映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

マウリツィオ・ポリーニ死去

2024-03-30 | 番外編


 先週の日曜日、朝起きて真っ先に目にしたのが、Xでのポリーニの訃報。

 その瞬間の私の脳内、、、というのが1分くらい続いたかな。最近は体調が良くないというのを聞いていたので、年齢(享年82歳)も年齢だし、そのときは来るのも遠くないんだろう、、、とは感じていたけど、ちょっと心構えしていたより早かった。

 嗚呼、もうこの世にいないんだ……と思うと、とにかく寂しい。生まれ育ったミラノで最期を迎えられたのは良かったというべきか。これほどのアーティストなのに、小澤征爾が亡くなったときはあれほど大騒ぎしていた日本のTVニュースでは、扱いはほぼ皆無、イタリアでもあまり報道がないというのが哀しい。葬儀はスカラ座で行われた。シャイーも参列していた様子。

 来日は、18年のリサイタルが最後で、このリサイタルは聴きに行ったが、腕の不調で日程も曲目も変わったという異例のリサイタルだった。正直言って、確かに衰えを感じる演奏で、きっとライブではこれが聴き納めになるんだろうな、と思った。これ以上、衰えた彼の演奏を聴くのは忍びないとも感じたしね、、、。

 だからもう聴けないと分かっていたけど、弾けなくても存命しているのと、亡くなってしまったのでは全然違う。

 こんなにも喪失感を味わうとは、想定外だった。

(画像お借りしました)おそらく、ミラノ・スカラ座でチェリビダッケ指揮でのデビューコンサート時のもの(曲はショパン協奏曲1番)。チェリビダッケが若い!笑ってる!!

 

 ポリーニの演奏を初めて聴いたのは、高校生のとき、FMラジオの放送を通してだった。音楽もろくに聴かせてくれない母親だったから、勉強している振りをして部屋でこっそりラジオを聴くのが定番だったが、そこで流れて来たのが、ポリーニの独奏によるブラームスの協奏曲2番だった。安物ラジオの最悪なオーディオ環境なのに、あの演奏を聴いたときの衝撃は忘れられない。なんという音!!!

 多分、あれは、アバド指揮・ウィーンフィルの録音だったのではないかな。その時点で録音があったのは、その盤だけだったのでは。

 その後、大学生になって親元を離れてから、私のCD収集が始まった。今とは違って店で買うしか入手する方法はなかったので、ひたすら品揃えの良いレコード屋を頻繁に訪れては、ポリーニの名を見かければ曲は何でも手当たり次第に購入したものだった。

 とにかく、私はポリーニの音が好きだった。触れたら切れそうな、一音一音の明晰さ。粒だったクリアな音。目に見えるんじゃないかと思うほど。それでいて流麗でもあり、ダイナミックでもあり、、、。

 社会人になって経済的に多少の融通が利くようになってからは、ライブにも通うようになった。90年代は、まだまだバブルの名残でチケットもなかなか取れなかったが、必死で電話を掛けたり、人に頼んだり、、、とにかくあらゆる手段でチケットを入手した。ショパン、ベートーヴェン、シューマン、ドビュッシー、リスト、、、数えきれない演奏をライブで聴いた。

 心残りなのは、コンチェルトを1曲もライブで聴けなかったことかな。チケットが取れなかったので。

 彼のエピソードなどを聞くと、かなり神経質で気難しく、人間的にはちょっと関わりたくない感じの人、、、という印象しかない。が、リサイタルで私が見たのは、ファンが舞台下で花束を持って長蛇の列を作っていると、手を目の上にかざして「たくさん並んでるな……!」というジェスチャーをして、一人一人、笑顔で最後の一人まで丁寧に花束を受け取る姿だった。

 ポリーニのことを思うと、私の個人的な歴史を振り返ることに等しく、思いはここには到底書ききれない。

 私がクラシック音楽をよく聴くようになったのには、間違いなくポリーニの存在がある。

 最後に、収集した多くのポリーニのCDの中からベスト1を。演奏が、、、というよりは、このCDこそ、初めて買ったポリーニのCDだから。ショパンコンクール優勝直後に録音されたもので、若きポリーニの鮮烈なショパンが詰まっている。何度聴いたか分からないが、今もまたこのCDをかけながら、この駄文を書いている。

 ああ、、、寂しい。ただただ寂しい。

 

 

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現実逃避の旅 ~ベトナム中部でのんびりしたい~ その⑧

2024-03-27 | 旅行記(海外)


その⑦につづき


【最終目のスケジュール】

 午前中自由行動 → 昼食 → ホイアン旧市街観光 → ダナンへ移動 → ショッピング → ミーケビーチ → 夕食 → ダナン空港


 この旅も最終日。前回の台湾旅行の弾丸ツアーで疲労困憊したので、今回はフリータイムがあるツアーを選んだ、、、といっても半日だけど。

 この日も朝日を眺めながらの朝食。友人と、午前中はダラダラしようと話していた。本当は、マッサージにでも、、、と旅行前に話していたのだが、前日に友人が転んで頭を打った(大事には至らなかったのだが)こともあり、マッサージはやめておくことに。

 部屋に戻って駄弁りながら荷造りしたりお茶飲んだりゴロゴロしたり、、、と一通りダラダラした後、旧市街を歩きに行くことに。

 

