河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2525- シューベルト5、バルトークVC2、豊嶋、シューマン春、上岡、新日フィル、2018.3.30

2018-03-30 23:29:39 | コンサート

2018年3月30日(金) 7:00-9:20pm トリフォニー

シューベルト 交響曲第5番変ロ長調D.485  5-8-5-5

バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番BB117/Sz.112  17-10-13
  ヴァイオリン、豊嶋泰嗣

Int

シューマン 交響曲第1番変ロ長調Op.38春  10-5+7+8

(encore)
ベートーヴェン 交響曲第4番第4楽章  4

上岡俊之 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


作為と言えばそうなのかもしれないけれど、作品の別の風景を見ているようでとてもフレッシュな味わいを満喫することが出来た。今日の演奏会は色々と指揮者の才気によるところが大きい演奏会でしたね。おなかいっぱいの3曲プログラム、それにアンコールも含めて。

変ロ長調2曲で難物のバルトークをサンドウィッチ。どれもこれもうなるプレイで、仕事しているなあ、という思いが強かったです。

始まりはシューベルトの5番。
どのようなからくりか知らないが、サラリとソフトでフェザータッチ、真綿のような歌いくち、柔らかな物腰、品があって桜のような香りが香ばしい香ばしい。それにmfからギリギリのppあたりの中をレガート気味にぼかすような、何やら居心地良く宙に浮いているような、そんな流れで進み、気持ちよくさせてくれる。威圧的なところ皆無のシュベ5。目からうろこがはがれおちるような新鮮な演奏。春の霞のような演奏、もはや、春爛漫、最後の曲はシュマ春しかありえないような雰囲気。
これまで、結構ヘヴィーな作品の印象が割とあったのだが、上岡マジックではその真逆を描いて魅せてくれた。さりとて作品自体が小物になってしまったような印象はまるで無くて、作品の多様性をモロに感じる。そういうことをしてくれた指揮者、実に素晴らしい。ふところの深さをグッと感じましたよね。

次は難物のバルトークVC2。
これまで、さっぱりわからない曲という印象しかなかったのだが、今日、はっきりと理解できた。明快な演奏のおかげです。絶句の曲でした。フォークなミュージックではないでしょ一か所も。完全に超えていますよね、局所限定みたいな話は。土地に根ざしたオリジナリティみたいな話も、もういい。吹き飛びました。普遍的という言葉も陳腐でしかない。異次元、あえていうなら新次元の音空間を創造したコンポーザー。これでバルトークの聴き方がガラリと変わりました。今日の聴き方でこれから、ゆきます。
作品の構成と響き、魅惑的な響きがいたるところにちりばめられている。そして実感する構成の妙。集中して聴かないとなりませんでした。甲斐がありました。聴くほうも大変。
聴くほうも大変に集中力の要るものでしたけれども、ソロ、コンセントレーションの塊と化した豊嶋ヴァイオリン、40分におよぶチリチリとした弾きっぷり、熱く熱く、圧倒的な熱演。大変な慎重さと入念で用意周到なプレイ、時に太く大胆に、濃い濃い、濃厚でタップリとしたヴァイオリンに有無を言わせず屈服させられた。凄い演奏、何故か全てが透けて見えてくる、この凄さ。作品の偉大さがわかりました。この演奏のおかげです。
また、特筆すべきはもう一つ。伴奏の上岡バトンテクニック、シュベ5で魅せた霞は明確な輪郭を描きながら立体的に彫り深く、パースペクティヴ感十分、豹変した。上岡マジック、彼のタクトがオーケストラに乗り移った。伴奏超えのオケの妙技。前の週に聴いたタン・ドゥン自作自演のオーガニック・トリロジーのプレイがいやが上にも思い起こされる。実に素晴らしい。
今日のバルトーク、ソロとオーケストラは波長がシンクロし一体化、破格の内容。花より団子、満腹。

後半はシュマ1、春です。
かどを取り払い柔らかなアタックが全編を覆う。シュベ5が戻ってきたようだ。縁ぼかしの妙技が冴え渡る。実に心地よい。

春霞、春の川もに、桜降る

柔らかいラインが春の小川のように流れていく。スケルツォ楽章で魅せたこよなくゆっくりとしたラインの鮮やかさ。心地よいストリング、ウィンド、ブラス、パーカス、こんなに音がたくさんあったのかと新鮮な驚き、上岡マジカル棒は作為を超えてナチュラルに広がっていきました。


上岡音楽監督のときはだいたいあるアンコール。この日はなんとベト4の4楽章。驚きの選曲。バスーンの難所パッセージをここらあたりのアンコールに置いて、とりあえずここをクリアしておいてベト全まで視野に入れている、のかどうかは、神のみぞ知る。
滑るような演奏、のりますなあ。感激のワン・ナイトでした。

この日は、バルトークのソロがコンマスの豊嶋さん。トラのホルントップに日高さん、同じくチェロに長谷川さんという布陣。実力人気指揮者のところには人も集まるという話だと思う。もう、入団したら。

おわり