映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ルナ・パパ(1999年)

2023-08-27 | 【る】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv31473/


以下、特集HPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 マムラカットは女優を夢見る17歳の少女。ある月の晩、暗闇から声をかけてきた男の子どもを宿してしまうが、男は忽然と姿を消す。

 古いしきたりの村で周囲から冷たい仕打ちを受けるなか、マムラカットは父と兄とともに男を探す旅に出る。

 シャガールの絵画のように美しい村を舞台に、未来を切り開こうとする少女がくり広げる荒唐無稽な極上のファンタジー。マムラカットは「国家」「大地」を意味する言葉。

=====ここまで。

  6月ユーロスペースにて上映された、特集「再発見! フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅」のうちの1本。バフティヤル・フドイナザーロフ監督は、タジキスタン出身で、内戦中もめげずに6本もの作品を撮影しながら、2015年に急逝。


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 名前は聞いたことあるけどよく知らない、、、という俳優とか監督とか、特に外国の方の場合は多いのだけれど、このフドイナザーロフもそうで、だいたい、亡くなっていたことも知らんかった!!

 今回、特集が企画されたというお報せがTwitterでも流れて来て、ちょっと興味があったのだけど、絶対見たい!!というわけでもなかったので、何となくスルーしそうになっていたところへ、映画友から「面白い!見た方が良い!!」と熱いメールが届き、んじゃ見ておこうか、、、くらいの感じで、見に行ったのだった、、、。

 4本のうち、本作を選んだのは、主演のマムラカットを演じているのがチュルパン・ハマートヴァだから。本作を見るちょっと前に「インフル病みのペトロフ家」(2021)を見たのだけれど、これがすごく良くて面白くて気に入ってしまい、、、。そこで主人公の妻を演じていたのが、このチュルパンさんなのですよ。なので、本作を選んだ次第。ちなみに「インフル病み~」の感想は、もう1回か2回見てから書くつもり。

 見終わった直後に感じたのは、これはクストリッツァの映画にすごく雰囲気が似ているなぁ、、、ということ。全編エネルギッシュで、ガチャガチャ感に満ちているんだけど、根底に流れるのは人生賛歌。生きることの素晴らしさ!を、直截的ではない描写で、でも見ている者の心にストレートに訴えて来るという、、、。実際、公開直後はクストリッツァの二番煎じ的な映画だという批判もあったらしい。

 でも、雰囲気は似ているけど、何かが決定的に違うとも感じた。何が違うんだろう、、、と考え、ネットを検索していたら監督のインタビュー記事を発見! それを読んで、少し合点がいった気がしたのだった。

 多分、女性の描き方の違いである。

 思えば、クストリッツァ映画に出て来る女性は、男の影響を受ける存在だった。ある意味、彼の映画は、マッチョ的であったとも言える。それが、ちょっと変わったんじゃない??と感じたのが「オン・ザ・ミルキー・ロード」(2016)で、クストリッツァ自身も女性を意識して制作したとインタビューで言っている。

 本作の場合は、そもそも主人公が少女であるし、監督自身も言っているが、母親が不在であることでより母親の存在が意識される構成になっている。何より、少女自身が母親になることがストーリーの柱になっているわけで、、。とはいえ、監督自身は特に母親との葛藤を抱えているとかいうこともなく、ごく平和な母子関係の様だから、本作のような、母親に対してネガティブな印象がほぼ感じられない作品になっている、というのは割と納得である。

 ストーリーだけ見ればかなり悲惨な内容だと思うが、不思議なくらいに明るい。チュルパンちゃん演じるマムラカットがとにかく愛らしくて、男に訳も分からず(ぶっちゃけて言えば)強姦されて妊娠した割には、悲壮感はなく、中絶に失敗しても、周囲に白眼視されても、彼女はあっけらかんと生きている。女性の妊娠が重要なファクターになる話はあんまし好きじゃないけど、本作にはそういった嫌悪感を抱かなかった。

 ラストのマムラカットが宙に浮かんで行くシーンとか幻想的だったし、何より、タジキスタンの荒涼とした風景と、アクの強い人々が結構ツボだったので、もう1回見たいな、、、と思っている。強烈なインパクトはあった割に、クストリッツァの「アンダー・グラウンド」を見た後みたいに、いつまで経っても衝撃冷めやらぬ、、、という感じではなく、すぐに冷めてしまったのよね。あんまし他の作品と比べるのも良くないと思うけど。

 ちなみに、ロシア人であるチュルパンさんは、ロシアのウクライナ侵攻後、亡命する意思を表明しているとのこと。ロシアの俳優さんたちは、皆どうしているのだろう、、、。

 

 

 

 

 

 


フドイナザーロフ監督作もソフト化・配信してください。

 

 

 

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ルル(1980年)

2019-08-15 | 【る】

作品情報⇒https://www.institutfrancais.jp/yokohama/agenda/loulou/

 

以下、ゴーモン特集のチラシよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 広告業を営む夫アンドレと裕福で快適な生活を送りながらも、退屈を感じていたネリーは、ダンスパーティーでルルという魅力的なワルと出会い、肉体的に強く結ばれる。