 ……とはいえ、そんなに広くない旧市街、メインストリートは何度も既に歩いているので、ホントにフラフラと歩いて、ちょっとお店を見て、、、友人は部屋着を買っていたけど、、、という感じだった。雑貨店など見るのは楽しい。

 集合時間になったので、荷物を持ってホテルのフロントへ。そこから、昼食のお店まで、また旧市街へと歩く。昼食は、ベトナム名物バインミー。

 ホイアンには有名なバインミー・フーンというバインミー屋さんがあるらしいのだが、我々ツアーは旅行会社と結託、、、じゃなく契約しているレストランへ。

 実は、職場のすぐ近くに結構人気のバインミー屋さんがあって、私は食べたことがないのだけど、バインミー・フーンで食べたという職場の女性が「こっちの方が美味しいかも!」と言っていたのを覚えていたので、まあ、もし美味しくなかったら帰ってから職場の近くのお店に行けばいいか、、、と思っていた。

 見た目はちょっとショボく見えるかもしれないけど、美味しかったのです、これが。もちろん、1人1本。これだけで、かなりお腹いっぱいに。

 ちなみに、帰って来てからまだ職場近くのバインミー屋さんには行っていない、、、ごーん。


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 さて、お腹が満たされたら街歩き。

 まずは、フーンフンの家 (馮興家)。200年前の貿易商として栄えた旧家だそう。壁はベトナム、柱やドアは中国、屋根は日本の折衷様式。今も8代目が住んでいるとか??

 アンさんが何度も「うなぎの寝床」と言っていたが、ホントに間口は狭く縦に長い。

 

左:天井が高い/右:リビング、、、らしい

 

2階のバルコニーから下を覗いたら韓国からと思われるツアーのご一行

 

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 この後、市街地の中心部にある来遠橋(通称:日本橋)へ、、、といっても、ここも既に何度も前を通っている。が、いかんせん、現在大規模修復中なので外観の全体像は分からない。

来遠橋(通称:日本橋)これが本来なら見えるはずのお姿(wikiからお借りしました)

 

 16世紀に日本人が架けた橋だということで、通称“日本橋”とのこと。アンさんは「ニッポンバシ」と言っていた。「ニホンバシ」ではないみたい? 一応、修復している側まで入ってみると、、、

ガッツリ本格的な修復だった

 

 で、橋を過ぎて、サーフィン文化博物館へ。

 サーフィン文化は、紀元前後にベトナム中南部に栄えた文化だそうで、ベトナムの先住民だとか。遺跡が出たのだって。そこから出土したものが展示されている。

 

棺桶だって、、、

 

 新しくて建物はきれいだけど狭いので、展示もさほど多くなく、20分ほどの滞在。

 

 チャンフー通りを歩いて、お次は、海のシルクロード博物館(貿易陶磁博物館)へ。古民家を改造した建物で、やはりこちらも、間口の狭い“うなぎの寝床”(外観の画像、撮り忘れました)。

 その名のとおり、陶磁器の展示が多い。

 

 

天井から滑車が下がっていて、これで吹き抜けの1階から荷揚げをしていたのだって

 

 旧市街の見どころはチャンフー通り沿いに集中しているので歩いて回れる、、、のはいいのだが、何しろこの日差し。あちぃ、、、。ヘロヘロになりつつ、お次の福建会館へ。

 

 福建会館は、その名のとおり中国福建省から来た中国人によって建てられた道教の寺院(と会館が併設)。道教の女神「天后聖母」が祀られていることで有名らしい。

天井から吊り下がっているのは“線香”

 

 アンさんが汗だくになりながら説明してくれているのだけど、こっちもヘロヘロで頭に入って来ない。奥で聖母をお参りできると言っていたような気もするが、気力なく、、、。

 それより、この後フリータイムだったので、会館に来る途中でアンさんが「ココのアイスクリームはホイアンで一番美味しい!」と教えてくれたアイスクリーム屋さんへ直行。

 

やっぱ、マンゴーアイスだしょ!

 

 カップかコーンか選べたけど、カップにした。暑くてコーンは食べにくそうな気がしたから、、、。こちら、6万ドン(≒360円)とまあまあのお値段だけあって、マジで美味しい!! あー、生き返る、、、。

 これで、ホイアンとはお別れ、、、。ダナンへ移動。

 


その⑨へつづく

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FEAST -狂宴-(2022年)

2024-03-23 | 【ふ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv84545/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 息子が起こした死亡交通事故の罪を被り、刑務所に収監される裕福な家庭の父親。やがて刑期を終えると、その帰還を祝う宴の準備が進められる。

 収監されている間、妻と息子は、協力して家族と家計を守り、亡くなった男の妻子を引き取り、使用人として面倒を見ていた。

 しかし、宴の日が近づくにつれ、後ろめたさと悲しみが再び湧き上がり、“失った者”と“失わせた者”の間の平穏はかき乱されていく……。

=====ここまで。

 舞台はフィリピン、制作は香港。監督は「ローサは密告された」のブリランテ・メンドーサ。


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 今月1日から公開されて、角川シネマ有楽町では、先週既に終映。見たいなぁと思いながら、あっという間に終映の告知が。早稲田に来るかも、、、? とも思ったけど、こればっかりは分からない。パンフもないような映画だと早稲田でも上映しないこともあるし。

