河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2328- ベトソナ全曲演奏 第2夜、3,7,8,10,11,14,17,24,25、ヴァリアス・アーティスト、2017.5.3

2017-05-03 23:40:23 | リサイタル

2017年5月3日(水) 6:30-9:45pm 邦楽ホール、石川県立音楽堂

オール・ベートーヴェン・プログラム
ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ 全曲演奏 第2夜

第3番ハ長調 菊池洋子          12-6-3-5′
第7番ニ長調 木米真理恵         5-8-2+4′
第8番ハ短調 悲愴 米谷昌美      8-5-5′
第10番ト長調 近藤嘉宏          7-6-4′

int

第11番変ロ長調 渡邉康雄       8-7-3-6′
第14番嬰ハ短調 月光 横山幸雄  6-2-5
第17番ニ短調 テンペスト 石本えり子  6-8-5′
第24番嬰へ長調 テレーゼ 山田ゆかり  4-3′
第25番ト長調 竹田理琴乃  5-3-2

ガル祭2017
昨晩の初日は9曲、今日も9曲、男性陣が一人増えて3名、女性6名という布陣。
作品2の3曲のうち、この日は3番からスタート。

第3番
菊池さんはメトロポリタン・エリアでのコンサートによく出ていて、モーツァルトのコンチェルトを何度か聴きました。
今日は30分に迫ろうかという大曲。小菅さんやアリスさんのCDを取り出す機会多いのですが、こうやって生で聴く3番は格別。
シンフォニックで大がかり、第2楽章アダージョの頭は、楕1楽章アレグロのメロディーラインそのままではないのかと思わせてくれる親近性の強いもので、なにやらそういった気配が随所に聴かれる。強い構成力を感じる。この両楽章で言いたいことはあらかた尽くされている感じ。まぁ、だまっていてもフォルムは自然に出来上がるのでその部分はベートーヴェンに任せておいて、といった演奏もありですね。
菊池さんのタッチはみずみずしいものですが決して角張らない。鋭角になることのない響きで、まるで真綿の手袋をしていてそれ越しに鍵盤を押さえているような鳴り。以前聴いたモーツァルトよりも柔らかでやや幅があるような印象。
曲は尻つぼみというわけでもないが収束していく、響きはさらにまろやかになる具合でプレイヤーの存在が徐々に大きくなる、充実の演奏でした。

第7番
昨晩27番を弾いた木米さんが弾く。この曲は20分ほどあり規模が大きく、ものものしい旋律が1,2楽章と続く。ちょっと軽くした3,4楽章が好み。しっかりとしたリズムの中、進むにつれウェットな詩情がさわやかに流れてくる。短い後半楽章のさりげないプレイが魅惑的な演奏でした。素敵でした。

第8番 悲愴。
今日午前、横山さんのリサイタルで聴いたばかり。今度は米谷さんの演奏で。一日に2回も聴ける。ハッピーですな。
横山さんとは別路線。間の取り方が独特、体の動きを見ていないと次の展開への入りがわからなくなるようなところもありますね。緊張感を作り出すための間というわけでもなくて、なんというか、デリカシーな流れと一体化したような具合です。
ひとつのカクテル、作り手によって大いに味わいが異なる。その違いも楽しめる。贅沢の極み。

第10番
近藤さんの出番。さっそうと登場。周りの聴衆からほぉとため息が漏れる。偉大なものは単純である(F)、軽々しさを一瞬たりとも見せない。集中したプレイでした。第1,2楽章のつながりを強く感じさせてくれるのはそのコンセントレーションのたまものですよ。
正確でウィットに富んだ表現、音がきれいに弾む。スバラシイ。

