映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

マウリツィオ・ポリーニ死去

2024-03-30 | 番外編


 先週の日曜日、朝起きて真っ先に目にしたのが、Xでのポリーニの訃報。

 その瞬間の私の脳内、、、というのが1分くらい続いたかな。最近は体調が良くないというのを聞いていたので、年齢(享年82歳)も年齢だし、そのときは来るのも遠くないんだろう、、、とは感じていたけど、ちょっと心構えしていたより早かった。

 嗚呼、もうこの世にいないんだ……と思うと、とにかく寂しい。生まれ育ったミラノで最期を迎えられたのは良かったというべきか。これほどのアーティストなのに、小澤征爾が亡くなったときはあれほど大騒ぎしていた日本のTVニュースでは、扱いはほぼ皆無、イタリアでもあまり報道がないというのが哀しい。葬儀はスカラ座で行われた。シャイーも参列していた様子。

 来日は、18年のリサイタルが最後で、このリサイタルは聴きに行ったが、腕の不調で日程も曲目も変わったという異例のリサイタルだった。正直言って、確かに衰えを感じる演奏で、きっとライブではこれが聴き納めになるんだろうな、と思った。これ以上、衰えた彼の演奏を聴くのは忍びないとも感じたしね、、、。

 だからもう聴けないと分かっていたけど、弾けなくても存命しているのと、亡くなってしまったのでは全然違う。

 こんなにも喪失感を味わうとは、想定外だった。

(画像お借りしました)おそらく、ミラノ・スカラ座でチェリビダッケ指揮でのデビューコンサート時のもの(曲はショパン協奏曲1番)。チェリビダッケが若い!笑ってる!!

 

 ポリーニの演奏を初めて聴いたのは、高校生のとき、FMラジオの放送を通してだった。音楽もろくに聴かせてくれない母親だったから、勉強している振りをして部屋でこっそりラジオを聴くのが定番だったが、そこで流れて来たのが、ポリーニの独奏によるブラームスの協奏曲2番だった。安物ラジオの最悪なオーディオ環境なのに、あの演奏を聴いたときの衝撃は忘れられない。なんという音!!!

 多分、あれは、アバド指揮・ウィーンフィルの録音だったのではないかな。その時点で録音があったのは、その盤だけだったのでは。

 その後、大学生になって親元を離れてから、私のCD収集が始まった。今とは違って店で買うしか入手する方法はなかったので、ひたすら品揃えの良いレコード屋を頻繁に訪れては、ポリーニの名を見かければ曲は何でも手当たり次第に購入したものだった。

 とにかく、私はポリーニの音が好きだった。触れたら切れそうな、一音一音の明晰さ。粒だったクリアな音。目に見えるんじゃないかと思うほど。それでいて流麗でもあり、ダイナミックでもあり、、、。

 社会人になって経済的に多少の融通が利くようになってからは、ライブにも通うようになった。90年代は、まだまだバブルの名残でチケットもなかなか取れなかったが、必死で電話を掛けたり、人に頼んだり、、、とにかくあらゆる手段でチケットを入手した。ショパン、ベートーヴェン、シューマン、ドビュッシー、リスト、、、数えきれない演奏をライブで聴いた。

 心残りなのは、コンチェルトを1曲もライブで聴けなかったことかな。チケットが取れなかったので。

 彼のエピソードなどを聞くと、かなり神経質で気難しく、人間的にはちょっと関わりたくない感じの人、、、という印象しかない。が、リサイタルで私が見たのは、ファンが舞台下で花束を持って長蛇の列を作っていると、手を目の上にかざして「たくさん並んでるな……!」というジェスチャーをして、一人一人、笑顔で最後の一人まで丁寧に花束を受け取る姿だった。

 ポリーニのことを思うと、私の個人的な歴史を振り返ることに等しく、思いはここには到底書ききれない。

 私がクラシック音楽をよく聴くようになったのには、間違いなくポリーニの存在がある。

 最後に、収集した多くのポリーニのCDの中からベスト1を。演奏が、、、というよりは、このCDこそ、初めて買ったポリーニのCDだから。ショパンコンクール優勝直後に録音されたもので、若きポリーニの鮮烈なショパンが詰まっている。何度聴いたか分からないが、今もまたこのCDをかけながら、この駄文を書いている。

 ああ、、、寂しい。ただただ寂しい。

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブレハッチのシューマンとショパン

2024-02-27 | 番外編

◆ワルシャワ・フィル @サントリーホール 2024.02.08

 昨年も2月に来日していたんだよね、、、と思ったら、鑑賞記録を書いていなかった、、、ごーん。何で? まあいいや。昨年はモーツァルトが良かった。

 で、今回はリサイタルだけじゃなくて、ワルシャワ・フィルと共演、しかも、なんとシューマンの協奏曲とな!!色めき立って、速攻チケット取りましたよ。今回は、抽選応募したので、席は選べず。結果として、1階席の前方真ん中と、本来なら一番良い席なのだが、何せサントリー、、、ピアノはねぇ。

 待ちに待った2月♪ あー、やっとブレハッチのショパン以外のコンチェルトがライブで聴けるんだわ~~~、とワクワクしながら行ってまいりました。

 会場に入って、見れば席は結構空いている、、、がーん。これなら、発売日当日に座席選択で買えば良かった、、、とショック。何で??昨年11月のシャハムも後方ガラガラだったし、ブレハッチでこんなに空席があるなんて信じられん。誰とは言わんが、普通に上手いだけのアイドルピアニストが即完とかの一方で、ブレハッチがこれだなんて、、、もう世も末だな。

 グチはともかく、、、ブレハッチ君、相変わらず良い姿勢で颯爽と舞台に現れました。椅子を調整したときに、ギギィ、、、って割と大きな音が出たせいか、ニッコリ(?)ほほ笑む。

 ……始まったよ、シューマン。……でも、え? え?? ……えーーーーっ!

