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「江戸繁昌記 ニ篇」 66 箆頭舗24

(城北公園の紅葉)

午後、駿河古文書会で静岡へ行く。会場の静岡市立中央図書館のある城北公園でも、紅葉が始まっている。手前の黄色い木はヒトツバタゴ、紅葉した背の高い木はケヤキである。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

応安中鹿苑相国、茶を嗜(たしな)み、世、これにおいて、咸(み)な、これを尚(とうと)びて、東山相公、茶人珠光なる者をして、茶儀講定せしむ。豊臣氏に及びて、千宗易、更にこれを修飾す。
※ 応安中(おうあんちゅう)- 1369年 ~ 1375年。南北朝時代の年号。
※ 鹿苑相国(ろくえんしょうこく)- 足利義満。室町幕府第3代将軍。
※ 東山相公(ひがしやまそうこう)- 足利義政。室町幕府第8代将軍。
※ 珠光(じゅこう)- 村田珠光。室町時代中期の茶人、僧。「わび茶」の創始者と目されている人物。
※ 茶儀(ちゃぎ)- 茶の儀式。茶の作法。
※ 講定(こうてい)- 説き定める。
※ 千宗易(せんそうえき)- 千利休。戦国時代から安土桃山時代にかけての商人、茶人。わび茶の完成者として知られ、茶聖とも称せられる。


爾時賢将英帥もまた、咸(み)な、この為、然り。丈室、人を屏(しりぞ)け、客を限るに、数を以ってす。蓋し、また密策を託して、調するの地と。以為らく、真に嗜(たしな)みてこれを楽しむには非ざるなり。
※ 爾時(じじ)- その時。
※ 賢将(けんしょう)- かしこく、すぐれた将軍。
※ 英帥(えいそつ)- 秀でた最高指揮官。
※ 丈室(じょうしつ)- 1丈四方の部屋。寺の住職の部屋。方丈。ここでは茶室のこと。
※ 密策(みっさく)- 秘密のはかりごと。
※ 以為(おもえ)らく - 思っていることには。考えるには。


物、玩(もてあそ)ぶは、志を失う。甚(いた)いかな。これを嗜(たしな)みて、溺るゝ者、或は身を以って器に換えざるに至る。この徒、往々、身死して後を絶つ。爾来、世のこれを好む者、皆な溺るゝ。焉(いずく)んぞ善いかな。

村瀬氏言う、膏梁の子、を以って、その(せつ)を掩(おお)い、千金一を買い、百金一瓶を贖う。互いに相衒誇す。その水を品し、芽を揀(えら)ぶに、則ち蔑如たりや。
※ 村瀬氏(むらせし)- 姓だけでは特定しにくいが、当時の年齢などから判断して、村瀬藤城(むらせとうじょう)と考える。江戸後期の儒者。美濃生。頼山陽に師事。史学・文章を能くした。嘉永6年(1853)歿、63才。
※ 膏梁(こうりょう)- 肥えた肉と美味な穀物。
※ 籍(せき)- 文書。(謂われ書き。鑑定書。)
※ 拙(せつ)- つたない。まずいこと。
※ 盒(ごう)- ふたつきの容器。
※ 衒誇(げんこ)- てらい誇る。ほこってすぐれているかのように見せかける。
※ 品す(ひんす)- 品定めする。
※ 蔑如(べつじょ)- さげすむこと。蔑視。


読書:「火竜の山 南アルプス山岳救助隊K-9」樋口明雄 著
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