映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ベルファスト71(2014年)

2015-08-27 | 【へ】



 北アイルランドのベルファストに派遣された若きイギリス軍二等兵士ゲイリー・フックは、現地のアルスター警察を補佐し敵対派の家宅捜索の護衛をすることに。敵対派を刺激しないため、軽装備で現地に入ったゲイリーたちだったが、アルスター警察の捜索は厳しく乱暴なもので、それに刺激された住民はゲイリーたちの部隊を取り囲み、暴動に発展してしまう。

 そのどさくさで少年にライフルを奪われたゲイリーは、少年を追いかけて部隊からはぐれてしまった挙句、反対派の過激集団に命を狙われ逆に追いかけられることに。ゲイリーは、逃げ惑ううちに、反対派の街中で完全に迷子になってしまう。どうにか追っ手をまいたものの、果たして彼はこの敵の巣窟の中から逃げ出せるのか……!

 
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 アイルランド紛争の映画は、敵味方が入り組んでいるので、集中してみていないと分からなくなるんだけれど、本作もそうでした。99分の間中、ずっと緊張を強いられる。

 まあ、とにかく、もの凄い臨場感です。カメラワークとか、あんまし詳しくないけど、凄いのです。よく撮ったなぁ、と感心します。ゲイリーが迷子になることになった最初の逃走シーンですが、細い路地をあっちへ曲がりこっちへ曲がりするんだけど、もうこれがドキドキものです。敵もすごいしつこく追いかけてくる。怖いのなんの。逃げるゲイリーは丸腰ですからね、なんつっても。追っ手は拳銃持っているんです。

 途中、親イギリス派の少年が助けてくれて、その少年とのささやかなふれあいで、ほんの少しホッとする時間もあります、一応。

 が、しかし、そんなのは一瞬で吹き飛ばされてしまう。そう、まさにゲイリーと少年のいたパブは、大爆破に遭ってしまう、、、。さっきまで元気いっぱいだった少年の体は、、、。

 ゲイリーも脇腹に深い傷を負い、気を失って倒れているところを助けたのが、カトリック派の元衛生兵の男エイモンとその娘。敵の本拠地の、しかもど真ん中のアパートに図らずも入り込んでしまったのでした、ゲイリーは。

 ・・・で、あーなってこーなって、まあ、結局ゲイリーは助かるのですが、このエイモンに助けられてから、自分の営舎に戻るまでが、本当に恐ろしいのです。これは、ここで説明してもほとんど意味がないので、実際に見るに限ります。

 アイルランド紛争の映画を見ると、いつも思うのだけど、同じ国の人同士が殺し合うって、やっぱりちょっと想像を超えた話です。世界中には珍しくない話でしょうが、思想信条の違いが、縺れた挙句に殺し合いに、、、。本作を見ても、本当に、不毛そのものです。誰も何も得ることもなく、ただただ命を落としていくだけなのです。これこそ、不毛でしょう。

 本作は、メッセージ性とかそういうものは一切前面に出ていません。ただ、ひたすらゲイリーの脱出劇を描いている「だけ」です。サスペンス映画、あるいはスリラー映画と言っても良いかも知れません。ネタとしてもいわゆる実話ものではなく、完全なフィクションだそうですし。だから、アイルランドの悲劇、みたいな感じは全然ありません。どっちに義があるとか、そういう描き方も全くされていません。ただただ、自分たちの主張のためにお互いがお互いの敵をやっつける、それだけです。だからこそ、より不毛感、虚無感に襲われます。

 戦争(紛争)なんて、結局こんなもんだわ。背景? 理由? そんなもん知らんわ。殺らにゃ殺られてまうだけだがや(なぜか名古屋弁) ・・・みたいな。

 あんまり予習しなくても分かりやすいとは思いますが、見ている間は集中力が必要です。どっちがどっちか、分かんなくなりそうなんで。見終わった後、どっと疲れるかもです。私は疲れました。