 彼は、ショパンコンクールで優勝して、デビューした当時からずっと「中庸」と言われてきたのだ。つまり、奇をてらった演奏はしない、小手先で主張しない、ということ。しかし「中庸」なんて言われていたのがウソみたいな、超スリリングな個性的シューマンに衝撃を受けてしまいました。

 とにかく驚いた。コースギリギリを狙って猛スピードで疾走するF1みたい。そういや彼はスピード狂だそうだけど、、、。

 こんなシューマンありか!と呆然。しかし、手に汗握りながらもなぜか不快さはまるでなく、あっという間に終わってみれば、私の持つシューマンのイメージは跡形もなく破壊された感じである。もう、ルプーやリヒテルを聴いても物足りなく感じるかも知れぬ。いや、彼らの演奏も素晴らしいのだが。

 オケとは崩壊寸前だったがギリギリのところでキメていたのも、ある意味スゴい。あれは指揮者の技か。

 あまりに衝撃が大き過ぎて、何と言うか、、、あんまし他のことを覚えていない。アンコールはショパンだったけど、ボーッと聴いてしまった。大げさではなく、マジでこの後何日も引きずった。それくらい、衝撃的なシューマンだった。

 それにしても、サントリーはピアノはダメだ。まだ2階席の方がマシ。もう絶対1階席は取らない。

 あ、、、メインのブラームス2番は、洗練され過ぎず、野暮ったさも回避しつつ、良い意味で田舎っぽさ感じられて、なかなか良かった。この曲はキレイ過ぎない方が良いのよね。Vaの最後尾にピエール・ニネみたいな長身小顔のお兄さんが居て、眼福でした。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆リサイタル @東京オペラシティコンサートホール 2024.02.22

 8日のシューマンに脳髄直撃されてボーッとしたまま、、、というのはちょっと大袈裟かもだけど、でもまだ衝撃から覚めやらぬまま、この日を迎えましたとさ。

 この日は、何と完売。割と直前で売り切れたっぽい。というのも、2日前に行われたミューザに行かれた方が、こちらのチケットをミューザで買ったとTwitterに書いていたので。

 まあでも、確かに行ってみれば人が多くてビックリ。CD販売(買った人は公演後にサイン会に並べる)に長蛇の列が出来ており(いや、サイン会は8日のサントリーホールでもあったんだが、この日の方が圧倒的に人が多かったように思う)、見ただけで疲れるので早々にロビーから逃げる。

 席は1階前方中央寄り左側のブロックだった。これも先行抽選にしたので、席は選べなかったけど、まあまあかなと。

 で、いよいよオールショパンプログラムが始まった。前半は全部マズルカ。やっぱりこのホールはピアノの音ちゃんと聞こえるんだな~、とサントリーと比べると感じる。ブレハッチのクリアな美音がストレートに耳に入って来る。

 嗚呼、彼はショパンが一番好きなんだなぁ、、、と聴きながら思う。マズルカってのはポーランド人のための音楽なのかもね。車窓から見えたずーっと先まで地平が続くポーランドの景色が浮かんでいた。

 私は、聴いただけでマズルカの作品番号〇ね!と言えるほど聴き込んでいないが、56だけは曲と作品番号がちゃんと繋がっている。……が、ハレ?? これは56ではないのでは? と思ったけど、彼は前にも当日に曲順を変更したことがあるので、今回もそうなのか、、、と思っているうちに前半終了。

 休憩中に掲示など探したけど、曲順変更の案内などは出ていないし、うぅむ、、、。相変わらず、CD販売前には長蛇の列で、これ絶対、並んでいる人全員買えんやろ、、、。

 で、後半もマズルカから始まるかと思ったら、いきなりソナタから始まってビックリ! いや、別にいいんだけど。

 この曲はちょっと変わっているけどかなり好きである。有名な3楽章もいいけど、私はやはり1楽章と、あっという間に終わってしまう4楽章が好き。その4楽章、これまで聴いたことのあるどの演奏よりもグッときた。あの、音と音の境目が分からないような、水流のようなフレージングは、やはりブレハッチ。相変わらず美しくクリアで触れたら切れそうなのに、触れると滑らかで心地良い音に脳内占拠される。で、ホントにあっという間に終わってしまった、、、。

 最後にマズルカで占めて、アンコールでマズルカ56の2、3を披露。どうやら、ミューザでちょっとしたハプニングがあった模様。それを踏まえてのことだったみたい。

 2週間前のシューマン・ショックは緩和され、やはりブレハッチだったなぁ、、、と噛みしめながら、サイン会に並ぶ長蛇の列を横目に、足早に家路につきました。そして、先日のスピード狂炸裂シューマンは何だったのかと、帰路、改めて考える。もちろん、分からん、、、。

 正直なところ、昨年のリサイタルの方が、私は満足感が大きかった。オールショパンプロというのは最初から分かって聴きに行ったわけだが、やっぱし、私としてはショパン以外も聴きたいわけで。ドイツものなら、そりゃ何と言ってもブラームスが聴きたいし、シューベルトももちろん。ラヴェルやドビュッシーももっと聴きたいよねぇ。

 まあでも、やはりドイツもののコンチェルト、できればブラームス1番かベートーベン4番あたりを聴きたいかな。シューマンみたいに弾いたら、どっちの曲も本当に破綻すると思うが、それでも敢えてギリギリのコーナリングみたいな演奏も聴いてみたいかも。プロコかラヴェルも、彼なら面白く弾いてくれそうな気がする。あのシューマンなら、プロコとか絶対イイと思うんだが、どーでしょう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JAL工場見学〜SKY MUSEUM〜

2022-06-04 | 番外編

 コロナ禍で海外旅行どころではない日々が続いておりましたが、ようやく解禁になるんですかね、、、。まぁ、解禁になっても、私はしばらくは様子見だと思いますが。

 そんな中、JALの工場見学が再開されたとの情報がTwitterで流れて来て、これは是非見てみたいと思って行ってまいりました。私、飛行機大好きなんですよ、見るのが。なので必然的に空港も好きなんです。

 新卒の時代、入社した会社で予想外にも営業なんぞに配属されて、ただでさえ向いていない職種の上に、まだまだ男社会の悪癖がはびこり、あっという間に病みました(まぁ、私生活も悲惨だったのですが)。もうこのまま消えてしまいたい、、、、などと思ったことも度々。会社辞めよう、、、と決心したのは入社して1年も経たない頃だったけれど、そう決心してからは、営業に行くのもバカバカしくなり、会社を出て羽田空港にしょっちゅう行っておりました。展望台で、飛行機の離着陸を日がな一日眺めて、何の成果も持たず(当然)に会社に帰る、、、なんて日々でした。