 というわけで、終映日に滑り込みセーフで見に行きました。最終日なのに、劇場には10人くらいしか入っておらず、、、。


~~以下、ネタバレしておりますのでよろしくお願いします。~~


◆2つ作られたラスト

 「ローサは密告された」も見たかったのに見逃したんだが、見に行った友人はなかなか良かったと言っていた。「ローサ~」は社会派というか、麻薬の密売を扱った問題作だというので、本作も、最初はそれ系の映画なのかと思っていた。

 が、新聞で評が載っていて、どうやらそうじゃないらしい、、、。もちろん、新聞だからネタバレはしていないのだが、「ローサ~」とはちょっと方向性が違うことは確かなようだった。それで、却って見たいと思ったのだ。

 上記のあらすじにもあるとおり、夫を殺された(というかひき逃げされた)女性は、金持ち加害者家族の使用人となるのだが、「帰還を祝う宴」が粛々と進む様子が描かれて、ジ・エンドなのである。

 で、多くの観客は、ええ~~!? と肩透かしを喰らうようなのだが、私は前述のとおり予備情報があったので、やっぱりそうだったか、、、という感じだった。

 監督自身が、本作のテーマを“赦し”であると言っているので(詳しく読みたい方はこちら)、このラストシーンは、夫を亡くした女性(被害者)が淡々と加害者家族に給仕をしながら、その現実と加害者への複雑な思いと向き合いながら、赦しとは何か、、、を見ている者に問いかける、ということなんだろう。

 けれど、私はそのシーンが映るスクリーンを見ながら、これはなかなかにグロテスクな描写だと思っていた。

 実は、本作はラストが2パターン作られ、フィリピンで公開されたのと、日本で公開されたのでは結末が異なるらしい。フィリピン版は、被害者が加害者家族の食べる料理に毒を盛って復讐するのだそう。実際、ネットの感想を拾い読みすると、そういう“凄惨な復讐シーン”がラストで展開されるのを予期していた人も少なくない様で、つまり、それくらい、被害者と加害者が同じテーブルを囲み(被害者家族は食さないが)和やかな一時を過ごすことの“あり得なさ”がそこに展開されているのだ。

 客観的に見ればハラハラするようなシチュエーションを、加害者家族は何も疑問に思わず幸せそうに満喫しているのである。これを禍々しいと言わずして何だと言うのだ。邦題のとおり、まさしく“狂”宴である。

 正直なところ、私は、本作が“赦し”がテーマの映画だとは感じなかったし、今もその印象は変わらない。

 加害者と被害者の圧倒的な経済格差が、その立場を有耶無耶にしてしまう。加害者家族は、自己中ではあるけど根っからの悪人ではなく、札びらで被害者たちを強引に黙らせることはしない。けれども、結果的にはそれと同じことになっている、、、というのがグロテスクなのである。被害者たちにとっては、赦す赦さない以前に、食うか食えないか問題なのだ。食うに困らない生活が約束されることの圧倒的な重みに、映画を見ている私の方が圧し潰される。いっそ、札びらで被害者の顔を撫でるくらいのえげつなさの方が見ている方は救われる。

 ネットには、加害者に雇われる被害者、という構図について「あり得ない!」「考えられない!」と拒絶感を示す感想文も結構あったけれど、人間はそんなに理屈で計れるほど単純な生き物じゃないと思うよ? そんな感想を書いている人の中には、肩書が映画監督という人もいて、そっちの方が「あり得ない!」と私には思えたんですが。


◆加害者目線

 交通事故を起こした本人の身代りに服役する、、、って話で、前に見たトルコの映画「スリー・モンキーズ」(2008)を思い出したけど、だいぶ雰囲気は違う。あちらは、金持ちがお抱えドライバーを金で身代りに仕立てるのだが、本作は、父親が息子の将来を思って自ら身代りになる。

 身代りで出頭って、日本でも交通事故では時々あるらしいが、まあほぼバレるよね。この親子の場合、事故現場で父親が咄嗟に運転を代わって、血の海に倒れている被害者を尻目に走り去った、れっきとしたひき逃げなんだが、この父親の冷静さが見ていて非常に嫌な気持ちになった。しかも、その後、洗車までしていて、店員に「血痕か?」と聞かれると「野良犬にぶつかった」なんて言う。日本だったら、かなりの悪質なひき逃げ犯になると思われる。

 刑務所の中は、めっちゃユルくて、下手すると楽しそうにさえ見える。父親はこれみよがしに聖書の朗読会なんぞを開いて、貧しく学のなさそうな他の囚人たちに上から目線で講義する有様。フィリピンの刑務所がユルいという話はよく聞くし、日本の組織犯罪にも利用されているらしいので、割と実態に近い描写なんだろう。

 本作は、加害者家族目線で描かれている。被害者家族についての描写はあまりなく、加害者家族の事情は、パズルのピースみたいに断片的にあれこれ描かれる。

 この事故を起こした本人である息子・ラファエルには幼い子供がおり、face timeでときどき話していて、ラファエルの母親も嬉しそうに孫とスマホで話しているのだが、どうもその子は外国にいるらしい。この辺りの描写がイマイチ??なのであるが、終盤、実はラファエルは離婚していて、子供は元妻が育てていることが分かる。

 で、そのちょっと前に、被害者の女性・ニタに対して、ラファエルの母親が「実は私はここの従業員だった。バツイチだったあの人と恋愛関係になって結婚しラファエルを授かった」という馴れ初めを話すシーンがある。