こんなの見せられると、饒舌な安倍談話が無意味に思える。




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愛のタリオ(2014年)

2015-08-24 | 【あ】



 ソウルの大学で教授職にあったハッキュ(チョン・ウソン)は女性問題を起こして田舎町へ追いやられる。失意の中で出会った田舎娘ドク(イ・ソム)に束の間の癒しを求めるハッキュ。しかし、思いのほか早く大学に戻れることに。さっさと身の回りを片づけソウルにもどるハッキュ。

 ドクはしかし、ソウルまで追ってきた。追い詰められるハッキュ。金で解決しようと、ドクの家まで行くのだが、ハッキュの姿が現れたことに喜びのあまり火の始末を怠り、ドクの母が眠るドクの自宅は火に包まれる。現金の入った袋を渡され呆然とするドクとハッキュの目の前で燃えるドクの家、、、。家に戻ろうとしてハッキュを振り返るドクの眼差しは、その後のハッキュの行く末を暗示する。

 韓国に伝わる「沈清伝」という話がベースらしいです。

 
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 劇場で見そびれて、DVD鑑賞ということに、、、。まあ、DVDで十分だったかな。

 韓国映画はあまり見ない方なんで、偉そうなことは言えないんだけど、こないだ見た『ハウスメイド』といい、本作といい、何とも後味の悪い作品でございます。イケメンで地位もカネもあるけど身勝手な男の性欲の捌け口にされた挙句に、あっさり捨てられる若い女性。まあ、韓国に限らず世界中にゴマンとある話ですけれども。

 分かっていたけど、濡場のシーンのスゴイこと。あそこまで描写する必要ってあるの? ネットリ、じっとり、すんごいしつこい。これでもか、これでもか!みたいな、、、。見ていてだんだん、うへぇ~って感じに。そして相変わらずムキムキの男優。大学の文学部の教授が何であんな体してんのさ。そら、マッチョな教授がいてもおかしくないけど、うーーん。

 同じ文学部教授が若い女性と好き勝手やるという設定の映画なら、『あの胸にもういちど』が思いつくけど、アラン・ドロンの体はブヨブヨとかじゃなかったけど、チョン・ウソンほど鍛え上げてもいなかった。あれはあれで??な映画なんだけど、ラブシーンは本作より露出度が低い割に官能的だったと思うなぁ。

 しかし、その最初の濡場のシーンがですね、実はかなり怖いんですよ。田舎のおぼこ娘ドクが、喘ぎながら言うんです。「絶対離れない!!」って。私が男だったら、間違いなくここで萎えますね。でもって、パンツ履いて逃げ出すと思うんですよ。怖すぎです、真っ最中にこんなこと言う女。しかし、ここでそうならないハッキュ。一瞬動きは止まるんだけど、その後、ますます盛り上がって(?)腰の動きの激しさが増しています。大丈夫か、この男は。、、、ま、大丈夫じゃないから話が成立するんだが。

 捨てられた挙句に、家と母親を火事で失ったドクは、ハッキュに復讐するんですが、それが本作の後半です。妻がうつ病で自殺し、自分は糖尿病が悪化し目が見えなくなるハッキュの下に名前を偽ったドクが現れ、あの手この手でハッキュを追い詰めていくわけですが、、、。まあ、この復讐劇は、あんまし見ていても面白くないです。結局、ハッキュの娘に、ドクはまた復讐されますしね。

 そう、復讐劇って、私は個人的にあんまし好きじゃないんですよね、、、。ものによりますけどね。松本清張の「霧の旗」とかなら、まだ復讐したくなる気持ちも分からないでもないけれど、それでも、逆恨みだもんね、あれも。復讐劇って見ていて不快なんですよ、つまり。復讐する方には復讐するだけの理由があると思っているけど、客観的に見れば、説得力がないという、、、。そら、本人にさえ理由があれば復讐になるという見方もあるけど、それこそただの逆恨みなわけで。

