくても、、、と、それなりに人生の修羅場をくぐって来たオバサンとしては、やっぱり思ってしまうのだよ。嗚呼。


◆その他もろもろ

 レオを演じたエデン・ダンブリンは、本作がデビュー作とのこと。本作は、終始彼の姿を見続ける映画でもある。とにかく、最初から最後まで出ずっぱり。彼の居ないシーンがほとんどない。演技も自然で、演出が良かったのだろう。ちなみに、ルーカス・ドン監督自身はゲイであることを公表しており、本作はしかし、自身の経験が基になっているとかではないとのこと。

 レオの母親は、『ジュリアン』でジュリアンの母親役だったレア・ドリュッケール。あんまし出番はなかったのが残念。レミの死後、レオとの関係が描かれるレミの母親はエミリー・ドゥケンヌ。どっかで見たなぁ、、、と思いながら見ていたのだが、『天国でまた会おう』で主人公のお姉さんを演じていたお方だった。『ロゼッタ』(未見)や『ジェヴォーダンの獣』にも出ていたのか、、、。『天国でまた会おう』もまた見たくなってきた、、、。

 ……そんなわけで、本作の感想はあんましまともに書けなかったのだが、作品自体を貶す気は毛頭ないし、本作を好きという感想を否定する気ももちろんありません。

 

 

 

 

 

 

 


近過ぎる人間関係は破綻する、、、ってことかもね。

 

 

 

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戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版(2023年)

2023-12-05 | ★10個の作品

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv77266/


以下、各案内からのコピペです。

=====ここから。

 12回目を迎える「ポーランド映画祭」が11月24日から30日までの7日間、YEBISU GARDEN CIMEAで開催される。「戦場のピアニスト」4Kデジタルリマスター版のスペシャル・プレミア上映をはじめ、ポーランドを舞台にした傑作からポーランドの今を描いた意欲作まで全12作品が上映される。「映画.com」より)

 ロマン・ポランスキーの監督作「戦場のピアニスト」がワルシャワ・ゲットー蜂起から80年の今年、4Kデジタルリマスター版として12月1日に全国公開決定。「Yahoo!ニュース」より)

 日本では2003年に劇場公開され、第2次世界大戦終結から70年目の2015年にデジタルリマスター版でリバイバル公開。2023年には4K デジタルリマスター版でリバイバル公開。「映画.com」より)

 今回の4Kデジタルリマスター化に向けて、まず約4トンもの35mmネガがポーランドのファクトリーに送られて作業がおこなわれたとのこと。オリジナルのネガには粒子がかなり残っていたため、ポストプロダクションのスタッフは「粒子を除去する手順を全て開発した」とのことです。「映画『戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版』公式」Xより)

=====ここまで。


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 この映画については、過去2度書いているけれど、1度目は初めて見た後(BS録画したの)、2度目は初めてスクリーンで見た後(午前十時の映画祭で)で、どちらも何となく書きたいことを書けていないなぁ、、、と思っていたのでした。それは、私があまりにもこの映画の背景を知らな過ぎたこともあるし、衝撃度が大き過ぎて冷静に書けなかったこともある、、、。それに、1度目は、なぜか9コにしているのだが、今の私にとっては、もう迷いなく10コだし。

 いずれにせよ、いつかもうちょっとマシな感想文を書きたいとずーっと思っていたので、今回、4K版がリバイバル上映されて、久々にスクリーンで見ることが出来たのを機に、きちんと本作と向き合ってみようと思った次第。

 ポーランド映画祭でのプレミア上映では、上映後に久山宏一氏(ポーランド広報文化センター)の短いレクチャーが、また、公開後12月3日の初回上映後には、本作の主人公ウワディスワフ・シュピルマンのご子息クリストファー・W・A・スピルマンのトークがあり、どちらもとても興味深いお話(後述)を聞けて良かったです。

 4Kデジタルリマスターとのこと、正直、ポ映画祭のプレミアではイマイチ画質が良くなったのかどうか分からなかった(!)のだけど、3日の上映では、画質もだけど、音がすごくクリアで迫力が増したのを感じました。本編前にリマスターについての簡単な経緯が字幕で紹介され、なかなかヘヴィな作業だった様子。最新技術に感謝。