 離陸を見ていると、色々悩んでいるのがものすごく小さいことに思えるのですよね。飛行機が上っていく大空は果てしなく広がっていて、飛行機から地上を眺めた時の感覚を思い出し、あんなちっぽけな所でせせこましく右往左往している自分の姿を鳥瞰している気分になるというか。

 着陸は、無事に大地に降り立って、ホッとします。飛行機が高度を徐々に下げて降りてくるのを見ていると、何というか、すごく集中力が養われる気がするのです。息を止めて見ているんでしょうかね。

 ……なので、空港は私にとっては鋭気を養える、気分をリフレッシュできる場所なのです。

 というわけで、工場見学リポートです♪ まあ、リポートなんぞ書くまでもなく、JAL SKY MUSEUM のホームページを見れば、ここに挙げてある画像のほとんどは載っています。ただ、行った自慢をしたいだけの駄文です

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 行ったのは、5月24日の10:30〜12:20のコース。

 申し込みは、開催日ごとに決まっていて、ネットで朝9:30~受付開始なんだけれど、数分ですぐに満席になってしまうので、私も気合入れて申し込んだ。先着順ということで、頑張れば申し込めるのが良い(抽選は運なので逆に嫌ですね、私は)。

 で、意外にもすんなり申し込めたのだった。といっても、5分後には満席になっていたので、やはり人気なのね。あ、ちなみにこの見学は無料

 一人で行っても良かったんだけど、コロナになってからほとんどウチの人と一緒にお出かけしていなかったので、あんまし興味なさそうだったのを無理やりつき合わせて2人で参加することに。

 モノレール(久しぶりに乗った)で「新整備場」駅で下車。この駅は地下なのだけど、出口を上がったところすぐに「JALメインテナンスセンター」が見える。



 事前のメールで「受付開始時間より前にお越しいただいても、施設にはご入場いただけませんのでご注意ください。」と注書きがあったので、10時20分頃には着いていたけど、ウチの人が喫煙タイムの間、私は滑走路脇に張り付いて飛行機が次々離陸していくのを眺める。飽きないわ~

 で、30分になったので、入り口に行くと、当然ながら、検温され、身分証明書の確認もあり、入場するためのストラップ付IDカードを渡される。

 45分から「教室A」でレクチャーがあるので、それまでミュージアム内を自由にご覧下さい、と言われ、見てみる。


 


JALもコンコルド導入を考えていたのかぁ、、、。

 

白いチャイナドレスっぽいデザインは、香港線用

 

 で、45分から飛行機の説明とか、工場見学の注意事項等々を動画で見せられ、係の人の説明等もあって、工場見学は11:30~です、、、とのことで、それまでは自由時間。10分くらいでミュージアム内を案内してくれるコースもあったけど、私たちはそちらへは行かず。オリジナルグッズがあるというショップを見たかったので。

 でも、このショップがかなりガッカリで、、、。確かに、JALのロゴの入った革の財布やら小物類とか、飛行機の精密な模型とかあったけど、私が欲しかったのはそういうのじゃないのよ……、ごーん。機内で配るアメニティとか、機内でしか配らないお菓子とかさ(一応少しあったけど)、機内食みたいなお弁当とかさ、、、、そういうのを期待していたのだ。うぅむ、、、残念。可愛い文具があると聞いていたのだけど、もしかして、コロナだから……? 当てが外れたショップだったけど、手ぶらで帰るのは悔しいので、飛行機の柄のミニタオルを2枚ゲット。

 そうこうするうちに30分に。再び教室Aに集合し、IDストラップのカラーごとに5~6名のグループに分かれ、各グループに案内係がつき、赤いヘルメットを被っていざ工場内部へ。

 タラップで乗るとき以外、飛行機をこんなに間近で見る機会ってないので、ついつい前のめりに、、、。

 

こちらは何か月もかけて整備する第一格納庫
 

座席が外されて並んでいた、、、

 

今どんな作業をしているのかが作業員全員に一目で分かるようになっているらしい

 

 

これは作業員の方が作った777の模型で、リモコンでバッチリ飛ぶらしい(奥は747)

 

 お次は第二格納庫へ移動、、、。

 

こちらは短期メンテナンスの格納庫

 

この後、プッシュバックをこんな間近で見ることに、、、!

 

格納庫のすぐそばに滑走路。A350が駐機中(デカい!)

 

隅っこには737が、、、

 

 こうして見ると、737はかわいらしく見えるけれど、十分大きい。この後、係の方が「お写真撮りますよ~」と、参加者全員の写真を737をバックに撮ってくれる。「737ですみませんね、、、」とおっしゃっていたが、それは737が小さいから、ってことだろうけど、すみませんね、なんて言わないであげてよ、、、 737可愛いじゃん。

 ……それにしても、撮っていただいた画像、ヘルメット被ってマスクして眼鏡かけてって、、、、もはや誰だか分からない。

 

737のお尻、、、

 

エンジン取り外し中

 

 というわけで、全てのコースが終了したのは12:20と予定通り。この後、空港第2ターミナルまで行って、ランチを食べ、展望台へ行き、ショップをぶらぶら眺めて、帰途についた。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆

 

 本当は、この後『シン・ウルトラマン』を見に行こう!!と言っていたのだけど、意外にくたびれたので、まっすぐ自宅へ帰った次第。予約がとりにくいのがナンだけど、一度は見ておいて損はないと思います。無料だしね。飛行機好きの方、是非。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブレハッチ・リサイタル @東京オペラシティ コンサートホール 2021.10.28

2021-10-31 | 番外編

 

 2年ぶりのブレハッチ君。前回はコンチェルトでしたが、今回はバッハ・ベートーベンを引っ提げてのリサイタルでありました。

 チケットを買うのが少し遅れて、あんまし良い席が残っていなかったんだけど、3階席のバルコニー前列を選択。その後しばらくして完売してしまい、追加公演がサントリーホールで決まったんだけど、サントリーのピアノリサイタルはイマイチ(音が)なので、迷ったけれど、今回はオペラシティの1回のみで我慢することに。プログラムは同じだしね、、、。

