2016年7月14日(木) 7:00-9:20pm コンサート・ホール、オペラシティ
シューベルト ピアノ・ソナタ第13番イ長調D664 9′5′8′
ショパン 幻想曲ヘ短調op.49 13′
ショパン 夜想曲第8番変ニ長調op.27-2 6′
ショパン ポロネーズ第6番変イ長調op.53 英雄 7′
Int
ムソルグスキー 展覧会の絵 31′
(encore)
シューマン 子供の情景 第1曲 2′
フィリペンコ トッカータ 3′
シューマン 子供の情景 第7曲トロイメライ 2′
バラキレフ イスラメイ 8′
ラフマニノフ 楽興の時op.16 第3曲 4′
メンデルスゾーン/リスト/ホロヴィッツ 結婚行進曲 5′
ピアノ、アレクサンダー・ガヴリリュク
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ガヴさんを聴くのはこれが2度目。昨年2015年1月にノセダ、N響の伴奏でプロコフィエフの3番コンチェルトを2回聴いて以来です。
あの時は非常に精力的な演奏と思いました。今回、最初のシューベルトを聴いてるとメゾフォルテからメゾピアノあたりのダイナミックレンジ幅の中でほぼ全て表現できているような具合で、絶妙な演奏でした。曲のムードを自然とつかんでいるようで、滑らかに音楽が流れていきました。ナチュラルな演奏。
指使いは鍵盤を吸い上げそうな一体化したものでびっくりですね。
ショパンの3曲は小曲とはとても言えない。中規模なピース3個。ドラスティックな意気込みで聴きごたえ満点。巨大な演奏でした。ため息の呼吸がお見事でショパンの美しさをはっと感じさせてくれました。いい演奏ですね。
後半は、つい先日ロマノフスキーが演奏した曲と同じ。
ガヴさんの展覧会を聴いていると、先を読みながら演奏しているなぁ、と感じます。具体的にどういうことと言われるとなかなか難しいのだが、例えば、ここのちょっとしたフォルテの意味合い、速度感、といったものが、すぐ次に、解決案的に納得できる形で表現されていて、すごくつながりを感じる。伏線を敷きながらのプレイというのは先々のあるべき彼の表現、つまり、今鳴っている音が、先取りしている。考え抜かれたピアノだと思います。自然と身についているフィーリングというか。
展覧会の場合、もともとそのような関連性の濃いものがわかる曲ですし、作為的なところは微塵もなく、通奏低音的に心理的なつながりを感じさせてくれる。結果、拡散していくところが皆無で、中心に向かって引力、集中引力と言ってもいいかもしれません。凝縮した圧倒的な演奏でした。
アンコールは6曲、ロマノフスキーは5曲でしたので、ここらへんも、面白いですね。
あまりなじみのない選曲も含め全て楽しめました。圧倒的な30分アンコールでした。
ありがとうございました。
おわり