=====ここまで。

 モーリス・ピアラ監督の自伝的な映画。ネリーをイザベル・ユペール、ルルをジェラール・ドパルデューが演じている。

 

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 ゴーモン特集、過去にもあったみたいだけど、今回ようやく行くことが出来ました。今回は、 約1か月にわたる企画上映で、作品数も多い。これは見なくっちゃ! と思ってスケジュールを見たけど、平日の最終回上映が最初の週以外は17時より早いという、、、。行けるわけねーだろ!とガックシ来たんだけど、まあ、休みの日でなるべく見たい作品を見ようと、どうにか4作品、見ることが出来ました。

 見たのは、『鱒』『不滅の物語』『顔のない眼』と本作。『鱒』は日本が舞台になっていて、畳の上を土足で歩いちゃうユペールとか、面白いところもあったけど概ね退屈だったし、『不滅の物語』はやっぱし私、オーソン・ウェルズが苦手っぽいのかイマイチ楽しめなかったので感想はパス。

 他の2作品のうち、まずは、この『ルル』から感想を。

 

◆嗚呼ドパルデュ~~~♪

 『鱒』に続いて、小悪魔を演じるユペールさま。若いのぉ、、、。現在も年齢不詳でキレイだけど、やっぱし若い頃の美しさはまた格別。美しいというか、プリチィーでキュート。

 冒頭、神経質そうな夫にネチネチ文句を言われブチ切れるユペールの演技がもの凄い! 見ている私まで叫んじゃいそうな気持ちになった。「私の人生から消えてぇ゛~~~~!!!」と絶叫するネリー。この気持ち、ものスゴくよく分かるわ~、と思って見ていた。私も大昔、戸籍上の元夫に同じことを同じテンションで言ったから。私はモノも投げたけどね。ホント、消えて欲しいとしか言いようがないのよね。

 でも、このネリー、ワケ分からん女。そこまで絶叫した夫と、その後のシーンでは腕を組んで食事に行ったりするのである。とはいえ、別に夫のこと、大して好きじゃなさそうなのよね。興味がない、という感じ。……まぁ、あの夫も魅力ないからねぇ。

 とはいえ。じゃぁ、ダンパで出会ったロクデナシのルルが魅力的かというと、私の目にはゼンゼン、、、。ドパルデュー、若い頃も醜男。作中でも「あんな男どこがイイの? 醜男だし!!」みたいなことをネリーは言われている。ただ、若い頃の彼の全身像をじっくり見たのは今回が多分初めてだと思うんだが、思ったより脚長かった。デカいけど短足、というイメージがあったんだけど、それはどうやら私の勝手な思い込みだったらしい。短足呼ばわりしてごめんね、ドパルデュー。てか、ドパルデューって、すんごいキー打ちにくいんですけど、、、。

 もう、ルルとネリーは発情期の犬みたいなんだが、笑ったのは、セックスしている真っ最中にベッドが壊れて傾いちゃったシーン。なんか、絶妙な壊れ方してた、あのベッド。慌てて、全裸で直そうとするドパルデューがまた滑稽で笑える。当然、そんな簡単に直らないから、その沈んで傾いたままのベッドで再開するんだけど。

 

◆金持ちのクソ男<<<<無職の床上手

 ま、特にストーリーがあるわけじゃなく、ルルとネリーの自堕落な、というか、行き当たりばったりの発情物語が展開されるだけで、そこにケンカや妊娠という要素が入ってはくるけど、構成面で見るとツマンナイかも知れない。

 けれど、とことんダメダメな男が、なぜかカワイイ気ままな女にとことん惚れられるヘンテコリンな成り行きを見ていると、なんじゃこりゃ、、、と思いながらも可笑しくて、飽きずに最後まで見ちゃいました。

 ネリーと夫が別居後に会うシーンで、夫が、ネリーとの復縁に期待を持って、「明日の5時に電話するよ!」と約束して別れるんだが、その明日の5時になって律儀に夫が電話すると、寝ぼけ眼で電話をとったネリーはルルと全裸で抱き合った状態でベッドの中。ネリーに素っ気なく電話を切られた夫は、なぜか側にあったサックスを吹き始める。、、、というシーンでは、会場でも笑いが起きていた。万事この調子で、はぁ??というシーンの連続。

 「金持ちのクソ男より無職の床上手の方がイイ」……とは、ネリーのセリフ。上手いこと言う。まぁ、私は、いくら床上手でもドパルデューじゃ、ちょっとなぁ、、、。

 終盤、ネリーが堕胎してから以降は、ちょっとシンミリするが、ラストも相変わらず、、、という感じだったから、当面あのままあの2人は行くんだろう。破滅は目に見えているけれど。

 ルルは、何があっても絶対働こうとしないし、腹を刺されても酒を飲み続ける“クソ野郎”なんだが、たまには掃除機をかけたりする可愛さもある。なんか、そういうところがネリーの女心をくすぐるのかね? 私には理解不能だけど。

 ドパルデューの魅力が分かるような分からんような映画でありました。

 

 

 

 

 

無職の床上手のクソ男、いかが?

 

 

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