 ……というわけで、感想というか、、、個人的に書き留めておきたいという程度のものです。


 【プログラム】
 J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV 826
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op. 10-1
 ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO. 80
 フランク(バウワー編曲):前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 Op. 18
 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op. 58
 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 19時開演なのに、10分過ぎてもブレハッチ君現れない。客席も少しザワついてきたところへ、ようやくご登場。割と颯爽と歩いてきて座ると、少し間があって客席に向けて何か喋り出した。恐らく、遅れた理由だろうと思うが、声が反響しちゃって何言っているかゼンゼン聞こえない。

 まあ、終演後のめちゃくちゃザックリしたアナウンスによれば「急用の国際電話のため」だそうな。でも、彼はもっといろいろ喋っていたし、その姿からは明らかに遅れたことについて、聴衆にきちんと説明しておきたいという気持ちが感じられ、あのホールの作りから声が反響しちゃうのはしょうがないわけで、招聘事務所は彼が話した内容をアナウンスできちんと説明すべきではないか。

 ツイッターで(恐らく1階席の前方に座っていた方だろう)、彼の妹さんの具合が悪いという知らせが入って少々エモーショナルになっていた、、、みたいに言っていた気がするがよく分からなかった、、というような書き込みをしている方がいたが、それならなおさら聴衆に伝えるべきではないのかね? 

 彼の誠意が聴衆に伝わっていないのであれば、それをフォローするのが事務所の仕事だろう。あんなザックリなアナウンスで説明したつもりになっているのか。これって、私が求め過ぎなのかしら?

 でも、もしや体調不良か(過去にもあったから)、、、と心配していたけど、どうにか始まったのでそれは良かった。その後の名古屋も無事に行われたようなので、諸々大丈夫なのかな。若干心配だけど、事務所のHPにもツイッターにも、相変わらず何の説明もない。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 で、ようやく感想。

 彼のバッハのアルバムは持っているけど、パルティータ2番は入っていない。まあ、彼が元はオルガン奏者だということは知っていたが、今回、ライヴで彼のバッハを聴いて、すごく納得した。オルガン的な響き、、、等という陳腐な表現では表せないけど、ピアノで弾いているのに音が全然ブツ切りにならないんだよね。しかも、あの反響するホールで一音一音はクリアに聞こえるという、、、、ものすごく不思議な感じがした。CDを聴いても同じことは何となく感じていたが、ライヴで聴くと、それがより一層感じられ、彼の演奏している姿に見入ってしまった。

 3階席からは彼の手元は遠過ぎてよく見えないが、近くで、、、というか、あれはカメラで寄って撮らないと分からないレベルの手の動きによるものなんだろうな。

 ……と思ったら、事務所のHPに4年前の彼のインタビューがあり(作家の平野啓一郎氏のツイッターで知ったんだが)、読んだら、すごく納得することが書いてあった。

 ブツ切りにならないのに、クリアなのは、オルガン的な奏法をしていたからなんだ、、、。ペダル操作ではなかったのかーと。「手の指だけで表せるレガート」って、これ、バッハに限らず、ショパンでもすごく感じるのだけれども。そうだったのかぁ、と納得。

 ベートーヴェンは、変奏曲の方が良かったなー、個人的に。ソナタももちろん良かったのだが。……というか、ホントに無駄な間とかテンポの揺らしとか、ないんだよね、この人の演奏は。どの音も、全て理由があってそう弾いている、と感じさせる。

 私がこの演奏会で一番印象に残ったのはフランク。やはり、この演奏でも、オルガン奏者だったのを感じたのよね。フランクって、こんなに美しい音楽書くんだっけ、、、? と私の偏見に満ち満ちたフランク像を思いっ切り覆してくれました。もう一回聴きたい、、、。

 最後のショパンも、もう言うに及ばず美しかった。やっぱし、彼のピアノの最大の特徴は、弱音の信じられないくらいの美しさ。ppがこれほど美しいピアニストは、そうはいないと思うな~。ルプーの弱音も美しいけど、ルプーより音質的には温かみがある気がするし。やっぱしこれも、元オルガン奏者の成せる業かしらん??

 バッハ、ベートーベン、フランク、ショパン、、、という構成も良かったような。フランクが効いてたよね。どれか一つでも順番が変わっていたら成立しなかったプログラムだと思った。

 やっぱし、音が悪いの承知で、サントリーにも行っておけばよかったかな、、、とちょっと悔やまれる。何度でも聴きたいわ。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 あくまでも私の好みの問題だけど、私は、アクションが大きい演奏スタイルの奏者が好きじゃない。先日まで開催されていたショパン・コンクールの動画配信もいくつか見たけど、アクションや顔芸がすごい奏者が多くて引いてしまった。ブレハッチを好きなのは、演奏スタイルに無駄が感じられないというのも大きい。

 毎回彼の演奏している姿を見て思うけれど、上体を過度に揺らしたり、顔の表情を過剰に変えたりしなくても、十分美しく表現力豊かな演奏はできるってこと。彼の演奏は、前述のとおり、音もそうだけど、動き一つ一つも理にかなっているというか、そういう表現をするためにそういう動きなんだね、と見ていて納得できる。

 ピアノに限らないけど、私は淡々と演奏するスタイルの奏者がやっぱり好きだ。そこから繰り出される美しい音楽に感動する。アクションが大きくて顔の表情が豊かでも、その間は何? そのテンポの揺れはどういう意図?? と感じる演奏では興ざめだ。

 あと、やっぱし、オペラシティのホール、あんまし好きじゃないわ、音。席によるかもしれないけど、このホールは残響が長いと思う。先週のカヴァコスは1階席だったけど、やっぱりちょっとワンワン言ってる感じはしたよね。逆に、サントリーは全然ダイレクトに聞こえない席があるし(しかもS席!)。

 恐らく、ピアノのリサイタルにはどっちも広すぎるんだろなと。やっぱり、ピアノのリサイタルで1,000席超えるのはよろしくないのでは。まあ、採算を考えて、多く集客したいってのは分かるけれど。売り上げが全然違って来ちゃうもんね。コロナ禍で、ますます経費はかかっているはずなので、、、。

