河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2510- ホフマン物語、アルロー、ルラン、東フィル、新国立、2018.3.6

2018-03-06 22:29:28 | オペラ

2018年3月6日(火) 2:00-5:45pm オペラパレス、新国立劇場、初台

新国立劇場プレゼンツ
オッフェンバック 作曲
フィリップ・アルロー プロダクション
ホフマン物語  30+38 49 25+12

キャスト(in order of appearance)
ActⅠ
1.ミューズ→ニクラウス、レナ・ベルキナ(Ms)
2.リンドルフ、トマス・コニエチュニー(BsBr)
3.アンドレ、青地秀幸(T)
4.ルーテル、大久保光哉(Br)
4.ナタナエル、所谷直生(T)
4.ヘルマン、安東玄人(Br)
5.ホフマン、ディミトリー・コルチャック(T)

ActⅡ
1.スパランツァーニ、晴昌彦(Br)
2.コシュニーユ、青地英幸(T)
3.コッペリウス、トマス・コニエチュニー(BsBr)
4.ホフマン、ディミトリー・コルチャック(T)
4.ニクラウス、レナ・ベルキナ(Ms)
5.オランピア、安井陽子(S)

ActⅢ
1.アントニア、砂川涼子(S)
2.クレスペル、大久保光哉(Br)
3.フランツ、青地英幸(T)
4.ホフマン、ディミトリー・コルチャック(T)
4.ニクラウス、レナ・ベルキナ(Ms)
5.ミラクル、トマス・コニエチュニー(BsBr)
6.アントニアの母の声、谷口睦美(Ms)

ActⅣ
1.ホフマン、ディミトリー・コルチャック(T)
2.ジュリエッタ、横山恵子(S)
3.ニクラウス、レナ・ベルキナ(Ms)
4.ダベルトゥット、トマス・コニエチュニー(BsBr)
5.シュレーミル、森口賢二(Br)
6.ピティキナッチョ、青地英幸(T)

ActⅤ
1.ホフマン、ディミトリー・コルチャック(T)
2.ステッラ、谷口睦美(Ms)
3.ミューズ、レナ・ベルキナ(Ms)
And many

合唱、新国立劇場合唱団
ダンサー、
管弦楽、東京フィルハーモニー交響楽団
指揮、セバスティアン・ルラン

(duration)
ActⅠ 30 +
ActⅡ 38
Int
ActⅢ 49
Int
ActⅣ 25 +
ActⅤ 12


たぶん30何年ぶりに観ました。新鮮でした。
新国立の出し物としては2003、2005、2013に続き今回4回目。いずれもアルローの演出。
いい舞台でした。カラフルでメリハリが効いた演出。1幕と5幕を枠にして、くっきりと違いがわかる3つの幕。鮮やかでしっかりと目に残るもの。印象的。

オランピア、アントニア、ジュリエッタともに見事な表現と声質。
ばね仕掛けのオランピア、なかなか見ごたえあり、それに高音がバネ馬力で天井を突っ切るようなシャープなもので、もはや、機械越え。30年前にメトで観たシェンクのプロダクションでは最後、機械人形が舞台から引っ込んで、袖からバラバラになった人形が舞台に放り込まれた、というのをうっすらと思い出した。
オランピアの安井さん、技と力、演技と声の力量感、エネルギーに満ち溢れた見事なものでした。

グッと変わって、砂川さんのアントニア、悲哀を帯びたシックな場にふさわしい悲劇のヒロイン。この幕は一番長くて、休憩30分ずつに挟まれた単独の幕となっている。ダークな幕、ドラマチックな盛り上がり、間髪入れず動いていくシーンがうまく出来ていましたね。

3人目のジュリエッタの幕は3幕中一番短いもの。横川さんの声というのは、一歩踏み出ているというか奥行きと広がりがあってホールに良く響く。もう少し聴いていたい気持ちにさせる。長いバルカローレから始まり、影のドラマがあり、締めはバルカローレがやや変形し派手に鳴り渡る。オッフェンバックの音楽作りの自由さ加減を感じる。音楽の感興もここらあたりになるとそれまでジワジワとあった重唱が最高潮となった。

これら2幕3幕4幕は、全く違う舞台づくりで本当にあとあとまで印象的。残像感もいい。
最後の5幕の舞台が出てきたところで、我に返ったように1幕の事を思い出す。鮮やかな舞台セッティングの妙。

タイトルロールのコルチャックは2年前2016のちょうど今頃ウエルテルを2回観ました。今回のホフマンも気品があって力で押す感じは無くて静かな歌い口で聴かせる。最後の最後だけは圧倒的な振り絞りでびっくりしました。
どこか清純でそういったことが舞台の一定の方向性を決めることになっていますね。この演出ともよく合っている。

コニエチュニーのほうはワーグナーでたくさん観ていて、その意識が強くあるのですけれども今回の出し物の役としては結構なはまり具合ですね。キャラクタースパイスがうまく出せていてツボどころがいい。

ベルキナ、それにたくさんの登場人物たちのキャラクターが際立っていて、同じ歌い手でも役どころできっちりと使い分けしていて、要は脇がしっかりしている布陣で完成度が高い。

ルラン、東フィルは締まった演奏で演出に呼応。4幕のバルカローレあたりからさらに感興が高まっていき、続く終幕へと見事な演奏繰り広げてくれた。ルランさんいい棒ですね。

最後の幕が下りるところのオッフェンバックの大げさな終止は一体何事がこれまで起きてきたのだろうと思わずにはいられない。あれはなんだったのだろうか。
おわり