 なので、ラファエルがバツイチと分かったとき、私は、まさか、加害者本人と被害者遺族が再婚するんか?? げげっ、グロすぎ、、、と思ったのだったが、さすがにそういう展開にはならなかった。世界のどこかではそういうこともあるんだろうが、フィクションでもあんまし見たい映像ではないわね。

 加害者家族は、悪人たちではないのだが、どうも好ましい人たちとも言い難い。けれども、そんな人たちを心の底から憎めないニタの境遇や心理を想像すると、辛い。人間、激しく怒ったり憎んだりする方がある意味健全な状況ってあると思う。ニタの置かれた状況はその典型。そういう感情が不完全燃焼の場合、結局、本人が病んでしまうのではないかと心配になる。

 ニタにとっては、あのエンディングの“狂宴”が終わってからが、本当の意味での葛藤の始まりなんではないか。その宴の準備中に、ラファエルから「実は父は身代りで、ダンナさんを轢き殺したのは自分だ」とニタは告白されている。その場では、ラファエルを抱きしめたニタだったけれど、あれで“赦した”ことにはならんだろう、さすがに。

 それでもやっぱり、食えるか食えないか問題に収れんされていくのだろうな、、、という気もするが。

 ……そんなわけで、どうしても私には本作のテーマは“赦し”には思えないのであります。

 

 

 

 

 

 


出て来る料理がどれもとっても美味しそう、、、。

 

 

 

 

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現実逃避の旅 ~ベトナム中部でのんびりしたい~ その⑦

2024-03-19 | 旅行記(海外)


その⑥につづき


 ホテルの前に船着き場があり、ここから乗船してタンハー陶器村まで川下り。

 

 ライフジャケットを着せられ、船はトロトロと進む。

 

 暑いので、川からの風は心地よく、20分ほどして到着。

 このタンハー陶器村について、前日からアンさんが「ベトナムで一番良い陶器はバッチャン焼きなので、ゼンゼン違います」「ここはあんまり期待しないでください」と何度か言っていた。

  

 船を降りて、村の路地を少し歩く。路地の両脇に工房(?)や売店もあり、そこを抜けて行くと、博物館がある。

  

 ここで、ろくろ体験などもできるみたいだが、我々ツアーは見学するだけ。

 

 見てのとおり、素焼きみたいな色と質感で、あまりそそられないけど、壁から天井にかけての装飾がキレイだった。売店も一応ある。

  

 外に出ると、世界遺産を再現した焼き物たちが並んでいた。風雨にさらされてか、黒ずんでいて、あまり見て楽しい感じでもなく、、、。

 友人は、ここでイロイロ陶器を物色できると思っていたらしく、ガッカリしていた。まあ、確かにバッチャン焼きみたいのを想像しているとかなりギャップがあるのは間違いない。


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 再び船でホイアン市街に戻る。

こちらを向いているのがアンさん

 

 夕方になると出店が。路地の間を縫って夕食のレストランへ。ホイアン名物料理だそう。

 

中庭風の席に通される/マンゴージューズ(まあまあ)

 

 ここで、またあの謎夫婦と同じテーブルになる。今回は、ちょこっとだけ彼らの身の上話が聞けたのだが、あまりに謎めいていたので友人と「もしかして、公安関係?」とか「もしかして、やんごとなき筋の方々?」とか勝手に想像を膨らませていたのだが、いずれも大ハズレだったことが判明。

 いやでも、まだまだ謎な感じは拭えず、相変わらず女性の方はほとんど何も食べないし、男性は私たちには普通によく喋るが女性には素っ気ない対応で、なんともビミョーな空気だった。まあ、私はそういうのも楽しめちゃうクチだけど、友人は気疲れしていた。 

 

 

  

 ……それはともかく。ホイアン名物料理としては、ホワイトローズという蒸し餃子が有名らしい。あとは、揚げワンタン、カウラウというホイアン風うどん(汁なし)などなど。空心菜はどこで食べてもハズレがない。

 一番下の右は、デザートのちまきだったのだけど、肝心の中身の画像を撮り忘れたので、別のサイトからお借りして来ました。

 皮をむくと、このような葛饅頭のようなものが出て来まして、アンさんに何かを尋ねたところ、(聞き間違いでなければ)大豆とヤシを餡にしたものをタピオカで包んで蒸したものだ、、、とか! ヤシ!!? タピオカだったのかー、、、と、食べた後で驚いた。食べてもタピオカだと分からなかった。てか、ヤシってジュースなら知っているが、食べられるのか。ヤシの実っていうもんな。『やし酒飲み』なんて小説も、そういえばあったもんな、、、などと思いながらも、ヤシの味は当然分からず。このデザート自体はそれほど甘くはなくて美味しかったが。

 後からネットで調べたら、ヤシの実は、殻の内壁に白い果肉が付いていて、スプーンですくって食べることが出来るそう。食感はイカの刺身みたいらしい。知らなかった。


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 この後、宿に戻る前に、灯篭流し。旧市街を流れるトゥボン川に灯篭を流すのだ。

 

 お店の人が一つ一つ灯篭に火をつけてくれて、それを長い柄のついた籠に入れて川に下ろす、、、、だけなんだが。願い事をすると良いとか言われたけど、小心者の私は、順番で後ろに待っている人たちがいるからモタモタして待たせたらマズい、、、とか思って願い事なんかするの忘れてたわ。願い事って言われても、そもそも思い浮かばないしな、、、。