ここまで4曲、あっというまの出来事でした。昨晩と同じく短い休憩。
後半は11番から。

第11番
御大登場。この曲も規模がデカい。このままオケ用に編曲すればシンフォニーになるのではないのか。指揮者の渡邉暁雄のシベリウスなどは殊の外豪快な筆の運びで、見た目と違ったところがあったが、御大は力が抜けていて力まず、きれいな音で、大きな体躯、ピアノを抱え込んでしまいそうな勢いのようにみえるけれども、出てくる音楽はクリアな鳴りのベートーヴェン。進むにつれてフォルムの塊から火花がビビッと出てくる。味わいのある演奏でした。

第14番 月光
横山さんの演奏は昨晩ワルトシュタイン、今日の午前は悲愴、熱情を聴きました。ここで、月光。
楽章の対比感、コントラストがどこまでもよく効いている。楽章毎のメリハリのよさにとどまらず楽章対楽章が呼応するような具合で全体俯瞰が素晴らしくよい。終楽章の過激さはエキセントリックな様相を呈する。そんな中、冷静に見つめるもう一つの目があるような気配。

第17番 テンペスト
昨晩16番を弾いた石本さんが今度はテンペストを。
魅惑的な曲ですが、ニ短調はだいたいやにっこい。ブル9、第九、シュマ4だいたいやにっこい。聴き手の積極的な受け入れる力を求められますね。まぁ、好きですが。
石本さんの演奏は第1,2楽章のつながりを素晴らしく良く感じさせてくれるもの。ほとんど一体化している。終楽章はなにやら別の魅惑的な曲を聴いているような趣きで、2曲聴いた様な聴後感。

第24番
短い序奏が魅惑的な曲。短い序奏とはいえ曲自体短いものなのでバランスとしてはちょうどいい。山田さんにはちょっと物足りないかな、弾き足りない感じに見えました。
主題の曲想変化の妙というよりも、断片的なアクセントとその連鎖のように聴こえてくる。それはそれでお見事なもので印象的でした。

第25番
竹田さんが登場。今度は男の聴衆からほぉとため息がもれる。
シンプルな曲で両端楽章は楽しそうに弾いている。音楽もその通りにリズミックなもの。
中間の短調楽章が物憂げで印象的。ここらへんにも彼女の真価があるのではないか。


ということで、前半4曲、後半5曲。初日に続き今日もみなさんの素晴らしいベートーヴェン、堪能しました。
おわり

 


2327- エンペラー、ダグラス、広上、OEK、2017.5.3

2017-05-03 23:32:14 | コンサート

2017年5月3日(水) 5:15-6:05pm コンサートホール、石川県立音楽堂

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 皇帝 21-8+10′
  ピアノ、バリー・ダグラス

広上淳一 指揮 オーケストラ・アンサンブル・金沢


ガル祭2017より

威風堂々の演奏というよりもむしろ繊細でデリカシーに富むバリーのピアノ。マイペースから始める心地よい雰囲気。とにもかくにもここでこうやって聴ける幸せ。

オケ提示部の演奏をしっかりと見つづけるバリー。ここでイメージをつかんでいそうですね。線がやや細くコンパクトかなと感じる間もなく滴る第2主題、オルゴールのような響きに静寂が訪れる。この空気感、最高ですね。
第1楽章は進むにつれてジワジワと過熱。オケに埋もれないキリッと一筋芯の入ったバリーの妙技に悶絶。響きがホールにさえわたる。
アダージョ楽章のいつくしむようなバリエーション。ストイックなまでに沈み込みつつも淡々とプレイしていく。線の進行が心理的に積分されていってエモーショナルな味わいが、実際の響きとは別なもう一つの肌触りで迫ってくる。ここらあたり音楽を聴く醍醐味ですね。
上昇系の音形と、それに対になるように下降形の進行が、何度も繰り返されるソナタ形式。ピアノもオケも同じ具合に進む。リズミックを越えた激しい運動で、バリーと指揮者の呼吸が合致しているので最高の掛け合い。聴き応えありました。
ビューティフルで気品のあるエンペラー、素晴らしかった。ありがとうございました。

