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ムサシに噛まれた その2

(Ⅴサインするしかない その2)

噛まれて二日目、お昼前に外科医に行った。おじいさんの優しそうな医者は「痛みましたか」「少し痛んで痛み止めを2度飲みました」「飲むと何時間かは痛みが引くでしょう、痛みは一日一日引いて楽になります」切り取ったガーゼの出血の痕を見て、「一日目だからこんなものでしょう」ガーゼをはがすとき、最初にあてがったネットが間に残って、血で固まったガーゼを引き剥がす痛みが無しに簡単にはがれる。患者の痛みを減らす工夫である。いつごろからこんな方法が取られているのだろう。考えてみれば、怪我をして医者に来るのは生まれて初めてのような気がする。昨日と違う看護師さんが、傷口に軟膏をつけて、ガーゼを巻きテープで止めた上に、さらにガーゼとテープでしっかりと止めた。昨日の看護師さんと違って、まるで梱包でもするかのように容赦がない。痛みに何度か顔をしかめた。昨日は怪我をしたばっかりで、看護師さんも気を使ってやさしくしてくれたのだろう。

さて、右手が使えなくて不自由なことを幾つかを書いてみよう。左手だけで水を受けて顔を洗うのは出来ないことはない。箸は右手でも持てないことはないが、力が入らない。左手で使ってみると意外と使える。女房も娘も箸使いがうまいものだという。

自分の箸の持ち方は正しい持ち方とは少し違い、親指で挟んだ箸の一本には中指の指先を当て、もう一本に薬指の指先を当てて、中指と薬指を開いたり閉じたりすると、箸も同じ動きをするように持つ。だから中指が無しではうまく使えない。ところが、左手に持ち替えて同じように持つと、意外と楽に箸が使えることに気付いた。ただし、人が食べる時は、食べ物を口に箸だけで運ぶのではなく、箸と口の連繋プレーで食べ物が口に入るわけで、口が左手の動きに慣れていないと、運ばれた食物をうまく口で受け止められないものである。この違和感がなくなるには少し時間が必要なようだ。

車の運転は支障が無いが、エンジンを掛けるときに力が必要で、左手の世話にならねばならない。右手は、それ以外はウィンカーを出すぐらいで、意外と暇なことに気付いた。トイレはウォシュレットで乾燥まですれば問題がない。風呂が問題で、濡れないように右手にビニール袋をかぶせて入る。行水くらいなら入れるが、頭や身体を洗うのはどうしよう。昨日今日はカラスの行水で頭は洗っていない。手ぬぐいが絞れないのには少し困った。結局、新しい乾いたタオルを出して身体を拭いた。鉛筆が使えるかどうかは、実はまだ鉛筆を握っていない。明日、靜岡で古文書の講座があるから、それで解るだろうと思っている。

こんな風に書いていると、自分が半身不随になったみたいである。まあ、そのときはこんな気楽な観察をしてはおれないだろうけれども。
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