お見苦しいので極小サイズで。へっぴり腰で灯篭を載せた籠を下ろしているところ

 

 別に撮影してくれなくてもいいんだけど、アンさんが一人一人撮ってくれる。しかも連写でアニメが出来そうなくらい

 手漕ぎボートに乗って、、、っていうのもあるみたいで、川にはたくさんのボートが行き交っていた。

 

 灯篭流しを終えたら、また出店などを見ながら宿に戻った。

 

その⑦へつづく

 

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現実逃避の旅 ~ベトナム中部でのんびりしたい~ その⑥

2024-03-11 | 旅行記(海外)


その⑤につづき


 カートに乗って5分ほど、遺跡の降車場で降りる。

 

 

 ここからまた少し歩いて、まずは、チャム族という少数民族の舞踊ショーを見学。とにかく蒸し暑い(一応送風機はあるんだけどあんまし効果ない)上に、結構人が多い。

 

 席の位置がイマイチでほとんどショーの画像は撮れなかったのだけど、チャルメラみたいな楽器の演奏がなかなか面白かった。チャルメラ、昨年行った民博で世界中にあるって展示されていたっけ、、、などと思い出しながら聴いていた。

 20分ほどでショーが終わると、遺跡の見学。

後方の山はライオンの頭に見えるという聖なる山「マハールヴァダ」(獅子岩)

 

 その時代時代の王たちが、神殿(?)を築いてできたということらしいが、見た感じ(行ったことないけど)アンコールワットに似ているような。20世紀に入ってフランス人によって発見・発掘されたけれど、ベトナム戦争でかなり破壊されたらしく、部分的には壊滅で復元も難しいらしい。

 

 チャンパ王国は分からないことも多いらしい。レンガ造りなんだけど、隙間なくレンガを積んであるこの工法については、今も解明されていないのだとか。コンクリートをレンガのつなぎにして修復しているとも、アンさん言っていたような(記憶違いだったらすみません)。

 

右:ベトナム戦争のときに落とされた砲弾

 

 

右:ヒンドゥー教の安産祈願(男性器と女性器だって)

 

 

 40分ほど見学して、集合場所へ戻る。もう、とにかく暑い、、、。ので、またまたアイスで体内から冷やすことに。

 

今度はマンゴーアイス(2万ドン≒120円)。濃厚で美味しかった♪

 

 で、一息ついた後、少し時間があったので、売店を見て回ると、ちょうど旅の記念になりそうなアイアン細工をめっけ。

 高さ12センチくらいかな。ちなみに天秤は動かない。お香のお皿にも良いかも。11万ドン(≒660円)だったと思う。


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 この後、バスでホイアンに戻り、昼食。ベトナム中部の料理店とのこと。

 

 飲み物は、7upを頼んでみる。と、可愛らしい絵の缶が。味は普通の7up。

 

サラダなどが出て来て……

 

 

 ミークワン(画像左)というのが中部の独特の麺らしい。汁なし麺。きしめんみたいに平ぺったい米麺で、魚介出汁(?)にターメリック入りと思しきスープが麺の下にあって、エビやナッツが山盛りになっているのを混ぜながら頂く。私は、担々麺も汁なしの方が好きなので、これも美味しくいただきました。

 チキンライスも中部の料理だそうだが、こちらは、まあフツーかな。黄色いご飯は、サフランライスかと思いきや、違うっぽかった。ターメリックの色かしらん? 想像していたチキンライスとゼンゼン違って驚き。

  

 生姜焼きみたいな肉や、さらにまた麺が出て来て、美味しいは美味しいんだが食べきれない。デザートは、普通のシュークリーム。


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 この後、一旦、宿に戻って1時間ほど休憩。

 で、集合時間になったのでフロントに行くと、何やら騒がしい、、、。ん??と思って見ると、見知らぬ男性が一人、ツアーの女性たちに囲まれている。この人がツアー32人目の方だった。

 なんとこの方、成田空港で、飛行機のチェックインする際に「パスポートが期限切れ」と言われて出発できなかったんだとか。つまり、間違えて古い方のパスポートを持って来てしまったと。チェックインの前に、旅行会社のカウンターでもパスポートチェックがあったんだけど、そこはスルーしてしまったらしい。同じツアーで2日後出発グループの飛行機の座席に辛うじて空きがあったので、遅れて参加することになったのだって。もちろん、追加運賃やら手続代は加算されたとか。

 いやー、他人事じゃないわ、、、。パスポートの外観、パッと見、古いのと同じだもんね。私は古いのは奥の方にしまい込んであるけど、同じところに保管してあったら、うっかり、、、なんてことは十分あり得るもんなぁ。

 そのいきさつをツアーの人々に何度もその男性は武勇伝が如く話をしていて、その度に、なぜか「良かったわね~」パチパチ、、、と拍手が沸き起こるのが不思議だった。

 で、この後、タンハー陶器村までトゥボン川を下って行くのであります。

 

 

 

その⑦へつづく

 

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シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年)

2024-03-09 | 【し】

作品情報⇒https://www.cinemacafe.net/movies/33229/


以下、アマプラの紹介よりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。

 ゴーストハンター(マーティン・ランドー)が、死んだ母親から電話がかかってくるように見える男の事件を調査する。その過程で、メキシコのシエラ・デ・コブレという村で起きた幽霊騒ぎや、昔起きた殺人事件の背後にある恐ろしい秘密が浮かび上がってくる。

