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「江戸繁昌記 ニ篇」 60 箆頭舗18

(庭のあだばえの菊)

お天気の特異日と言われた文化の日、朝から快晴で、「いい天気だよ!」と起こされた。起きて、すぐに干柿を日向に出した。どうやら、焼酎の効果で、カビも退治出来て、干し上げる見通しが付いた。ただ、48個中、6、7つヘタを残して、下へ落ちてしまった。もちろん、竹串を挿してつるし直ししてあるが、内三つはそれも出来ず、籠に入れて干している。干柿としてはもう少しかかるが、もう十分甘くはなっていると思う。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

不幸にして、その能く字を読み、世、輙(すなわ)ち、錯(あやま)り呼びて、儒と為す。儒風の悪、頽靡、ここに極まる。
※ 頽靡(たいび)- おとろえ滅びる。

天運循環墜風、将に揚(あが)らんとす。然り、宿儒先輩、毫(すこし)も気力無し。天下、金剛力無く、卑しきは、則ち外(そと)に、内(うち)柔に、固(もと)より言うに足らず。
※ 天運循環(てんうんじゅんかん)- 天から与えられた運命の循環。
※ 墜風(ついふう)- 吹き下し風。
※ 宿儒(しゅくじゅ)- 年功を積んだ儒者。
※ 金剛力(こんごうりき)- 金剛力士のような大力。非常に強大な力。
※ 識(しき)- 物事の道理を知ること。また、見識があること。
※ 荘(そう)- おごそか。いかめしい。


識崇(たっと)しと云う者は、身に検束なく脱略事多し。酒を飲んで人を罵(ののし)り、世を忘れて、林を愛す。要にまた真の高きには非ざるなり。かれは要銭太守に封じる宜しく、これは完體将軍に。任に当るに、面を假(かり)て喪を弔い、手債(か)りて猪を屠(ほう)る。その余、皆これ飯嚢、肉袋。(大言)噫々(ああ)世に真儒無きや久し。
※ 検束(けんそく)- 行動を制限して自由にさせないこと。厳しく抑制すること。
※ 脱略(だつりゃく)- 抜け落ちること。
※ 要銭太守(ようせんたいしゅ)-「要銭」は強盗の意。「太守」は幕府の高官や領主のこと。「要銭太守」で「盗賊の首領」(?)
※ 完體将軍(かんたいしょうぐん)- 自分の身を保つことしか出来ない、凡庸な非力な人。
※ 飯嚢(はんのう)- 飯を入れる袋。


仏士また然り。教者は論に溺れ、禅者は空に墜(お)つ。一心三観、観じ得ず。九年の黙照、光を放たず。大日、弥陀を浄土に瞽索(メクラサガシ)(こさく)し、秘密の祈祷、ただその身に福す。念仏、題目、縦令(たとい)成仏の理有るも、平生の諸悪、恒沙の多きを奈(いか)んせん。
※ 一心三観(いっしんさんかん)- 天台宗の瞑想法の一つ。あらゆる事象が相対を超えた仏教の絶対的真理にかなっていることを体得すること。
※ 黙照(もくしょう)- 黙照禅。師の与える課題に答える公案(看話禅)を用いず、ひたすら坐禅によって修行する禅法。
※ 恒沙(ごうじゃ)-「恒河沙(ごうがしゃ)」数の単位。「恒河沙」とはガンジス川にある無数の砂の意味であり、もともと無限の数量の例えとして仏典で用いられていた。
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