 勝手なことを承知で言うと、できれば、東京文化会館の小ホール(649席)か、王子ホール(315席)でお願いします。紀尾井ホール(800席)は、音がキンキンする感じがしてあんまし好きじゃない。評判の良いハクジュホール(300席)は行ったことがないので分からない、、、。席数的にはベストだと思うけれど。

 招聘事務所に文句書いちゃったけど、こういう状況で、海外の演奏家を呼ぶことの大変さは察するに余りある。よくぞ実現に漕ぎ着けてくれたものだと感謝したい。できれば、もうちょっと親切なアナウンスをしてくれていたらな、、、、というファン心理です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブレハッチ&ワルシャワ・フィル @東京芸術劇場 2019.11.02

2019-11-17 | 番外編

 

 今年は、日本とポーランドが国交を樹立して100周年だそうで。その記念事業の1つとしてのコンサート。ブレハッチがコンチェルトを弾くのをライブで聴くのは初めてなので半年前のチケット発売日から首を長くして待っておりました。

 プログラムは、ポーランドの作曲家モニューシュコの歌劇の序曲が前プロで、メインはショパンのコンチェルト2曲。当初は、1番・2番の順番だったけど、当日、曲順を入れ替えると発表があった。……まあ、曲想から行けばそうなるわね。

 2年ぶりに見るブレハッチ君は、なんだかちょっと痩せたんじゃない?という感じ。いや、もともと細身で小柄だけど。地味なスーツでお出まし。若い頃のポリーニみたいに颯爽とステージに現れる、、、という風ではゼンゼンなく、後ろに続く指揮者を気遣いながらソロソロ歩いてきた。リサイタルの時はもう少しサッサと歩いていたように思うが、、、。やっぱしオケ付きだと多少違うのかしらん。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆

 

 まずは2番から。1番より華がなく地味だけど、私はどっちかというと、2番の方が好きかな。で、圧巻は2楽章。まあ、元々美しい曲なんだが、彼が弾くと、なんというかこう、、、キラキラではない、薄くベールのかかったような光がフワ~~~ッと見えるような神々しさを感じるのでありました。気がついたら、目尻から涙が出てた、、、。嗚呼、もうこれを聴けただけでこのコンサートに来た甲斐があったというもの。やはり彼の素晴らしさは、p、ppだよねぇ。どうしたらあんなppが出せるのか。

 まあ、それは1番の2楽章にも言えることなんだけど、とにかく、pやppでの表現力は、聴いているこちらの呼吸を止めさせるほど。あんなppを出せるピアニストは、多分世界広しといえども、そうそういないだろう。

 3楽章はマズルカを基にしているだけあって、民族舞踊音楽っぽくて土着な感じが好きなんだけど、彼の弾く3楽章を聴いていたら、映画『COLD WAR』での舞踊シーンが目に浮かんで来た。

 嗚呼、、、もう2番だけで胸がいっぱいになる。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆

 

 お次はメジャーな1番。ショパンコンクール以来のワルシャワ・フィルとの1番協演とのこと。

 もう、何かイロイロ書くのも野暮に思えるくらいなんだが、ppの表現力も圧巻ながら、彼のffは非常に品がある。どんなにfの数が増えようが、絶対に音が壊れないというか。私の表現が稚拙なんでどうにも書きようがないんだけど、とにかく楽器が叫ばないというか。鳴るんだよね。

 ポリーニのfは豪腕さを感じるし、実際彼のffの弾き方は全身を使って楽器に力を伝えているように見える。ピアノという楽器を征服している感じ。

 でも、ブレハッチはそんな風に見えないの、ゼンゼン。生き物みたいなのよ、ピアノという楽器が、彼の手にかかると。ffを弾いていても、全身の力を込めて、、、って感じじゃない。でも、楽器はもの凄く鳴っている、、、みたいな。ああ、、、なんという下手くそな文章表現。我ながらガックシ。

 とはいえ、彼も汗をかくらしく、楽章間では汗をハンカチで拭っていた。確か3楽章が始まる前に、鍵盤に落ちた汗を拭いた拍子に、ポロンと音が鳴ってしまって客席から笑いが少し起きるという、コンサートではかなり珍しい光景もあった。ブレハッチも、ちょっとはにかんだようにしていたのが、何となく彼の人柄が垣間見えた気がした。

 3楽章のラストの超絶アルペジオとかも、サラサラと弾いているように見えて、音は実に艶やかで、、、何かもう、人間じゃないな……って思ってしまった。

 いやもう、、、この演奏を聴いて、今年の残り、多少のことがあっても何とか生きていけそうだと思いました、マジで。

 ちなみに、アンコールもショパンのマズルカであった。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆

 

 それにしても、芸劇のホールなんて一体何年ぶりに行ったことやら。地下にある劇場には2、3年前に舞台を見に行ったことがあるけど、ホールの方は、もしかすると開館直後に一度行ったきりかも。その頃に比べると、池袋の西口もかなりキレイになったもんだ。

 ステージの後ろに、バルタン星人みたいなパイプオルガンがあった記憶があるんだけど、この日はステージの後ろは全面音響板になっていた。変えられるようになっているのかしら? 音響もあんまし良いイメージなかったけど、なかなかどうして、結構よく鳴っていたし残響もキレイだったと思う。サントリーホールのS席とか、ピアノコンチェルトでピアノがゼンゼン聴こえなかったりするんだが、ブレハッチの美音が非常にキレイに、私の席には聞こえてきました。

 そうそう、始まる前に、ふと後ろを見たら、すぐ後ろの列の左側にツィンマーマン氏が座っていた。思わず、あれ、、、?と思って一瞬見直してしまったが、その後色んな方と挨拶していたので、まあ、間違いないでしょう。彼のピアノは私はあんまり好みじゃないけど、日本にはよく来てくれているし、長年世界の第一線で精力的に活躍しているスゴいお方です。

 ワルシャワ・フィルも、ショパンの伴奏なんてコンクールで何度も演奏しているだろうけど、まあ、ソリストを邪魔することなく(ホルンがちょっと、、、の箇所もあった気がするけど)素晴らしい演奏だった。

 とにかく、幸せな2時間でありました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2019

2019-05-05 | 番外編

 