=====ここまで。

 なんと制作国アメリカではお蔵入り作品。


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 名前だけは聞いたことがあった本作。昔、探偵ナイトスクープで取り上げられて話題になったらしいのだけれど、私は、そのときに知ったのかどうかは記憶にない。Jホラーにも影響を与えたとかでその名を耳にしたのかも。

 そんな忘れていたような本作のタイトルを、何とTwitterのタイムラインで目にしたのであります! アマプラで見られるとあるではないか。おー、どらどら、、、幻の作品と言われているのなら、この機に見ておこう、、、というミーハー根性で見た次第。

 アメリカでお蔵入りになった理由は、「あまりに恐ろしい映像描写ゆえに試写会で体調を悪化させる者が続出したためであるとも伝えられている」なんてwikiに書いてある。

 まあでも、所詮、アメリカのお化け映画だからな、、、と思って見たら、案の定、怖さはゼンゼン。でも、思ったより見るに堪える作品になっていた。

 これは、ホラーではなく、ミステリーやね。

~~以下、ネタバレです。~~

 一応、お化け、じゃなくて幽霊は出てくるんだけど、ストーリーとしては、その幽霊が出て来る背景を探る、、、というものになっていて、これが終盤で意外な方に展開し、ラストも救いがないあたりは、アメリカン・ホラー(いやだからホラーじゃないって)にしては大人な作品になっていると感じた次第。

 見どころとしては、マーティン・ランドー演ずるゴーストハンターのオライオンが、本業は有能な建築家っていう設定だからか、オカルト現象に対してロジカルに解明しようとするところ。まあでも、一応、幽霊だからオカルトなんだけど。

 序盤は、死んだ母親から電話がかかって来て、死んだ母親の霊が云々、、、っていう話なんだが、これもミスリードで、実は、、、という明らかになる背景がそれなりにひねりが効いている。

 ほかには、いかにも怪しい家政婦の老婆が実は、、、ってのも、なかなか面白かった。まあ、途中で分かっちゃうといえば、分かっちゃうけど、展開が推測できても、人物描写やストーリーがしっかりしていれば、ゼンゼン問題ないでしょ。実際、この老婆は、最後の最後までカギになる人物で、この人のおかげで、ラストは救いがないことになるのだ。

 この映画は、ゴーストハンターものではなく、ある意味、母と娘の確執物語と言える。こういう背景が設定されているとは予想もしていなかったので、なかなか面白いと感じたのかも。

 マーティン・ランドー、一見、悪役っぽい顔だけど、本作では冷静で知的な紳士だった。この方は、刑事コロンボの「二つの顔」で双子役(一人二役)を演じているんだけど、その時の印象で、悪役っぽいと感じていたのかな、、、。コロンボでの彼も、なかなかステキだったよなぁ。割と最近まで長生きされたのですね、、、。「手紙は憶えている」(2015)にも出ていたんだった。

 彼の演じるオライオンは建築家だからか、その自宅の建物がもの凄い変わっていて(というかバランスが悪そう)個性的。内装も、豪邸の割に、階段がチープな螺旋階段とか、、、。で、中盤でこのヘンテコな建物の中が見たいっていう若いお姉ちゃんが出て来て、オライオンと「じゃあ(夜の)8時にここで待ち合わせよう」とか約束するんだけど、その後、ラストまでこのお姉ちゃんは出て来ない、、、。どうなったんだ、あのお姉ちゃん。

 あと、特筆すべきは、幽霊の映像。映像技術の未熟な時代のものだけど、モノクロを活かした、まあまあグロい映像になっていた。今見れば、そりゃあゼンゼン稚拙で怖くないけど、当時の人たちが見れば、割と驚いたんじゃないかしらん、、、。

 ……しかし、本作の何がJホラーに影響を与えたんだろうか。うぅむ、、、分からん。でも、多分、、、じゃなくて、もちろん、見終わったときに“時間のムダ”とかは思わないと思いますよ。


 

 

 

 

 

オープニングから割と映像が凝っている作品です。

 

 

 

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現実逃避の旅 ~ベトナム中部でのんびりしたい~ その⑤

2024-03-05 | 旅行記(海外)


その④につづき


 音楽と踊りを鑑賞し終わったら、シクロ乗車体験。

 シクロは、ベトナム料理店の前に置いてあるのを見たことがあるだけで、乗ったのはこれが初めて。ツアー31名様がゾロゾロとシクロに乗って移動する。

 

 私が乗ったシクロの運転手のお兄ちゃん(おじさんかなぁ?)は愛想が良くて背後から「ニホンダイスキ!」とか「ナマエ? ワタシ〇〇、ナマエ?」とか、やたら話しかけて来る。何言ってるのか分からなくて??となっていたら、どうやら他の運転手と話していたみたい??とか、とにかく私としては風景を眺めてぼんやりしたいわけで、サービス精神旺盛っぷりに閉口気味、、、。

 乗り心地は、、、まぁ、悪くはないけど、すぐ側を車やバイクが通るし、なかなかスリリングだった。インドで乗ったリキシャは、運転者が前で、客が後ろに乗るんだけど、シクロは、客が前で運転手が後ろってことで、客からすると視界は遮られないけど、割と怖い。

 で、10分くらい乗ったら、お土産屋さんの近くに到着。チップを2万ドン(≒120円)渡すようにと事前にアンさんに言われていたので、お兄ちゃんに渡すと、満面の笑みで「アリガト!サヨナラ!」と。

