2018年7月14日(土) 2:00-4:20pm トリフォニー
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op.26 14-8
ヴァイオリン、木嶋真優
(encore)
岡野貞一 ふるさと 3
Int
ブルックナー 交響曲第4番変ホ長調WAB104ロマンティック
(1874年初稿・ノヴァーク版) 19-18-13-18
ホルン、濱地宗
シモーネ・ヤング 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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ブルックナー4番の初稿をヤングがNJPに乗り込んできてルビコンで敢行。
金・土の午後、ルビーコンサートシリーズと銘打って行われている、内容、キャストともに充実した、カツ、びっくりするようなリーズナブルプライスなチケット。新日さんには毎度頭が下がる思い。
AB4 duration
Ⅰ 2-1-2-7-2-1-2-c2
Ⅱ 3-2-3-2-5-c3
Ⅲ 5-3-5
Ⅳ 序2-1-2-2-4-1-1-1-c4
版比べ大好きな日本人にはこたえられない今日のプログラム。そのプログラム冊子の解説もほとんど版の話だけ。でも、今回ばかりはそれもいたしかたないと思いたくもなる、普段聴いている種々な版のブル4とはまるでかけ離れたもので、あちこちにある断片だけが面影をしのばせてくれる。別の作品のような目まい。ブルックナーが最初に書いた時はこうゆう事だったのだろう。遡り追体験のような作曲スキルの逆流を感じさせてくれる。
メロディーが少しぎこちなくて馴染みにくいと思うのは普段聴いている出来上がり版に耳が慣れているからだと思うけれども、例えばスケルツォ‐トリオの執拗さなど、オンリー形式を追ったものという証明にはなるけれども、あまり魅力的でないメロディーラインは単に乾いたフレーズストリームのような雰囲気を醸し出していなくもない。それに、型は型だが息が短い。主題、経過句が判然としないところがあってモヤモヤがつのる。聴くほうも自然とぎこちなくなる。
とりあえず、ブルックナーの型を型通り聴いていくことにする、新曲だと思って。
ブルックナーのソナタだと自然に長大で大規模になってしまうところがあって、それも主題を追っていけばあっという間の出来事、それにしても約70分の申し分ない長さで軽い眩暈もタップリ感がある。
ここはヤングの十八番なのか振り慣れた初稿の棒さばきが見事で、彼女が引き留めてくれたところが大きいですね。
実に締まった演奏でありながら、埃っぽさがなくてある種ウェットな質感を感じさせてくれるのはこのオーケストラのサウンド特色によるところが大きく、それが魅力的でもあり、彼女の捌く棒はそれぞれの特質を最大にしたもので、良いパフォーマンスとなりましたね。憂いを忘れさせてくれる美味テイストは普段聴きなれない作品にとって最高のフレーヴァー、まあ、下ごしらえも万全という話しだろう。パワフルヤングは整理整頓がきっちりしていて、カツ、ブルックナー美の彫琢をお見事に表現。素晴らしい内容でしたね。
聴きようによってはホルンコンチェルト、難関のホルン、パーフェクトでした。ところで、初楽章第1主題が済んだところで持ち替えてあとは最後までそのままでしたけれども、あの第1主題何かあるのかな。
演後のブラボーは沢山で、トリフォニーであんなにブラボーがとんだの久しぶりでした。
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プログラム前半は木嶋さんのブルッフ。
何度か聴いています。どのホールで聴いても音が良く飛んでくる。しなやか強靭、柔らかな厚みと力強さ。コクのあるブルッフで一つ一つ味わい尽くす。
ヤングはかなりパワフル。ソロがやむところではそのパワー全開モリモリ。剛直と言えるところまで登りつめる。ヴァイオリンが入ってくると激変で、ソロに沿うタッチ。起伏のある伴奏でした。オーケストラお見事でした。
おわり