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ご近所の話題の人

(水野昭南氏を取り上げた靜岡新聞8月22日朝刊)

ご近所の水野昭南氏が静岡新聞の「この人」欄に載った。「茶の新品種2種類を開発した」人として、この22日の靜岡新聞朝刊で紹介された。

我が家の斜め前に実験茶園があり、かなり昔からいろいろな茶の苗が少量づつ植えられてはこがれる繰り返しがされていた。女房はムサシの散歩などで水野氏とはしょっちゅう顔を合わせ、いろいろな珍しい野菜を頂いたり、実験茶園でどんな品種が育っているかなどの話を聞いていた。今回の2品種の品種登録についても、ずいぶん前から話に聞いていた。

記事によると、15年前から茶品種の研究に取り組み、この3月に極早生の「金谷いぶき」「金谷ほまれ」という名前で品種登録されたという。島田市に合併したけれども、金谷をこよなく愛する水野氏は、あえて「金谷」の名前を残すことにこだわったようだ。

品種の特徴は、早生品種の「さやまかおり」と「摩利支」の2種を交配させて開発したので、一番茶の摘採期が「やぶきた」よりも2、3週間早いのだという。再生力が強くて多收、うまみ成分のアミノ酸含有量も高く、摘採期が遅くて南九州産の新茶に遅れを取っている靜岡茶で、南九州より早く新茶を提供したいという目標で開発してきた。

茶業界では茶園の大部分を占める「やぶきた」という品種の寿命が来ている。替わる品種がなかなか出て来ないため、「やぶきた」の後継に、また「やぶきた」を植える茶園もあるようだ。「やぶきた」は挿し木で増やしてきた、今の言葉で言えばクローン種である。実を付けないで増やした樹木は寿命が更新されないので、開発から一定年経つと寿命を迎え、樹勢が勢いを失うという考え方がある。「やぶきた」は開発されてからゆうに100年経っており、そういう時期を迎えているのかもしれない。

最近聞く中に、昔のようにお茶が美味しくなくなったという声がある。お茶の消費低迷も、「やぶきた」の品種としての寿命が関係しているかもしれない。「金谷いぶき」「金谷ほまれ」が茶業界の救世主となれるかどうか、たいへん興味深く、また期待もしている。

多くの試験場が何十年もやぶきたに変わる品種の開発をめざしてきて、いまだ、これと言う品種に行き当たっていない。それほど「やぶきた」は偉大な優良品種であった。「やぶきた」を開発した杉山彦三郎翁は在野の研究家であった。そういう意味では水野昭南氏も在野の篤農家に過ぎない。しかし新しいものはそんなところから生まれるのかもしれない。新品種として結果が出るには、さらに何年という長い時間が掛かる。大いに期待して見守って生きたい。

水野氏の庭に育つアボガドの苗木をいただいて、我が家の裏の畑でも育っている。温暖化で楽々と今年の靜岡の冬を越してきた。
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