◆本作にここまで惹かれる理由は何か。

 正直なところ、ホロコースト映画でハッキリと「好き」と言える映画って、、、本作以外に思いつかない。割と好きなのは「あの日のように抱きしめて」とか「サラの鍵」とかあるし、衝撃を受けた「異端の鳥」も逸品だと思うのだが、これらの映画は、もうとにかく見たくて何を措いても劇場に行ってしまうという“衝動”が伴うことはない。劇場で見る機会があれば見に行くかもしれないが、都合がつかなければ行かないし、「見に行かない」という選択肢がある。でも、本作は、劇場で上映されているのに「見に行かない」という選択肢は、ない。ないのよ、絶対。

 ちなみに、前述の3作品は、いずれも原作を買ったり、関連情報をネットで調べたりはしたけれど、今んとこ原作本はまだ積読状態。でも、本作の原作本は、購入してすぐに読んだし、パンフも古本サイトで購入したし、サントラも買った。ついでに言えば、この映画を見たから、ワルシャワに行ったのだ。

 今回、数年ぶりにスクリーンで迫力ある音とともに大画面の映像を見たわけだが、やはり好きだなぁ、、、と悲惨極まりない映像を目にしながら改めてその思いを嚙みしめた。多分、スクリーンで見たのはこれで7回か8回目だろうが、ゼンゼン飽きないし、見慣れて感度が摩耗するということもゼンゼンない。むしろ、見るごとに胸に迫るものが大きくなってくる感さえある。

 ホロコースト映画は星の数ほどあるけれど、その中で、どうして本作にだけこれほど惹かれたのか、、、は、自分でもけっこう謎で、いろいろ自分なりにずっと考えて来た。というわけで、本作の魅力と思う点を挙げてみた。

その1 時系列でストレートなシナリオ
 ヘンに回想やら時系列組み換えやらを一切していない。どんどん悪化していくシュピルマンの置かれる状況が、第二次大戦の進行とともに時系列で淡々と描かれる。時系列組み換えどころか、回想シーンすら一つもない。見る者の心を動かすシナリオに、小細工はいらん、、、ということ。

その2 単純な善悪で語っていないこと
 本作の特徴は、ユダヤ人警察の描写がかなりの幅を割いてされていることではないか。また、終盤シュピルマンを援助するドイツ軍将校についても、終戦後に捕らえられ、命乞いをするシーンを入れているなど、潔い英雄として描いていない。戦争という絶対悪な状況下で、善と悪など簡単に線引きできないこと、人間はそうそう単純なもんじゃないことを冷徹に描いている。

その3 主人公がカッコ良くないこと
 シュピルマンは、家族が一緒に生き延びられるようにあれこれ尽力するものの、状況的にはほぼ無意味であり、結果的に家族は彼以外収容所送りとなるだけでなく、一人収容所送りを免れた彼自身、家族を救おうだとか、ゲットー蜂起で仲間と闘うだとか(武器を搬送する手伝いはするが)、正義感から闘うような行動には出ない。とにかく、今を生き延びることだけである。ハリウッド的に言えばまるでカッコ良くない主人公。でも、それこそが、徹底的に破壊されたワルシャワの廃墟で生き延びるという奇跡をリアルに描いているのである。

その4 ほぼ全編シュピルマンの視点でのみ描かれていること
 その1にも通じるのだけど、本作は、ほぼ、シュピルマンが見聞きした以外のことが描かれていない。シュピルマン不在で物事が進行するシーンはほぼゼロである。ゲットー蜂起のときも、ワルシャワ蜂起のときも、その描写は彼の隠れ家の窓から見える風景とされている。独ソ戦などの歴史的な出来事は一切描かれていない。シュピルマンが砲撃の音を聞き、それについて、「ソ連軍が迫ってきている」とドイツ人将校が語るシーンがあるだけ。それなのに、いかに凄惨な状況だったかが、数多あるホロコースト映画よりも説得力を持って描かれている。

その5 あらゆる描写に容赦がないこと
 凄惨なシーンが多々あるのだが、肝心の箇所だけ映さないとか、そういうのが一切ない。頭を問答無用で拳銃で撃ち抜いたり、車椅子の老人が車椅子ごとベランダから投げ落とされたり、餓死した死体が路上でゴロゴロ転がっていたり、処刑された血みどろの死体が壁際に並んでいたり、、、。処刑シーンも最後までバッチリ映す。下手すると、ホラー映画とかよりよほど酷い描写が多々あるけれど、あくまで淡々とした描写で、凄惨さの演出などは当然なく、それが却って怖ろしく目を逸らせない。ショッキングなのは、ユダヤ人警察が同胞に対してストレス解消の如く酷い暴力を加えるシーン。しかもいっぱいある。とにかく、容赦がない。そして、それをただただ見つめるシュピルマンなのである。