この日は、KSBエロイカ、高雄市響エグモント、そしてOEKエンペラー、3つのオケを一日で聴けた。お祭りのいいところですね。
エンペラーの伴奏をしたOEKが充実の演奏でした。これは指揮者の才覚によるところが大きいと思います。
おわり


2326- エグモント、ヤン、高雄市響、2017.5.3

2017-05-03 23:31:15 | コンサート

2017年5月3日(水) 4:00-4:50pm 邦楽ホール、石川県立音楽堂

ベートーヴェン エグモントより
響敏也 監修
エグモント物語   8-39′

ソプラノ、山口安紀子
ナレーター、風李一成
チーチン・ヤン 指揮 高雄市交響楽団


ナレーターによる説明付きの公演は以前一度観たことがある。
ソプラノ、キャスリン・バトル
ナレーター、ウェルナー・クレンペラー(オットー息子)
エーリヒ・ラインスドルフ
ニューヨーク・フィル
(ブログ未アップ)

今回の上演は、舞台を暗くして照明による稲妻効果を出させたり、エグモントの絵をしもてサイドに立てる、といった視覚的効果も狙っている。それにベートーヴェン風味のナレーターによる語り。ソプラノの歌は少ないけれども、ナレーターにあわせた感情表現がよくシンクロしている。以前観たものとは視覚の点において異なっていて、なかなかいい上演でした。
指揮者左にナレーター。右にソプラノ。

お初で聴く台湾のオーケストラ。まず、序曲での独特のアクセント、これは指揮者のものなのかどうかわかりませんが、ピリオド風に切っていくストリング、真逆のヘヴィーさで迫るブラス。なんだか、奏法がハイブリッドしている。劇に入っていくと気にならなくなった。
オケサウンドはそこそこの味わい。指揮者より手前に座っているナレーターと指揮者の呼吸が良く合っている。全くずれないぶれないもので相応のリハを積んだものと見えます。それにソプラノも劇の中に没頭しているし、みなさん呼吸の合ったノリの良いもので、劇の付随音楽を越えた充実の公演で大いに楽しめました。ありがとうございました。
おわり

 


2325- エロイカ、ブルンス、KSB、2017.5.3

2017-05-03 23:30:41 | コンサート

2017年5月3日(水) 2:45-3:35pm コンサートホール、石川県立音楽堂

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 エロイカ 16-15-6-11′

ユルゲン・ブルンス 指揮 ベルリン・カンマーシンフォニー


ガル祭2017より
初めて聴くオーケストラ、埃っぽくて、煮こごりのようなサウンド。分離がよくない。モノクロ色ですし。
カンマーと銘打っているのでストリングは相応な力かと思ったのだがそんなこともなかった。
初めて聴くコンサートホールですのでホールの特徴もありや、初めて尽くしで、そうでなくてもいまいち、いまに。エロイカを楽しむには至らなかった。
おわり


2324- 悲愴、熱情、横山ピアノリサイタル、2017.5.3

2017-05-03 13:15:31 | リサイタル

2017年5月3日(水) 11:00-11:50am 金沢市アートホール

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 悲愴  7-5-5′

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 熱情  10-6+7′

ピアノ、横山幸雄


ガル祭2017、ベトソナ全集企画とは別の公演。
前の晩のベトソナ企画第一夜でワルトシュタインを弾いた横山さんの単独リサイタル。
熱情のコントラストの妙が際立っている。両端楽章の深刻さ、過激さ。鮮やかです。それにサンドウィッチされたアンダンテ、シンプルな進行は冷静な横山さんのもう一つの面かもしれない。多様なベートーヴェンの心の動きが見事に表現される。スバラシイ。

1曲目に置かれた悲愴は、リズミックというよりもさざ波小波のような音の運び。独特な音響が醸し出される。アダージョ・カンタービレでも流れるようなさざ波感が美しい。

ワルトシュタイン、悲愴、熱情、聴き応えありました。このあと月光、コンチェルトの1番などがひかえていますね。楽しみです。
おわり