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享保年中出入の一件(鋳物師の出入)3


享保年中出入の一件 2P


享保年中出入の一件 3P

「享保年中出入の一件」の続き、2P最初より。

     乍恐口上書ヲ以申上候
一 遠州周智郡、土屋平八郎様御知行所、森町之住、駿遠
両国鋳物師(いもじ)、惣大工山田七郎左衛門、申上候。

一 拙者儀、先祖代々鋳物師ニ御座候ニ付、暦応五年(1342)
禁中様 御綸旨被下置頂戴仕罷有候右之御筋目ヲ以
※ 綸旨(りんじ)➜ 天子などの命令。また、その内容。
天正十五年(1587)、従 東照宮様、駿遠両国之鋳物師、惣
大工職之 御朱印、被為下置(くだしおかせられ)、両国之鋳物師、於爾今、支配
※ 爾今(じこん)➜ 今後。以後。
仕候御事。

一 三代以前、七郎左衛門若輩ニ而、父七郎左衛門相果(あいはて)申ニ付、鋳物師之訳、
(つぶさに)不申聞、殊ニ不如意ニ御座候故、手前ニ鑪(たたら)立之事不相叶、少之商(あきない)仕、百
※ 鑪(たたら)➜ 足で踏んで空気を送る大形のふいご。鋳物師が用いる。
姓相兼(あいかね)、取續罷有候。尤 御朱印之御威光ヲ以、両国之鋳物師
鐘鋳立(いだて)候節、鋳口金、或ハ銘文之祝儀(しゅうぎ)、少々宛(ずつ)受納仕候得共、是ハ
た満/\の儀ニ而、差而(さして)助成ニ茂不罷成、追々困窮仕、漸く渡世送り罷
有候所、

【 読み下した文】

     恐れながら口上書を以って申し上げ候
一 遠州周智郡、土屋平八郎様御知行所、森町の住、駿遠
両国鋳物師(いもじ)、惣大工山田七郎左衛門、申し上げ候。

一 拙者儀、先祖代々鋳物師に御座候に付、暦応五年(1342)
禁中様より 御綸旨(りんじ)下し置かれ、頂戴仕り罷り有り候。右の御筋目を以って、
天正十五年(1587)、 東照宮様より、駿遠両国の鋳物師、惣
大工職の 御朱印、下し置かされ、両国の鋳物師、爾今に於いて支配
仕り候御事。

一 三代以前、七郎左衛門若輩にて、父七郎左衛門相果て申すに付、鋳物師の訳、
(つぶさ)に申し聞かず、殊に不如意に御座候故、手前に(たたら)立の事相叶わず、少しの商い仕り、百
姓相兼ね、取続き罷り有り候。もっとも 御朱印の御威光を以って、両国の鋳物師、
(かね)鋳立て候節、鋳口金、或いは銘文の祝儀、少々宛(ずつ)受納仕候えども、これは
たま/\の儀にて、差して助成にも罷り成らず、追々困窮仕り、漸く渡世送り罷り
有り候所、

(3P4行目途中まで、以下続く)

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