河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2462- メシアン、幼子イエスにそそぐ20のまなざし、エマール、2017.12.6

2017-12-06 23:42:28 | リサイタル

2017年12月6日(水) 7:00-9:35pm コンサートホール、オペラシティ

メシアン 幼子イエスにそそぐ20のまなざし  51-65

     Ⅰ~Ⅹ      6+3+3+4-6-11-4+2+4-8
Int
     ⅩⅠ~ⅩⅩ  6-3-4+4-11-3-5+6-10-13


ピアノ、ピエール=ロラン・エマール


エマールは先週末、デュトワN響の伴奏でラヴェルのレフトハンドを好演。今日はメシアンのロングな作品。
前半10曲、休憩20分を入れて後半10曲。

この作品は幸い5月にもオズボーンのピアノで聴きました。
2345- メシアン、幼子イエスに注ぐ20のまなざし、スティーヴン・オズボーン、2017.5.18

そう言うこともあってだいぶ見通しよく聴くことが出来た。
エマールの弾く20のまなざしは、見た目のコンセントレーションモーションを横に置くと、一歩引いて弾いている印象。
タッチが重くならずみずみずしくて、音から音への推移にあまり隙間を作らずつなげていく。規模の大きいピースの後は一服おくが、そうでないものはつなげて弾いていく。つなげて弾いているものは曲の表情の変化がそれほど濃くならない。音の粒立ちの良さが気持ちいい。

(テーマの目安)
Ⅰ 愛のテーマ
Ⅱ 星と十字架のテーマ


Ⅴ 神のテーマ (数字の3がキーワード)

Ⅶ 星と十字架のテーマ
Ⅷ 

Ⅹ 狩のテーマ、幸せのテーマ
intermission
ⅩⅠ 神のテーマ、聖母マリアと幼子のテーマ
ⅩⅡ
ⅩⅢ
ⅩⅣ
ⅩⅤ 神のテーマ、和音のテーマ
ⅩⅥ
ⅩⅦ
ⅩⅧ
ⅩⅨ 愛のテーマ
ⅩⅩ 和音のテーマ、神のテーマ

無調的な運びが全面を覆い微妙に不安定な進行。何かが解決に向かうというよりもそれぞれのピースの積み重ねが別のモードを引き起こすような具合、無機的ではない。メシアン流語法が若いときから出来ていたのだろう。このままオーケストラに編曲してもその響きの魅力は増すばかりのようだ。
それぞれの主題にはコクがあり、噛むほどに味わいがでる。聴くほうの気持ちが作品と一体化してシンクロしていくようだ。単独でピースを噛みしめるのもいいが積分の妙、これは心理的なものの累積現象のようなものだろう。そういうところがメシアンにはある。
10曲目のテーマは印象的でした。音の粒がジャズのアドリブ風味を感じさせるもので音粒が面白いように連鎖していく。それまでの静謐な空気が一気に解放された。エマールのノリ、効きましたね。幼子を満たすフレーヴァーが心地よい。

ここで休憩。
11曲目は休憩前の10曲目の激しさの残り香が漂う。オズボーンのように休憩を置かず一気に弾くのもいいし、この日のエマールのようにじっくりと連鎖を感じさせてくれるのもいいものだ。後半はピース毎に区切りを明確にせずつなげていくのが目立った。(それやこれやで全体としてはオズボーンより10分ほど速めの展開となった。)
中音域の抜けた高音低音、ギザギザと降下をしていくスケール、メシアン流のエキサイティングなシーンが続く。エマールの決め具合良くメリハリ効いています。
終曲の繰り返され続けるフレーズ。これがオーケストラなら多彩な音色変化をつけながらきらびやかなクライマックスにもっていくところ。ピアノ一本のエマールはそれに勝るとも劣らない鮮やかなもの。音の間隔を微妙に動かし、強弱のうねり、粒立ちよく進行。究極の心理的累積感による音楽的感興を呼び起こす。凄い技。
ピュアなまなざし、しっかりと見えました。

このホールは1600強のキャパでオーケストラの音量向きとは言えない。ピアノ単独でのリサイタルや室内楽には申し分なく良く響く。横のバルコニーは角度が悪くていけない席が多いけれどもそれを避ければ居心地よく聴ける。
おわり