2017年12月23日(土) 6:00pm みなとみらいホール
バッハ 汝のうちに喜びありBWV615 3′
バッハ 古き年は過ぎ去りBWV614 3′
バッハ トッカータとフーガニ短調BWV565 9′
パイプオルガン、石丸由佳
Int
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調Op.125 18-10-16+27
ソプラノ、増田のり子
アルト、林美智子
テノール、錦織健
バリトン、ジョン・ハオ
合唱、東京音楽大学
小林研一郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
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沢山の演奏会をこなしている炎の小林。芸風が一段と深みを増してきて、存在が場の空気を変えていく、真摯で精力的、炎のカリスマは静かさを湛えた満潮のような美しさだ。
今日の第九は定期公演の一環。
日フィルの合奏というのは、多くの人たちが弾いたり吹いたり叩いたりしているというのがよくわかる。合奏アンサンブルに生命力が有り活き活きしている。小林芸風と一体化していてシナジー効果も大きい。
炎の右腕棒、これ一本で振っているのではないかと思えてくる。時折やや聴衆席に向かい頂点を示し静止した棒の中、ひたすら流れていく歓喜の歌は、もはや、それだけで美しい、感動の頂点棒。
左手の芸風も見事だ。小さなアクションひと動きは全て納得できるものだ。オケの反応も素晴らしく良い。意図する音楽が流れる。
第1楽章提示部リピートするかどうか聴いているほうはギリギリまでわからない。この緊張感。同楽章コーダ終結少し前に延ばしてタメを作り激性を増す怒涛表現。
終楽章ベースから始まる歓喜のモノローグの前のパウゼをフルトヴェングラーの並盛モードで完全空白を作るこの緊張感。他にも色々と趣向を凝らしていて、その内容はこのベートーヴェンにふさわしいもので、納得するところが多い。芸の細かさを越えたカリスマ棒で、それらはこれまで数々振ってきたことの集大成という行為を毎日毎日精力的にこなしているといった様相で、そういう思いで観る指揮はこれから益々聴きのがせないものになるだろうね。
ハオの一声は素晴らしく良く通る。いい声。これまでオペラの脇役等で聴くことがあったがこうやって聴くとなめし皮のような質感で改めて良さがわかった。ソリスト4人衆の流れがいい。
小林のコーラススタンディング指示の鮮やかさ、ソリストと一緒に歌うことをしていなかった小林がここでコーラスと一緒に歌い棒。歌える指揮者極まれりの感がある。
見事な棒で定期の第九、満喫できました。16型、200人規模の合唱は圧巻。
前半のオルガン独奏3曲。やや乾いたサウンドが心地よく響く。席が席で、脳天とお尻にズシンズシンとくる迫力あるもので、これも楽しめた。
おわり