 しかも、復讐って連鎖するでしょ。復讐された側にしてみりゃ、お前もお前だろ!ってことで、今度はこっちがお前に復讐してやる、と。どこかで誰かが「バカバカしい」と気付くまで続くわけです。

 こう思うのは、私が復讐したいほどひどい目に遭ったことがないからだ、と突っ込まれるかも知れませんが。でも、何十年も生きてきたらイロイロありますから、復讐劇に仕立て上げることができるネタくらい一つや二つ、フツーにありますよ。でも、しないだけです。世間の大抵の人はしないのです。本能的に感知しているからではないでしょうか、そんな後ろ向きなことにエネルギーを費やすことの虚しさを、です。

 ドクは、そういう意味では、ちょっと安っぽい女性になっちゃってて残念。復讐に現れたはずなのに、目が見えなくなったハッキュとまたセックスしてるし。まあ、まだハッキュのことが好きだったんだろうけど、、、。

 女性が、自分を振った男に復讐する話としては『オネーギンの恋文』は小気味良いものです。そう、男に、自分を捨てたことを激しく後悔させること、これが最上の復讐ではないでしょうか。もはや自分がその男の手の届かないところにいる、そしてその現実に打ちひしがれている男を高見の見物、、、。気持ち良いだろうなぁ~。そんな経験、もちろんないけど。

 どうせ復讐劇なら、そういうアッパレなのが好きです、私は。





一歩間違えば三流ポルノ映画。




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バチカンで逢いましょう(2012年)

2015-08-13 | 【は】



 夫に先立たれたマルガレーテ(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)。なんと、実の娘マリー(アネット・フィラー)が、マルガレーテの家を勝手に売る算段をし、挙句、老人ホームに入れようとしていたことを知り、ショックを受ける。そんなところへ行かされるくらいなら、バチカンに行って、ローマ法王に会って懺悔するんだもんね~!! と、さっさと旅立ってしまう。

 行った先のローマには、マリーの娘マルティナ(ミリアム・シュタイン)がいる。実は親には内緒で売れない(?)ロック歌手の男と同棲中だった。そこへ突然やってくるマルガレーテ。それから、マルティナを巻き込んで、マルガレーテのローマでの穏やかならぬ日々が繰り広げられるのだが、法皇さまにはなかなか会えない。

 ひょんなことから知り合ったロレンツォ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)ともイロイロ起きて、、、。

 母娘3代に渡る、女の悲喜こもごもドラマ。

 
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 劇場に見に行きそびれた作品。まあ、でも、スクリーンで見なくても良かったかな。見ても良かったかもだけど。

 本作は、一言で言っちゃえば、未亡人の何度目かの青春物語、って感じです。

 マルガレーテは、法皇さまに会うためにあれこれ行動し、その過程でいろんなことに巻き込まれ、あるいは周囲を巻き込んで行きます。敬虔なカトリック信者のマルガレーテ、法皇さまに防犯スプレー(とうがらしの)を吹きかけるわ、法皇さまに会うためにロレンツォと偽装結婚までしようとするわ、、、。偽装結婚は直前でやめるんですけどね、教えに背くようなことするなんて!!って。もちろん話を持ち掛けたのはロレンツォです。

 ロレンツォはイタリア男らしく、女性に親切なんだけど、かなり怪しい。何しろ、目が見えるのに盲目の振りをしているときにマルガレーテと出会い、その後、スクーターにすいすい乗っているところをマルガレーテに見つかるという、、、。実際怪しいオッサンなんですが、でも根は優しい。なぜか、マルガレーテをお気に入りの様子です。

 まあ、マルガレーテがそこまでして法皇さまに懺悔したかったこととは、知ってしまえばちょっと陳腐なんですが(内容を書くのはやめときます)、これを聞かされた当事者のマリーはいい迷惑だよね~。法皇さまに懺悔もできてないし!! このエピソードがちょっと、本作の中では浮いていたような、、、。もう少し違う内容にしても良かったんじゃないかしらん。

