河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2352- バッハ、マルティヌー、ラフマニノフ、山崎伸子、小菅優、2017.5.25

2017-05-25 23:14:16 | リサイタル

2017年5月25日(木) 7:00-9:25pm 紀尾井ホール

バッハ 無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調  5-10-4-4-4-5′

マルティヌー チェロとピアノのためのソナタ第1番H.277 5+5+5′

Int

ラフマニノフ チェロとピアノのためのソナタト短調  14-7-7-11′

(encore)
ラフマニノフ 前奏曲op.2-1  3′
ラフマニノフ ヴォカリーズop.34-14  7′

チェロ、山崎伸子
ピアノ、小菅優


ヘヴィー級プログラムのリサイタル。チェロ・ソナタ・シリーズ最終回10回目の公演とのこと。
だいぶ待たされて7時10分過ぎにスタート。
大きなプログラム、冒頭にピアノが無いチェロだけのバッハの作品。いきなり30分越えの曲から。
かぶりつきのセンター席でしたので、潤いのあるしなやかでボリューミナスなチェロサウンドを心ゆくまで浴びることが出来ました。満喫。
見えない水分が絶え間なく与え続けられているかのように弾き続ける山崎さんのチェロはそれだけで唖然とするものですけれども、それにもまして難曲をものすごいコンセントレーションで停滞することなくススッススッといとも軽く弾きまくるその技のさえていること。体力気力もちろんですが優れた技巧、そちらに耳が奪われました。細かい音符が均質で均整がとれ、連続性をもって繋がっていくバッハ、連鎖のマジック。圧倒的でした。このつながりの妙というのは最初のプレリュードから少しずつ自然過熱しジークでピークに達するもので感興が積分されていくような感覚。素晴らしいですね。1曲目からいきなり堪能。

次のマルティヌーに小菅さんが加わる。チェロの真後ろで弾くピアノ。ちょっと横にずれてセッティングしてくれればよかったのに。
マルティヌーの作品は、オーケストラ作品に比べて細かいところの技が沢山ありそう。小回りの利く編成で色々とやっていると思うが少し斜めに見たような作品かな。リズムパートではそれが強調されすぎるきらいがある。活力のある作品でエネルギッシュ、インストゥルメント同士のぶつかり合いみたいなところもある。火花が散る。オーケストラル作品の醍醐味も随所に聴かれました。これも堪能。

休憩の後は、チェロソナタ&ピアノソナタとでもいうべきビッグなラフマニノフ、40分の大作。これも両者の位置が少しずれてくれればと。それはそれとして、
ロマンティックでメランコリックなものだけではアンダンテは、もたないだろう。などと脳裏をよぎる。だからというわけでもないと思うが、頭でっかちの曲。
形式感を十分に感じさせる大規模な第1楽章。緊張感を孕んだ進行で各主題の妙、それにチェロとピアノの両楽器のアンサンブルの妙、力感あり聴きごたえ満点でした。ピアノの活躍がめざましく、山崎さんはしばし瞑想の間もある。
2楽章がスケルツォ、3楽章にアンダンテ。アンダンテはそれほどの長大さは感じなくて、同じ規模もしくは時間的に若干上回るスケルツォの規模の大きさが目立つ。スケルツォは前のマルティヌーのような荒々しさはあるが、角張っている感じは無くて、こう、すべるようにつながっていく。形式通りの音楽だが規模が大きい。ピアノとチェロが同時、順次と目まぐるしい。演奏はお見事、迫力ありました。
アンダンテの規模はそれほどでもない。これ以上長いと、持たないだろう。ちょうどいいと思う。ピアノの導入から始まる。全体にムーディーな雰囲気が支配。緊張感を持続させながらの二人のアンサンブルには聴き惚れる。もう、何十年も一緒にやっているような気さえしてくる。濃厚な楽章、ススッと終わる。
終楽章は、それぞれの楽器の鳴りが全開し、本当にぶつかり合い。パッセージの積み重なりは数珠つなぎのようになってくる。圧巻。素晴らしい。

アンコールはエキサイティングなラフマニノフの余韻で、同作曲家の作品を二つ。アンコールという雰囲気は無くて用意周到。チェロとピアノの同曲というのははじめ聴く。静かな中に何か哀愁のようなものがじわじわとにじみ出てくる。チェロ・ソナタ・シリーズ最終回、その締めくくり、それに新たな出発の決意。両方感じさせてくれた。
山崎さんのふところの深さ。実感。
小菅さんのピアノも山崎さんと同じく素晴らしいものでした。
存分に楽しむことが出来ました。ありがとうございました。
おわり


チェリスト山崎伸子 10年公演の次はバッハ : NIKKEI STYLE




2351- チャイコン1、ベレゾフスキー、フェドセーエフ、N響、2017.5.25

2017-05-25 22:52:18 | コンサート

2351- チャイコン1、ベレゾフスキー、フェドセーエフ、N響、2017.5.25

2017年5月25日(木) 3:00pm シンフォニーホール、ミューザ川崎

ショスタコーヴィッチ 祝典序曲  6′

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調  19-6+6′
  ピアノ、ボリス・ベレゾフスキー

Int

リムスキー・コルサコフ スペイン奇想曲  17′

チャイコフスキー フランチェスカ・ダ・リミニ 24′

(encore)
ハチャトゥリアン レズギンカ 3′

ウラディーミル・フェドセーエフ 指揮 NHK交響楽団


ベレゾフスキーは今年のLFJ最終日にハチャトゥリアンのコンチェルトを聴いたばかり。
今日はチャイコフスキー、幾度となく弾いてきたものだろう。2楽章の入りはまるでモーツァルトのような響きを奏でる。中間部はリズミックで鮮やかな動き。左手はパッセージごとに真上にはねあげる。バスが軽く切り上げられていくようでメリハリが効いています。左手はねあげは全楽章にわたるもの。右手の力の入れ具合とちょうどになるようにバランスを取っているのかもしれない。

第1楽章からN響の重いサウンドとは違って、ささっと右左に面白いように両腕が動いてガラス張りのきれいな音で流れていく。オケはこのホールのせいかどうか、だいぶ明るい音色で鳴っているが、ベレゾフスキーの輝かしいサウンドと機動力にはかなわない。本日のオケ、ノリがあまりよろしくないのかもしれない。ホールによって腕前を変えてきているとは思いたくないが、演奏場所により張りきり度がまだら模様の気がしないでもない。あまりいい傾向ではない。
ベレゾフスキーはオケとは別に全部カデンツァのような見事なピアノさばきで聴きほれる。大言壮語なバックとはまるで違うもので終始、肩の力が抜けていて透明なガラス細工でも見ているような気持ちになってくる。この響き最後まで変わらない。スバラシイ。
LFJのときより、おなか、すこしへこんだかな。
いい演奏でした。ありがとうございました。

祝典序曲は、後打ちのノリの悪さ、戦車のよう。
スペイン奇想曲は殊の外明るいものでこのホールのせいかもしれない。
ダ・リミニは曲の構成、それに感興もあまり良い作品とは思えず。オケ指揮者ともにそれ越えとはならず。
おわり