 毎年、GWに有楽町の国際フォーラムで行われている“ラ・フォル・ジュルネ”。2005年から始まったというから今年で15回目だけど、実は一度も行ったことがない。毎年じゃないけど、一応プログラムはチェックしたりしていたんだが、GWに人混みにわざわざ出掛けることを考えると、出不精としては何となく足が向かなかった。

 が、今年は何しろ休みが10日もあって、巣穴に籠っているのにも限界があると思い、良い機会だと思って行ってみた。

 行ったのは、2日目の4日(土)。せっかく行くのだからと、欲張って4公演。

 ① 11:15 ~ 12:00 「さすらいの音楽:ロマ&クレズマー×バラライカ!」  ② 17:00 ~ 17:55 「フランス ~優美と官能の音楽」  ③ 19:30 ~ 20:15 「“Cor di memoria” 地中海のポリフォニー」  ④ 21:30 ~ 22:30 「ショパンの青春 ~パリでの門出」

 ①と②の間が結構あるので、その間に渋谷まで行って映画を見てきた。外出した以上は精一杯時間を有効に使いたい貧乏根性を発揮する。何故この4公演を選んだかというと、①と③は面白そうだから、②と④は普通のクラシックコンサートではあんましかからないプログラムが入っているから(④のPコンは除く、だけど)。

 で、感想だけど、④はハズレ、③は面白いけどイマイチ、①②は大当たり、って感じだった。ま、簡単にその理由を。

 

◆① 「さすらいの音楽:ロマ&クレズマー×バラライカ!」

 映画『アンダー・グラウンド』(1995)を見て以来、ジプシー音楽の魅力に目覚めたんだけど、なかなかライブで聴く機会ってあるようでないこともあり、このプログラムでは主にロシア音楽が組まれているということだったけど、是非ライブで聴いてみたいと思った次第。

 実際ライブでシルバ・オクテットの演奏を聴いて、大正解。シルバ・オクテットは、パリ管のメンバーが中心になって結成されているとのことで、なるほど腕は確か。『アンダー・グラウンド』ではブラスが中心だったが、こちらは弦楽。最後の「カリンカ」なんて、超メジャーなロシアの曲。ノリノリで終わった。

 

◆② 「フランス ~優美と官能の音楽」

 プログラムは、フォーレの「パヴァーヌ」「ピアノと管弦楽のためのバラード」、ドビュッシーの「ピアノと管弦楽のための幻想曲」の3曲。ソリストは、2曲目がジャン=クロード・ペヌティエ、3曲目がジョナス・ヴィトーとどちらも初めて聴くピアニスト(CD等でも未聴)。

 特にドビュッシーが良かったなぁ。まあ、ドビュッシーが好きだというのもあるけど、この曲はあんまりコンサートではプログラムされないから、ライブで聴けるのは貴重。ピアニストのヴィトー氏、80年生まれの39歳だけど、身体も大きくて、ものすごい貫禄。顔写真を見ると童顔だけど、2階の客席から見ていると顔まではっきりは分からないのよね。

 フォーレももちろん良かったので、このオケはフランスのオケかと思いきや、メニューインがポーランド室内管をもとに設立したオケで、ワルシャワが本拠地なのかな? とにかく、ポーランドのオケらしい。弦楽も素晴らしいけど、木管陣が手練れ揃いと見た。

 

◆③ 「“Cor di memoria” 地中海のポリフォニー」

 ポリフォニーについては、結構wikiが詳しく説明してくれているけれど、まあ、分かりやすく言うと、主旋律+伴奏、ではなくて、主旋律+主旋律がハモって一つの音楽に聞こえる、というふうな理解で大きくは間違っていないと思う(きちんと学んだわけじゃないので、すみません)。前に見た映画『放浪の画家 ピロスマニ』 (1969)の中で、結婚式のシーンがあって、そこでポリフォニーが歌われていたのが印象的だった。

 というわけで、このポリフォニーは結構面白いんだけれども、これもなかなかライブで聴く機会がない(というか、ちゃんとライブ情報をチェックしていないってのもあるんだけど)。ので、今回、楽しみにしていたのだけれども、聴いてみて思ったのは、割と、どの曲も同じような曲調で、12曲演奏されたんだけど、正直言って途中で飽きてきてしまった(すんません)。宗教歌と世俗歌とでは確かに違うんだけれども、どれもテンポはゆったりしていて、同じフレーズが繰り返される上に長い、、、。最初の3曲目くらいまでは面白がって聴いていたんだけど、、、。

 歌ってくれたのはタヴァーニャというコルシカ島のオジサンばっかし9人のアンサンブル。思わずイケメンを探す私、、、。ううむ、渋いオジサンはいらっしゃったがイケメンは、、、。でも、皆さん、楽しそうに歌っていらっしゃいました。……いや、ホント、歌は良かったんですよ。私の感性が途中で着いていけなくなっただけです。  

 

◆④ 「ショパンの青春 ~パリでの門出」

 これがハズレと思った最大の理由は、会場。デカ過ぎる。国際フォーラムでも一番大きいホールだと思うけど、5000席以上あるんだもんね。ショパンを演奏する会場じゃないよ、そもそも。

 プログラムは、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 」と「ピアノ協奏曲第1番」で、私の目当ては1曲目のアンスピ。映画『戦場のピアニスト』(2002)でラストのクレジットにかかっていたのがこの曲。あのエンドクレジットは、途中で席を立てない人が多いんじゃないかしらん。この曲は、ピアノ独奏で演奏されることは割とあるけど、オケ付きで演奏されることは非常に珍しい。

 けれども、せっかくのアンスピのライブなのに、そんな会場だから、音がわんわん反響して速いパッセージなんか何弾いているか分からないような有様。もう少し、演目と会場を考えた方が良い。申し込みの段階で大きすぎる会場だとは思っていたけど、ここまでヒドいと思わなかった私も甘かった。

 あと、ソリストのネルソン・ゲルナーのピアノ演奏も、正直なところ、あんまり好きじゃなかった。アンスピが終わったところで帰ろうかと思ったくらい。ああいう、軽いタッチで弾くピアノは好きじゃないのだ。会場を抜きにしても、一音一音の輪郭のないピアノはピンとこない。曲の解釈もちょっとなぁ、、、。ポロネーズって何かとか、もう少し研究した方が良いのでは? コンチェルトも2楽章まではまあまあだったけど、3楽章はやっぱり違うと思った。……まあ、好みだとは思うが。

 ちょっとアルゲリッチに似ている? と思って、後でプロフィール見たら、アルゼンチン出身でアルゲリッチとも縁のある人だった。偶然だろうけど。アルゲリッチは日本でも人気が高くファンも多いが、私には彼女の演奏の良さがイマイチ分からないので、、、。

 しかも、このソリストはかなりオケが伴奏しづらかったんじゃないかと感じた。アンスピのフィナーレもズレてたし。そういう意味では、指揮はよくコントロールしていてさすがだった。ま、プロだから当たり前だけど。

 

◆来年からも行きたいか?