 とはいえ、結局、このローマでのドタバタを経て、母娘3代は関係修繕を果たしメデタシメデタシなんですけれど。

 マルガレーテの場合、夫とはそれなりに幸せな生活をしていたようですが、彼女を抑圧していたのは、実の娘マリーでした。このマリーが、マジで困ったチャンなオバハンなんです。自分が正しい人なのね。マルガレーテがさっさとローマに行ってしまった気持ち、すごくよく分かります。こういう人の傍にいるとスポイルされるだけなんで、離れるに限ります。

 ところで、本作は、紹介されていたあらすじと実際のストーリーがかなり違う気がしましたねぇ、、、。「マルガレーテは持ち前のバイタリティでローマの廃業寸前のドイツ料理店のシェフとなって店を復活させる。その評判は法王庁にも届き、やがて法王のためにドイツ菓子カイザーシュマーレン作りを依頼されるまでになる…。」って公式サイトにあるんですけど、確かに、店にお客さんが入るようにはなって来たけれど、復活させたと言えるのか? しかも、お菓子作りを依頼されたのは、裏でロレンツォが手を回したからで、、、。

 このあらすじからだと、マルガレーテが料理でせいぜい腕を振るって八面六臂の活躍!みたいな印象を受けるけれど、実際の本作はかなり印象が異なります。まあ、それもご愛嬌かも知れませんけど。

 マリアンネ・ゼーゲブレヒトは、本作でもこれまでのキャラを維持していますが、今までよりはちょっと快活な、というかアクティブな感じのおばちゃん役です。さしもの彼女も歳とりましたね。でも、いい年齢の重ね方をされているようにお見受けしました。

 そしてロレンツォを演じていたのは、あのジャンカルロ・ジャンニーニ。なかなかいい枯れ方をされています。あの『流されて……』でワイルドな男を演じていた人と同一人物とは思えない、、、。

 私の中では、マリアンネ・ゼーゲブレヒトといえば『バグダット・カフェ』ではなく『シュガーベイビー』なのよね。ロレンツォとマルガレーテがスクーターに乗るシーンがあるんですけど、『シュガーベイビー』でも彼女が若い愛人の運転するバイクの後ろに乗るシーンがあって、それと少しダブりました。恐らくは『ローマの休日』へのオマージュなんでしょうけどね。

 まあ、全体に雰囲気は良いし、作品としても悪くはないんでしょうが、あんましピンときませんでした。





イロイロきれいにまとめ過ぎかも。




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人生スイッチ(2014年)

2015-08-10 | 【し】



 生きていれば、理不尽、不条理、無茶苦茶、、、なことにはしょっちゅう遭遇するわけで。その際に感じるのは、腹立ち、ムカつき、、、つまり怒り。

 本作は、そんな怒りをきっかけに、人生が180度変わってしまう(あるいは360度で元に戻る)人々のブラックなお話のオムニバス映画。かなり下品、お下劣、非倫理なお話のオンパレードなので、真面目な方ほど、逆にこれを見て腹を立ててしまうと思われる、、、。

 アウトロー&アバウトという自覚と自信のおありな方にのみオススメの、一応、コメディ、、、かな。

 
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 ほとんど予備知識はなく、オムニバスだということだけ事前に知ったうえで見ました。

 まあ、面白かったです。ただ、映画にする意味があったかというと、、、TVドラマでも良いかも、という気はします。が、公共の電波に流すにはちょっと問題アリな話ばかりですね。そういう意味では、映画でしかできないことだったとは思います。