その6 役者の演技が素晴らしいこと
 主演のブロディは言うに及ばず、ドイツ軍将校役のトーマス・クレッチマン、シュピルマン一家や彼を助けた人々を演じた俳優陣、エキストラの人々まで、とにかく一人としてマズい演技の人が出て来ないという奇跡みたいな映画である。これは、やはり監督の演出力でしょうな。

その7 映画として全く隙が無いこと!!
 イロイロ挙げて来たけど、本作は、ホロコースト映画で歴史大作でもありながら、シナリオ的には伏線がちゃんと回収されていたり、ところどころユーモアも交えていたりと、エンタメとしても仕上がっており、音楽・美術・映像あらゆる要素が、これぞ“ザ・映画”。最初から最後のエンドロールに至るまで、全く隙が無い、おそるべき映画。

 というわけで、いかにこの映画が素晴らしいかをダラダラ書いて来たのだが、異論はあるでしょうけど、受け付けませんっ!! だって、これは私にとっての最高の映画(の一つ)だからねっ。


◆久山氏とご子息のトークから

 私は自分が死んだら、棺桶に入れてもらいたい映画がいくつかあるのだけど、そのうちの1本が本作。……と思っていたら、何と、監督のポランスキーも、「自身が死んだら、本作のフィルムを棺に入れて欲しい」と言っているってぇじゃあ~りませんか!! マジか?! ちょっと嬉しいかも、、、。

 このエピソードは、ポ映画祭のプレミア上映での久山氏のレクチャーでお披露目されたもの。これを聞けただけで、久山氏のレクチャーを聞いて良かったわ~~、と感激。久山氏は、『COLD WAR あの歌、2つの心』公開前に映画についてのレクチャーを聞いたことがあり、そのときも興味深い話をしてくださった。今回、15分ほどの話だったけど内容は濃く、他にも印象的な言葉だったのが「この映画は、ごく普通の人間の目を通したホロコースト映画だが、シュピルマンはただの普通の人間ではなかった、彼はピアニストだった」といったもの(正確じゃないです)。

 実は、私は最初に本作(BS録画したの)を見た際、本作が実話に基づいていることをゼンゼン知らずに見て、最後の最後に字幕で、シュピルマンとホーゼンフェルトについての記述を見て、衝撃を受けたのだった。こんなことってあるの??と。事実は小説よりも奇なりではないか、、、。

 でも、ご子息のトークを聞いて、それもまた短絡的だったなぁ、と感じたのだった。というのも、シュピルマンは我が子にこの体験をほとんど話していなかったらしいのである。度々「悪夢を見た」と言うので、クリストファー少年は「お父さんは頭のオカシイ人」と思っていたとか。そして、本作の原作である『ある都市の死』については、戦後まもなく書かれた後、発禁処分になって長く埋もれていた、、、という風に言われており、wikiにもそのような記述があるが、クリストファー氏によれば「これは多分ウソだと思う」とのことで、これまたビックリさせられた。この原作本を、クリストファー氏の弟がリバイバルで上梓させようとして、そのような物語にしたのだと思う、、、と言っていた。むしろ、シュピルマン自身が辛い思い出が甦らないように封印した節があると。それくらい、この体験はシュピルマンにとって辛く重いものだったらしい。

 ……というエピソードも、完全な事実かどうかは分からないものの、そういう側面があるというのを知っておくのも大事かなと。

 また、シュピルマン自身は、彼を演じたブロディとは容貌も体格も全然似ていないのに、ブロディのふとした表情や仕草が「すごく父に似ていると感じるシーンがある」と話していたのも、驚きだった。……そういうものなのか。ちなみに、父方の祖父母や叔父叔母たちとは「この映画で初めて会った」とおっしゃっていた。

 本作の後半、一家の人々は、シュピルマン本人以外、誰一人全く出て来ない。それが何を意味するか、、、である。こういう映画の作りに、ポランスキーの並々ならぬ思いを感じる。

 ちなみに、ポ映画祭では、本作のプレミア上映以外に、長年見たかった「バリエラ」を見たのだけど、うわさどおり、訳分からんシュールな映画であった。上映後にスコリモフスキ監督自身のトークがあり(通訳は久山氏)、何と全編即興だったと聞いて妙に納得したのだった、、、。それでああいう映画になったのね、と。

 映画『戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版』は、全国でしばらくの間、公開されている模様なので、未見の方は、劇場まで是非!! こういうことを言うのは主義に反するのだが、敢えて言ってしまうぞ。

 

 

 

この映画は、一度は見ないと損です!!
 

 

 

 

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