2018年3月14日(水) 7:00-9:20pm サントリー
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64 13+9+6
ヴァイオリン、五嶋龍
Int
マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調 13+14-17-9+15
(encore)
ワーグナー ローエングリン、第3幕への前奏曲 2
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン 指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
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昨晩に続き、NYPの2公演目。
2515- ブラームスPC1、ユジャ・ワン、春の祭典、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ニューヨーク・フィル、2018.3.13
今日も前半はコンチェルト。
メンコンは、もう、聴かなくていいと思いつつも、昨晩のズヴェーデンの伴奏の味付けが抜群だったことも手伝って、俄然聴く気にさせてくれた。なんか、久しぶりにじっくりとこの曲を聴いた。
五嶋メンコンは均整の取れたいいプロポーションの弾き。曲想と関係ないところでデコボコすることが無い。ごく自然に自信気に弾き切っていてその分、なにやら音も太く感じる。無地無色のイメージは透明感とはそこはかとない違いを感じさせながらも淡々と進めていくその弾きっぷりはまことに穏やか。心地よく弾いているのは、もはや、伴奏が奏功しているのは明らかで、昨晩のユジャ同様、双方の化学反応具合がよい。接点が幅広にありそうで、そうゆうふうにさせてくれるズヴェーデンはなるほどコンセルトヘボウのコンマスだったとあらためて認識させてくれる。オケの味わいともども聴かせてくれた演奏でした。
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後半は大曲、昨晩の圧巻ハルサイ、その2枚寸法のマーラー5番。
とめどもない破壊力。サントリーの天井の蓋が外れて飛び出し星空が見えそうになるような底なしのパワフル演奏。トランペットのあとのフルオケ全強奏2個のオタマで終わってしまいそうな猛爆昇天サウンドに腰が抜けた。
いきなり最高テンションにもっていきそのまま突っ走るズヴェーデン棒はまことにそう快。パッセージに明確にメリハリをつけきっちりと響かせる音に混濁は皆無。全フレーズが見事に浮かび上がる仰天の演奏でした。
バリバリと単刀直入、思わせぶり皆無、草木もなぎ倒す勢い。各セクションの音のラインが一糸乱れず揃いまくっている。わけてもホルンの強烈な吹奏が一本のインストゥルメントで奏されているように聴こえてくる、あの、揃い具合。音の幅は強烈で、まぁ、とにかく、唖然茫然吃驚仰天。開いた口が塞がらないのが自分でもわかる。
フィナーレ楽章大詰め、歌いまくるオーケストラ、ウィンドを浮かび上がらせた歌。鉛の様な密度のストリングが滴るストーンペイヴメント模様を鮮やかに弾き切る中、ブラスセクションが爆奏する。ソリストの技もさることながらセクションセクションが一つの生き物のように動き回る。スバラシイ。オーケストラを聴く醍醐味、ここに極まれり。圧巻圧巻。
最初から最後まで何もかも凄い凄いの連続。ズヴェーデンのコントロールは冴えわたりましたね。4年前とは激変したニューヨーク・フィル・サウンド。細やかなところまできっちりとしていて抜群のメリハリ感。ピアニシモは総じてやや強め。思う存分やらせておきながら締めるところは締める。オーケストラとの相性が良さそうというのはよくわかりました。
爆発昇天の第1楽章、その後の2楽章フィニッシュ前のファンファーレはここも思わせぶり皆無で、その前のマイナーからメジャーへの調推移が自然、角張らず、輝かしきはこのファンファーレ。
昨晩のハルサイで見事な破壊力を見せたホルン群は、次のロングな3楽章でも素晴らしい演奏。プリンシパルはじめ全員がパーフェクトにそろったこの楽章も聴きものでした。
妖しげな光に救いを求めることの無いズヴェーデン棒、今はこれで良しと。
アダージェットは弦をたっぷりと歌わせながらもビーンと張りつめたバネぢからが強烈。快感の歌い込み。
フィナーレは鮮やか過ぎて声にならない。転がるように突き進む演奏、バラバラにならない、乱れぬ転がりで、こんなことはこのコンビでないと出来そうもないな、当分。
マーラーが振ったオケのマーラー演奏は、揃い踏みスペシャリストたちの中で一段と光を増した。
2夜にわたる公演、ありがとう。
おわり