 この後、お約束の土産店へ。私は、今回の旅はあんまし買い物しなかったんだが、お土産用のお菓子(1箱6万ドン)と、ベトナム刺繍の可愛い巾着(小さいのが1つ2万ドン、大きいのが1つ2万5千ドン)をゲット。お菓子は、ちょっと固めのココナツサブレという感じで、すごく美味しい。3枚入りの小袋が16袋入っていて、約360円。

 


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 この後、バスでホイアンに戻り、夕食へ。

 

 ベトナム風西洋料理店だそう。欧米からと思われるお客さんが多かった。

  

 

 確かに西洋料理。食べかけの写真になってしまったサラダはツナサラダで、お味はどれもほぼ想像のとおり。デザートのプリンが見た目より甘くて濃厚だった。

 同じテーブルになったご夫婦が、ちょっと不思議な、、、というか謎めいていて(友人が「どちらからいらしたんですか?」と聞いても「どちらからでしたっけ?」と笑いながら奥さんがダンナさんに言うとか。それに対してダンナは笑ってスルー。???な感じだった)、特に、女性はほとんど何も食べないのでビックリ。料理が口に合わない、、、とかじゃなくて、飲み物(マンゴージュース)以外手を付けないのだ。ちなみに、ダンナさんは普通に食べていたけど、とにかく独特な空気感のご夫婦だった。正直、料理よりもこのご夫婦の印象の方が強かった。

 ツアーに参加すると、世の中、良くも悪くもいろんな人がいるんだなぁ、、、と実感することが多い。自分の生きている世界なんて狭いもんだ。

 この後、宿に戻る。


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【3日目のスケジュール】

ホイアン発 → ミーソン遺跡観光 → ホイアンに戻り昼食 → トゥボン川クルーズ → タンハー陶器村 → 夕食 → ホイアン旧市街にて灯篭流し


 3日目は、ホイアンからバスで片道1時間半ほどのミーソン遺跡観光。朝は8時集合、朝食は6時半過ぎに。

 

朝焼けを眺めながらの朝食、、、何と贅沢なことよ

 

 この日の朝食は、オムレツを好みの具入りで目の前で焼いてもらって、その隣で、これまた好みの具入りフォーをお願いした。お腹に優しいフォーは朝食に良い。

 8時ころにホテルを出て、バスでミーソン遺跡へ。ミーソン遺跡は世界遺産で、古代から17世紀ころまでベトナム中部から南部にかけておさめていたチャンパー王国の聖地。ヒンドゥー教。

 到着してチケットをアンさんから手渡される。このQRコードをかざすんだが、何とこのチケット、入場後に回収されてしまった。

 

 入口から5~6分歩いて、カート乗場に着くと長蛇の列。このカートで遺跡まで行く。

 

 

 

その⑥へつづく

 

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落下の解剖学(2023年)

2024-03-02 | 【ら】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv85076/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 視覚障がいを持つ息子は、ある日、父親が血を流し倒れているのを発見する。

 息子の悲鳴を聞いた母親が救助要請を行うも、すでに男は息絶えていた。当初は転落事故かと思われたが、その死には不審点が多く、しだいに被害者の妻でベストセラー作家のサンドラに殺人容疑が向けられていく。

 無実を必死に訴えるサンドラだったが、事件の真相を追うなかで、夫婦の嘘や秘密が明らかになる。

=====ここまで。

 2023年、カンヌパルムドール受賞作。


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 興味ある新作がいくつかありながらも、何となく劇場に行くのが面倒で、今年に入って劇場での新作鑑賞は元日以来。昨年から話題になっていた本作、公開を楽しみにしていたので、これは面倒に思うことなく行けました。このメンドクサイ症候群、いつまで続くんかなぁ、、、。

 それはともかく。期待値上げ過ぎだったかも。以下、ネタバレしておりますのでよろしくお願いします。


◆殺人か事故・自殺か

 上記あらすじからも分かる様に、見る者としては、事件の真相は何か?に関心が集中するんだけど、案の定、本作ではそこは分からないままである。で、本作を見れば分かる様に、事件の真相などはどうでも良いのである。

 ……と書いておきながら、敢えて、私の個人的な見解を先に述べておくと、これは殺人ではなく、自殺(or事故)でほぼ間違いないと思う。何でかって? あんな夫、殺すに値します?? 殺すことで、サンドラに何のメリットが?? 他にもそう思った理由はあるけど(後述)、ほぼこの一点において、私はサンドラはあの夫を殺していないと思った。

 でも、ネットの感想を拾い読みすると、殺された夫・サミュエルに同情的な人の方が多い印象。へぇ、、、。

 このブログでも時々書いているけど、男から女への嫉妬は本当に質が悪い。サミュエルは、自分が小説を書けないのを妻サンドラのせいにして罵り八つ当たりして、サンドラの客が来れば大音量で音楽を鳴らして邪魔をするような男である。もう、この描写だけで、サミュエルの人間性が大体察せられる。妻が社会的に成功しているのが気に入らないのだ。これで、妻も同じように小説家として鳴かず飛ばずだったら、サンドラが家事に積極的でない妻だったとしてもサミュエルはサンドラにあんな風に突っかかったり嫌がらせをしたりはしないだろう。言ってみれば“小っちぇ”んである。小っちぇければ小っちぇえほど嫉妬心がデカくなる。しかもネチネチ、グチグチ、、、、知るかそんなもん!と、そらキレるわな、サンドラも。