 今回初めて行ってみて、それなりに良かったとは思うけれども、来年からも是非! って感じではないかな。テーマ次第かも。ちなみに今年のテーマは「Carnets de voyage ―ボヤージュ 旅から生まれた音楽」だそうだ。

 あと、ホールAの公演は、よほど大編成のオケとかじゃない限り、ちょっとキツいと思った。てか、クラシック演奏向きのホールじゃない。もうホールAの公演は聴かない。

 ①のシルバ・オクテットはCDも出しているそうなので、買ってみたいなぁ。というか、ジプシーミュージックってやっぱりすごく面白いし奥が深い。もっといろんなジプシーミュージックを探検して行きたいと、改めて思った次第。

 まあ、あんまりゴタゴタ言わずに、1公演3,000円前後だし、無料コンサートもたくさん企画されているから、思い立ってふらりと行ってみるのも良いかもネ。良い気分転換にもなるし、知らなかった音楽への扉を開いてくれるきっかけになるかも。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広島東洋カープ 25年ぶり優勝と32年ぶり日本一を逃して思うこと

2016-10-31 | 番外編
 基本的に、このブログには映画の感想及びそれにまつわる些細なことしか書かないことにしております。

 ……が。

 80年代前半から20年ほど筋金入りのカープファンであったこと、2000年代半ばからカープの成績に不感症になろうと決めたこと、そうはいっても、一応、スポーツ欄のセ・リーグ順位表でカープの動向を無意識に必ずチェックしてしまっていたこと、、、、という、私のカープ偏愛歴から言って、今年の優勝&日本シリーズ敗戦について、思うことはあり過ぎまして、その一部を書き記しておこうと思いました。


◆全国紙がこぞって社説で取り上げた、25年ぶりのリーグ優勝

 リーグ優勝は、本当に嬉しかった。優勝決定翌日の全国紙3紙プラスαを職場から頂戴してきまして、カープ優勝に関する記事は全部切り抜きました。何たって、優勝して社説に取り上げられるチーム、カープ以外にありましょうか? 読売以外の、朝日、毎日(プラスαの産経も)いずれも社説で取り上げ、カープ苦難の歴史と、それを克服しての優勝を渋く論じてくれていました。毎日のタイトルは「ファンと走ったVじゃけえ」

 これら社説を始め、各紙の様々なカープ優勝関連記事を端から端まで読んで、涙涙でした。

 でも、、、現実に優勝が決まるまで、どれだけゲーム差が開いても安心する日はありませんでしたねぇ。トホホ……。勝てば勝ったで不安、負ければ負けたで不安。これ、カープファンの性(さが)ですね。

 でも、今年、本当に優勝したことで、この妙な不安感、、、というか、呪縛からは解放されるような気がします。来季は、不安は不安でも、もう少し前向きな不安に変質するのじゃないかな。


◆ビジターファンも大切にしてほしい

 日本シリーズは、2戦先勝したときは、行けると思ったけれど、結果はその後4連敗。まあ、勝負の世界なのでこればかりは仕方ないです。

 北別府氏のブログに書かれていたことが、多くのファンの気持ちを代弁してくれていると思うので、シリーズの試合について、感想は述べません。

 ただね、それ以外にちょっと思ったことがありまして。

 それは、シリーズ終了後、10月30日の夜、NHKのサンデースポーツを見ていてのこと。日ハムの西川選手と大谷選手がゲスト出演しておりました。そこで、2人の話していたことですが。最初の2戦の感想を求められて(正確じゃないですが)、、、

西川選手「あの異様な雰囲気が何ともいえなくて、、、。真っ赤っかで、完全アウェーっていうのが初めての経験だったのでやりにくかった」
大谷選手「思ったよりマウンドが硬くて、投げにくかった」


というもの。まあ、大谷選手のコメントはともかく、西川選手のコメントは、実は私も、ちょっと思い当たるものがあったのです。

 シリーズの中継を見て、3塁側までぜーんぶ真っ赤な球場って、一体どうなっているのだろう? と。シーズン中からではありましたが、改めて思ったのです。

 マツダスタジアム、私は行ったことがないので分からないのですが、ビジターチームのファン用の席というのは確保されていないのでしょうか? 横浜球場だったか、神宮球場だったかは、チケット買おうとしたら、3塁側は一応ビジターチーム用応援席でホームチームのユニ&小物着用禁止になっていたような。マツダにはそういうルールがないのでしょうか?

 HP見てもイマイチ分からなかったので、違っていたらアレですけど、やっぱり、ビジターのファンの気持ちも考える必要はあるんじゃないのかな、と。

 むか~し、カープファン現役だった頃に、東京ドームに広島戦を何度か見に行きましたが、(今は知りませんが)あの頃のドーム球場は3塁側にも巨人ファンが一杯いて、カープの応援しようものなら、後ろからモノが飛んでくる、なんてこともフツーにありました。「何て嫌な球場だろう、だから巨人は嫌いなんだ!」と行くたびに思ったものです。

 まあ、当時の市民球場のカープファンが、マナーがよろしかったとは思えないので、市民球場で嫌な思いをしたビジターチームのファンもたくさんいたんでしょうけれど。

 とにかく今のマツダスタジアムがそうなっていないことを願うばかりです。ただ、TV画面から見るだけだと、明らかにビジター側にホーム側ファンが占拠している状態、、、。これはやはりいかがなものか、と思います。

 選手に「異様な雰囲気」と言わしめるような状況(プロとして、調子が悪いことを環境のせいにすることには大いに疑問を感じますし、そういうセリフを臆面もなくTVで言ってしまう2人の選手にかなり幻滅しましたが)は、やはり改善した方が良いのではないでしょうか。