 全6話で、1話ごとに話のつながりはまったくありません。6話を一つ一つ説明するのは面倒なんで、感じたことをアトランダムに。

 どの話も、必ず笑える箇所があります。でもって、オチがもの凄く、唐突に、かつキョーレツにやってきます。思わず「あ゛ーっ」って叫んじゃった話もいくつか、、、。劇場は、サービスデーだったんで満席に近い状態だったんですが、終始、かなり笑やざわめきや叫びが飛び交っている状態でした。まあ、そういう内容なんです。

 オチのキョーレツ度で言えば、第2話「おもてなし」と、第4話「ヒーローになるために」ですかね。ホント、ぎょっとなる展開です。

 オチまで二転三転のジェットコースターは、第3話「エンスト」と、第6話「HAPPY WEDDING」かなぁ。どっちもド派手な展開で超現実的な感じではあるけれど、人間、ブチ切れるとここまでなるかもね、っていう、どこか「他人事じゃなさ」みたいなのも感じさせられ、ちょっと見ていてヒリヒリします。「エンスト」は、スピルバーグの『激突!』を思い出す人も多いでしょう。私ももちろんそうでした。しかし、ラストはえらい違いです。こっちの方がブラックですが、なんか振り切れちゃっているところがむしろオカシイ。

 開始いきなりの第1話「おかえし」は、本作がここまでどれもブラックなお話ばかりとは知らなかったので、「お、これは面白そうなコメディかな」なーんて途中までは呑気に笑って見ておりましたが、いきなりその笑顔が引きつる展開が待っておりました、、、。あり得ない設定だけど、だからこそエゲツナイというか。そこまでするか!!みたいな。

 第5話「愚息」は、地味ですが、人間のエゴ丸出しで、これはこれで面白いけど、、、。私は、あんまし好きじゃないかな。

 ・・・と書いてきても、見ていない方には何のことやらチンプンカンプンでしょうが、まあ、本作はイロイロ予備知識なく見た方が絶対楽しめると思いますし、見た方には読んでいただければ内容はもちろんお分かりいただけるはずですから。

 ブラックではあるけど、6作品に通じていえるのは、どれも、勧善懲悪だったり、大義名分だったり、そういう説教臭さとか偽善とか、どちらか一方に与する話にはなっていない、というところは素晴らしいと思います。良くも悪くも、皆、不条理な目に遭い、理不尽な思いをさせられ、制裁を受けているのです。そう、実際の人生と同じですね。だから、設定自体は突飛でも、どこか「他人事じゃなさ」を感じるのだと思います。 

 まあ、難癖をつけるならば、1話ごとの邦題がイマイチなことですかねぇ、、、。特に第3話「エンスト」は、事の発端はエンストではなく「タイヤのパンク」なんですけど? みたいな。まあ、別に良いんですけど。ちょっとどれもこれもセンスがない、というか。難しいのは分かるんですけどね、邦題つけるの、、、。

 本作のブラックさを笑って日頃の溜飲を下げる、、、というのが本来の楽しみ方だとすると、ちょっと「倫理的にいかがなものか」という作品ばかりなので、そういう点に厳しい方は、本作を見て却って怒りを覚える可能性が高いです。日本では三谷作品辺りがお好きな方は、ちょっと肩すかし、、、というかまるで笑えないかも知れません。結構、好みが割れる作品だと思いますので、そこは前提でご覧になった方が良いかもです。

  






退屈するヒマなし。




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ボヴァリー夫人(1991年)

2015-08-03 | 【ほ】



 ボヴァリー夫人、第2弾。

 田舎の町医者シャルルと結婚した農夫の娘エマは、夢見た結婚生活と現実のギャップに耐え切れず、その欲求不満を不倫で晴らす。しかも、夫名義で借金を重ね、挙句、破産する。そして、ヒ素を飲んで自殺。

 ストーリーは、大筋でヴィンセント・ミネリ版と大差なしだけど、エマの描き方は大分違う、、、かな。こっちの方が好きだけど、長いし、眠かった!!

