2018年7月27日(金) 7:00-9:10pm トリフォニー
<リクエスト・コンサート>
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18 12-12-12
ピアノ、オルガ・シェプス
(encore)
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番第3楽章 3
Int
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調Op.64 18-12-5-12
(encore)
ニールセン 仮面舞踏会 より第3幕 若い雄鶏たちの踊り 5
上岡敏之 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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Njpシーズンファイルの公演はお客によるリクエスト・コンサート。あらかじめ客にお気に入りの作品をアンケートしておいてそれを集約したもの。自分としてはラフマニノフの3番コンチェルトを上岡音楽監督の弾き振りでセツにお願いしますと、5回ほど書いたがかなわず。キュート美人のシェプスさんによる同2番となったようです。シェプスさんはお初で聴きます。聴きなれた曲だけれどもなんだか新鮮に聴くことが出来ました。
第一音が出るまでの長い時間、見た目には思い入れが強く、場の雰囲気を作り出す。エモーショナルな動きが違和感なく音楽が作り出されている。フレージングはかなり揺れ動く。空振りではないが、見た目と音の圧力がなかなか一致しないところがありました。特に弱音で。
両肩がこわばっていて、そのせいかどうか音の出がおそい。オケよりも遅れ気味になります。
ピアノの音が不明瞭になったり、粘りっ気が出たり、と、どうも、昨今のスタイリッシュな演奏や計算されたズブズブ微細パフォーマンスに慣れてしまっているせいか、そういったものとは随分とちがうものだなあ、などと、腕を組みながらも、なるほど世界は広いものだと、一方では思う始末。聴くほうもそうとうな揺れ動き。
中間楽章済んで鍵盤から浮いた両腕はそのまま左髪ヘアピン止めなおしの余裕の仕草、キュート美人なだけにご本人も色々と気になることもあるんでしょう。ラフマニノフ終止は両腕左サイドバック放り投げフィニッシュ、この種のアクションにも事欠かない。全部様になりますね。
アンコールはさらにギアアップ、戦争状態に一気に突入。鮮やかな得意技でしょ。立ちフィニッシュの勢いで。
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ラフマニノフからそうでしが、今日はいつもとずいぶん音が違うなあと。いつもの柔らかさに加えてザラッとストレートなところもあって大変にいい肌ざわり。思わずあたりをぐるりと見渡せば、いつになく満員。沢山の夏服に程よく吸収されたホール音響が醸しだされたのかもしれない。
もはや陳腐という言葉が似合うやり尽しチャイ5、と思いきや、うんざり感は最初の序奏で彼方に飛んでいってしまった。
ストイックとは言わないが、譜面通りなのだろう、とにかくまるで騒がしくない。
序奏の少しリズミックで膨らみがありサッと終える、この肌ざわり。なんだか、納得のあっさり感。結局この序奏が全てを語っていましたね。ダークな中にリズムと潔癖な筆の運び。
律動と滑らかさ冴えたバランス感覚、気張ることの無い音楽に埋没のプレイヤー達、一見、淡々としていながら、音が満ち溢れている。上岡監督のタクトのもと、プレイヤー一人一人の心の安定がひしひしと伝わってくる。非常に静かな流れは無理やり抑えたものではなくて、こうやって音楽が作られていく。すばらしい、いい演奏でした。
上岡フレームがきれいに出来上がった。
上岡監督が振るときはアンコール付きでそれも含め全て収録されているときく。この日は一段とマイクが林立。いい演奏でしたし、メディア化されたらじっくりと聴きなおしてみたいですね。
おわり