◆カープ戦満席なんて、、、25年前は閑古鳥。

 広島東洋カープという球団が、大変な自助努力をしてきたのは重々承知で、しかし、やっぱり「自分たちさえ勝てば良い」的な、どっかの金満球団みたいな思想には、ファンともどもならないでほしいのです。

 相手チームのファンも大事にしてほしい。自己中な応援や運営ってのは、いずれその何倍にもなって自分たちに跳ね返ってくるはず。

 相手チームのファンも、プロ野球界にとっては大切なファンなのです。プロ野球の人気凋落が言われて久しいけれど、ファンあってのプロスポーツであることを思えば、やはり、球場全体が真っ赤っかってのは、何か違う気がするのです。

 カープ女子という言葉が世に認知されているなんて、90年代、神宮や横浜球場での広島戦が閑古鳥だった(仕事帰りにフラッと観戦に行ってもガラガラで内野の最前席とかフツーに座れた)時代のファンからすれば、隔世の感がありますけれど、せっかくファンが増えて、それがチームの強化に少なからず貢献しているわけで、これからもファンは、どのチームのファンであっても大切にしてほしいです。


◆川口監督、待望!(あり得ないけど)

 シリーズを通して、監督はバッテリー出身が良い、という野村元監督の言にも一理あるのかも、、、ということを嫌でも感じさせられましたねぇ。

 ……ああ、川口が巨人のフロントなんかとっとと辞めて、カープで監督(コーチでも良いから)してくれたらなぁ。もう、東京でのカープ戦、全部見に行っちゃうのに。監督を見るために! だけど。

 川口に、手紙書こうかなぁ、、、。

 ともかく、来季は黒田選手がいなくなるし、戦力が変わるので、今年と同じようには行かないだろうけれど、また新しい強いカープを期待して。日本一という忘れ物を是非手中にして欲しい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ショパン・コンクール・ライヴ 2005/ラファウ・ブレハッチII(2006年)

2014-06-09 | 番外編

★★★★★★★★★★

 これは、映画ではないのですが、あまりに素晴らしいソフトなので是非、感想文を残しておきたいと思い、番外編として記します。

 昨年、中古で購入したドイツグラモフォンの『111: The Collector's Edition 2』の7枚目のCDとして入っていたのが、ショパンのピアノ協奏曲1番と2番で、ジャケの写真には少年のような青年のような大人の男のような年齢不詳の、しかしなかなか見目の良い男性が微笑を湛えており、名前はRafal Blechaczと。何て読むの? と、まあ、私は彼のことをとにかくなーんにも知らずに聴いてみたわけです。

 冒頭の長々しいオケに続いてピアノが入り、ほんの数十秒で、私は、まさしく「なに、これ・・・!?」状態。もちろん良い意味で。思わず手を止め、スピーカーに正対し、聞き入ってしまいました。CDの演奏でこんなふうに魅入られることは、本当に、100回に1回あるかないかなわけでして、ライブで聴いたって滅多にない現象なのであります。それが、起きました、つい先日、自分の部屋で。

 なるほど、彼は2005年のショパンコンクールの覇者であり、副賞も総なめの、まさしく完全勝利を収めた若き天才であると知りました。私は、正直、あまりショパンコンクールの優勝者に好きなピアニストがおりませんで(ポリーニだけ、と言っても良いです)、ショパンコンクールのニュースを見ても右から左だったものですから、こんな素晴らしい宝を見逃していたのでありました。

 なんだかんだ言っても、その前の2000年の覇者ユンディ・リ、2010年の覇者ユリアンナ・アヴデーエワはチェックしていたのに、どーして2005年だけスルーしたのでしょうか、私!!

 で、慌てて、彼のCDを漁りまして、ついでにショパンコンクールの映像も見てみたいと思い、この作品を購入したわけです。

 うぅ、なんという端正な、それでいて情緒豊かな、それでいて品のある演奏、かつ弾きっぷりなのでしょうか。これ、彼は当時、二十歳ですよ? 信じられません。何をどのように学び、いえ、どのように生きてくると、このようなピアニストになるのでしょうか。

 中庸だという評価がちらほらありますが、どーしてそう聞こえるのか、不思議です。演奏がノーマルだということなんですかねぇ。もう、最初の1音目からして、抜群にしか聞こえませんが。演奏スタイルも、オーバーアクションがまるでなく、その大きな手は、鍵盤を這うように、それでいてヌルい撫でるような動きではなく、実にしなやかです。ポリーニのように上から叩くスタイルとは対照的で、音質は同じように硬質ですが、全く表情は異なります。ああ、なんて美しいのでしょうか。端正さでは類を見ないルプーにも勝る、ポリーニの全盛期でさえ霞んでしまいそうです。

 演奏も、テンポはかなり揺れていると思いますが、それが全く嫌らしくないというのは、小手先の聴かせに走った、つまり聴衆に媚びた表面的な演奏ではないからではないでしょうか。もちろん、伴奏のオケも素晴らしいのは言うまでもありませんが。もう、一音一音が見事に粒立ち、まるで目に見えるようです。それでいて、流麗なところは流麗に、鋭角なところは鋭角に、解釈が深く、老成された感さえ窺えます。なんなんでしょう、この人は。

 同じポーランド出身のツィマーマンなど、この人の前では正直お話になりません(あくまで私にとってですが)。こういう内省的なアーティストは好きですね。自分と向き合い、ひたすら音楽と作曲者と向き合うことの厳しさは、想像に難くありません。それを、この若きピアニストは既に成し得ているのです。誰に教わったのでもなく、自らが探求したというのですから、もうひれ伏すしかありません。10年近く、このようなアーティストを知らずにいた自分がまったくもって情けない限りです。

 既に、古典派、ドビュッシー、リストなどをリリースしていますが、彼には是非、ショパン弾きなどという有り難くないネーミングを自ら脱ぎ去り、さらにドビュッシー、ベートーベンから、是非とも、ブラームスのコンチェルトに手を出していただきたいですね。彼の弾くブラームス、どんななんでしょう。想像もつきません。今からその日が来るのが楽しみです。

 この出会いに感謝!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする