2016年4月16日(土) 2:00pm コンサート・ホール、オペラシティ
リゲティ アトモスフェール 11′+
パーセル 4声のファンタジア ト調Z.742、二調Z.739 7′+
リゲティ ロンターノ 14′+
パーセル 4声のファンタジア へ調Z.737、ホ調Z.741 8′+
リゲティ サンフランシスコ・ポリフォニー 13′
Int
シュトラウス ツァラトゥストラはかく語りき 34′
ジョナサン・ノット 指揮
神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団 (パーセル)
東京交響楽団
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昨日と一昨日聴いたベリオは指揮する生姿を見たことがあるが、リゲティは歩く姿でも見たことがあったかどうか今のところ記憶に浮かばない。ベリオ棒の演奏会のことはいずれ書くことがあると思うが、今日はとりあえずリゲティ3連発。
映画のスペースオデッセイで使われる曲を絡めたコスモ・プログラム。アトモスフェールとツァラはこの演奏会とは逆の順番で鳴りますね。
プログラム前半は、アトモスフェールA1961、ロンターノL1967、サンフランシスコ・ポリフォニーS1974、の順番で演奏され、それぞれの作品の間にパーセルがサンドウィッチ。そしてこれら全7曲は連続演奏されました。パーセルの作品はヴィオラダ・ダ・ガンバ合奏がオケ後方の2階席(P席)やや左側に配置。このパーセル演奏のときはステージの照明を落とし、ノットは指揮せず。合奏にだけスポットライトをあてる。
このプログラミングの前半テーマはポリフォニーということでしょうが、重なり合ってミックス、ビルドアップされてメロディーの様なものも聴こえてくるはず、とも。
律動という観点では、Aはまるで無くて、L、Sと進むにつれて出てきて、Sエンディングはホルンを中心とした、めくれるような律動終止。ノットは腕をホルンにのばしたまま数秒間動かずのノット・フィニッシュでしたけれども、S自体は激しくリズミックな曲で、Lを軸としてAと対照的なもの。
Aはなにがどれなのかわからない、音が細分化されていて区別がつかなくて極度なポリフォニック世界、ミクロ・ポリフォニー・ワールド、主従関係もなくリズムもない。やっぱり浮かんでくるのはスペースオデッセイで、いい曲がつけられたものですね。何が何だかわからないシーンにピッタリ。
でもこのサウンドのクリアなこと。驚きました。東響の極めて明瞭にセパレートされた音響はカオスの世界がジャングルジムのように骨格の間からあちらが透けて見えるような見事な音響。
パーセルは音が比して弱くなりますが、なにかリゲティがリセットボタンを押されたようなモードで、本来のポリフォニックな世界が寄り戻る。
Aがこんなにクリアに響いたあとだとLはかなり見通しがきく、動きも感じる。Sになるともうこれは律動の世界と感じる、ざわめきの律動。これらリゲティ3曲、オーケストラの精巧にして高分離度なサウンドの説得力はものすごくて楽しめました。連続演奏も奏功しておりますね。持続する緊張感とテンションの高さ。
後半のツァラもまず一番にオーケストラの解像度の高さがこの聴きなれてしまった曲をあらためて聴かせてくれる。リフレッシュされた響きで飽きない。東響サウンドはその昔から自分では黄色いサウンドと言っていて特色のあるものでした。今でもその感覚は変わらない。付け加えるに全体バランスが見事になりました。
イエローから黄金色に変化しつつあるオーケストラサウンドの魅力を堪能しました。
ありがとうございました。
おわり