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「江戸繁昌記 ニ篇」 70 墨水桜花2

(庭のドウダンの紅葉)

午前中に、天竜に渋柿を買いに行った。「いっぷく処横川」で、小さいものしかなかったので、40個(864円)購入。帰りにJA遠州中央の天竜直売所で、それより少し大きめの物、29個(1000円)購入して帰った。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

これ江都(江戸)の第一勝地四時景を異(こと)にし、早晩(朝夕)観を改む。雨の淡粧、晴れの濃抹、その奇、その妙、吾が拙い筆墨の、得て状すべきに非ざるなり。伊勢物語に云う、江上に立ちて顧望すれば、則ち、ただ来路の遠を覚う。
※ 勝地(しょうち)- 景色のよい所。景勝の地。
※ 四時(しじ)- 春・夏・秋・冬をいう。四季。
※ 淡粧(たんしょう)- 薄い化粧。
※ 濃抹(のうまつ)- 濃い化粧。
※ 顧望(こぼう)- 振り向いて見ること。
※ 来路(らいろ)- 通って来た道。


篙師促す、日旦(まさ)に暮んとす。便(すなわ)ち、船に上りて、人の悲意の動かさざるはなし。会々(たまたま)水鳥の流れに浴するを見る。、踁(すね)、並びに紅なり。これを問えば曰う、都鳥これなりと。悲意の二字、索莫想うべし。
※ 篙師(こうし)- 船をこぐ人。船頭。
※ 悲意(ひい)- 悲しい気持ち。
※ 觜(はし)- くちばし。
※ 都鳥(みやこどり)- ユリカモメの別称。ここは「伊勢物語」の「九段東下り」の逸話を踏まえている。
※ 索莫(さくばく)- 心を慰めるものもなくさびしいさま。荒涼としたさま。


曠原、都と為るの後、堤を築きて桜を植え、漸く繁華を為す。今は、則ち上野を罩(こ)め、飛鳥を架(か)し、御殿山の如きは、遥かに諸(もろもろ)を下流に置く。
※ 曠原(こうげん)- 広々とした野原。
※ 飛鳥(あすか)- 飛鳥山。東京都北区南部にある台地。江戸時代からの桜の名所。
※ 御殿山(ごてんやま)- 現在の北品川四、五丁目の高台を、御殿山と呼ぶ。江戸時代、桜の名所であった。


隅田川堤の桜のにぎやかなさまは、他の桜の名所、上野や飛鳥山をしのぎ、御殿山などは遥かに越えていると述べている。

花時の雑踏、また復た江都の第一たり。若し、それ白小、已に孕み、新梅荘(ウメヤシキ)の梅、迹(あと)を掃くの春風暢和薫暖人を困(こまら)す。
※ 白小(はくしょう)- しらうお。
※ 暢和(ちょうわ)- のんびりとなごむさま。
※ 薫暖(くんだん)- 心地よい暖かさ。
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