 
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 ヴィンセント・ミネリ版では、エマをこき下ろしてしまいましたので、今回はもうそれはやめておきます。

 エマを演じたのは、あのイザベル・ユペールなんですが、正直、ミネリ版を見た時にエマをイザベル・ユペールが演じるって、あまりにも違和感のある配役のように感じたのです。私の中のユペールのイメージが強いせいもあるのだけど、なんか違うんじゃないかな、、、と。

 で、実際に見てみた感想は、同じエマでも、ミネリ版のエマとはちょっと違う気がしました。確かに、夫に不満を持って不倫に走る、ってのは同じなんですが。

 ミネリ版のエマは、自由を求めていたのですね。こんなに抑圧された女なんて!!みたいな、当時の社会に対する持って行き場のない苛立ち、焦りみたいなものを凄く強調して描いており、当然、地位や肩書、社会的な名誉に非常にこだわりを見せる女だったのです。貴族の舞踏会にも、自分も貴族社会に仲間入りしたいという気持ちが垣間見えたし、不倫相手も貴族だから、弁護士だから、ってのが現れていたのです。つまり、ひたすら上昇志向に 取り憑かれていたのです。

 しかし、ユペールのエマは、確かに華やかなおとぎ話の世界を夢見てはいるんだけど、どこかこう、、、現実感がないというか、貴族の仲間入りしたいから舞踏会に行ったというより、キレイな衣装を着て華やかな集いに参加して優雅なダンスを踊れる!!みたいな。不倫相手も、その地位や肩書なんか全然気にしていない風です。いかにそれっぽく、愛の言葉を立て板に水のごとく並べてくれるか、めくるめくセックスを提供してくれるか、ってことの方が大事、という感じ。つまり、ひたすら、夫との生活からの逃避なのです。上昇志向がほとんど感じられないんですよねぇ、、、。

 なので、同じ頭の悪い女性でも、上昇志向なんぞ持たずにひたすら恋愛ごっこを求めるユペールのエマの方が可愛げがあります。というか、まあ、こんなだから、そら仕方ないわな、と思えちゃう。ミネリ版のエマは、分不相応すぎて、見ていてイラついたけれど、本作はそういうのがまるでないのです。夫の手術の失敗に幻滅する話も、ミネリ版はエマが積極的に手術することを勧めるけど、本作は、第三者に勧められて夫は手術に踏み切るわけで、エマが夫を積極的にけし掛ける訳じゃないんです。ミネリ版のエマほどには社会的な成功を望んでいるように見えないのです。

 ミネリ版のエマはエキセントリックそのものだったけど、本作のエマは、エキセントリックというより、単なるヒスだよね、欲求不満の。でもって、むしろ、自分が男なら良かったと思うミネリ版のエマとは正反対で、あくまで自分は女として生き、男によって女としての人生を謳歌させたい! と本気で思っているっぽい。ここが、もの凄く違うと思いました。

 どっちかというと、イザベル・ユペールの方が、抑圧に反発する自由を求める強い女性、って感じがイメージとしては強いんです、私の中では。とはいえ、ユペールのエマがものすごく見ていて違和感があったかというと、それはゼンゼンないのです。ユペールもこういう女性を演じられるんだ、、、というか、彼女は何でもござれなんだな、やっぱり、と思ったのですが。いやはや、すごい役者です、、、分かってたけど。

 でも、本作は、見ていて何度も何度も睡魔に襲われました。なんでこんなに眠くなるのか、、、。面白くないわけでもなかったんですけどねぇ。不倫相手の男たちのルックスも全然ダメだし、、、そう、イイ男が一人もいなかったのもあるかな。あと、エマの心情を全部ナレーションで説明しちゃうとことか。イザベル・ユペールという役者を使いながら、何とも無粋な演出だなぁと思いました。まあ、衣装や、美術はなかなか素敵でしたけれど。

 というわけで、良い部分も良くない部分も同じくらいってことで、は少な目です。





ロドルフ(最初の不倫相手)のニヤケきった顔がダメだった、、、。




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