 中盤から法廷での応酬になるんだけど、本作の趣旨は、真相を暴いて白黒つけるというものではない。この事件(というか事故)では物証がほとんどなく、関係者の証言だけが頼りなので、真相なんてものは、サンドラにしか分からない。そして、本作は“実はこうでした”的なサンドラの回想シーンなどは全くない。むしろ、真相は分かりませんけど、どうします? という問いかけだ。

 まあ、本作はフランスの法廷が舞台だけど、日本の法廷モノでも物証がなければ似たような感じの話になるだろう。で、疑わしきは罰せずが一応の原則なわけだから、本作でも、サンドラは無罪になる。

 が、本作では、サンドラには不利な証言もあって土壇場まで、下手すると有罪になりそうな雰囲気で進行する。終盤、無罪への決定打になったのが、被害者と加害者の息子・ダニエルの証言である。この展開をどう受け止めるか、、、なんだが、私はあんまし好きじゃないな~、と感じたクチ。事実関係を争っている状況で、トドメを刺すのが、当事者たち子供の極めて情緒的な証言、てのは法廷モノとしてどうなのか?とね。まあでも、法廷モノに擬態した人間ドラマだと考えれば、これもアリなのか。

 いずれにしても、あの状況でサンドラに有罪の判断がくだされたら、フランスは「推定有罪」をやらかすかなりヤバい司法ということになるから(日本も言えた義理ではないんだが)、ストーリーとしては当然の結論だろう。


◆似たもの夫婦
 
 ……と、ここまでサンドラに肩を持つようなことを書いた来たのだが、ちゃぶ台返しをするようだけど、私はサンドラのことは好きではない。

 ダニエルは視覚障害があって(この描写も、序盤は全盲かと思わせるのだが、中盤以降に全盲ではないと分かる)、その原因が、夫・サミュエルの不注意による事故(詳細は分からない)だってことなんだが、それによって、夫婦間に深刻な亀裂が入り、セックスレスカップルになったというんだが、それで寂しくなって女性と不倫した、、、と法廷で本人が証言する(ダニエルはそれを傍聴席で聞いている)。

 別に不倫したから好きじゃない、と言っているのではなくて、つまり、このサンドラとサミュエルの夫婦は、互いに他罰思考で似た者同士なんである。割れ鍋に綴じ蓋とはよく言ったもんで、この夫婦も然り。どちらかが善良なんてことにはなり得ない。

 大体、この夫婦、息子のことを互いに押し付け合っており、しかも視覚障害のことを殊更ネガティブに捉えた発言が多く、ちょっといかがなものかと感じた。

 この夫婦の悲劇は、サミュエルにサンドラほど才能がなかったことよりも、サンドラの方がサミュエルより自身の欲望に忠実な人だった、ってことだろう。

 不倫の件もそうだが、折角のアイディアを作品化できないサミュエルを見ていて、じゃあアタシが!と小説に仕上げてしまったり、視覚障害を負った息子の世話を自分より時間に余裕があるサミュエルに任せっきりにしても何ら疑問に感じなかったり、、、。

 互いに相手のために自分が譲歩していると勝手に拗らせているのは同じだが、それを鬱鬱と溜め込んでいるのはむしろ夫のサミュエルであり、この夫婦間で殺人が起きるなら、殺すのはサミュエルで、殺されるのはサンドラじゃない?

 私が“サンドラは殺していない”と感じた所以はココであり、夫婦間で心理的に抑圧されているのはサミュエルだからである。サンドラは夫に殺意を抱くまでの抑圧はないと思う。

 あんな嫌がらせをするような夫だから、殺人に見せかけた自殺を図った、、、と考えてもおかしくないんじゃないか、とさえ思っている。
 

◆パルム・ドッグ賞

 本作では、ワンコが大活躍するのだが、終盤で、私にはちょっと理解できないシーンがあって、、、これが今も引っ掛かっている。

 というのも、ダニエルがワンコにある実験をするんだが、この意味がよく分からない。サミュエルが自殺未遂を起こしたことがある、、、というサンドラの証言の中で、サミュエルの吐しゃ物が云々というのがあるんだが、そのときのことを思い出したダニエルが再現実験(?)をする。ワンコにアスピリンを多量に服用させて、その反応を見るというもの。

 結果的に、この実験でダニエルは、母親サンドラの言っていることが事実だと考えて(?)最終的な証言をすることになったのだが、つじつまが合わない気がするというか。

 ワンコは人間の吐しゃ物でも平気で食べてしまう動物なので、そうすると、サンドラが、サミュエルの吐しゃ物を処理したってのは??である。ダニエルが泣きながらその状況を話している内容も、イマイチ??である。

 あのシーンは、もう一回見れば理解できるのかしらん??

 まあ、とにかく、あのワンちゃんは実に素晴らしい役者でありました。パルム・ドッグ賞だったとか。納得です。

 あと、サンドラの弁護人役のスワン・アルローがなかなか渋い中年男だった。誰かに似ている、、、と気になっているんだけど、誰だかピンと来ない。あの「女の一生」のジュリアン役だったとは、、、!! 本作の方が、ゼンゼン魅力的だったよ。

 

 

 

 

 

 

150分の長さは感じなかったけど疲れた、、、。

 

 

 

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