河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1786- シェーンベルク、ヤナーチェク、バルトーク、メッツマッハー、新日フィル、2015.4.12

2015-04-12 23:21:14 | コンサート・オペラ

2015年4月12日(日) 2:00pm サントリー

シェーンベルク  5つの管弦楽曲 2′5′3′2′4′

ヤナーチェク  シンフォニエッタ 2′5′6′3′7′

Int

バルトーク  管弦楽のための協奏曲 10′6′7′5′9′

インゴ・メッツマッハー 指揮  新日本フィルハーモニー交響楽団



メッツマッハーと新日フィルの組み合わせも最終局面、ミュージック・アドヴァイザーも来週で終わり。
このコンビは回を追うごとによくなってきて、練られたプログラミングもさることながら、トレーナーとしてこのオーケストラが本来備えていたレベルのスキルを彼ら自身に思い出させてくれた。引き締まった演奏は他の指揮者の場合でも感じられるようになり、本当にこのオケに寄与してきたと思います。

この日のプログラムは3本で、すべて5楽章もの。

最初のシェーンベルクはリズミカルでダイナミックでエネルギッシュ、多彩な変化。音色旋律主体の第3曲が一番ダークという不思議な印象に聴こえた。この種の曲は長さ的にはこれぐらいが限界で、現代音楽につながっていくある種の「長い曲は無理」的な発露のようなものだが、メッツは大曲然としたおもむきで本当に聴き応えがある。オーソリティとしての面目躍如といったところか。
オーケストラの響きの奥行き感に余裕があり、思い出したスキルの充実感を感じる。特に第2ヴァイオリンやベースをはじめとしてよく磨きがかかっている。
曲、演奏、指揮、このように揃うとシェーンベルクの作品は全部聴いてみたくなるものですね。

席の位置関係で指揮者と同じような角度でオルガン前の通路に陣取った13本のバンダ・サウンドを浴びることが出来るヤナーチェックの迫力と、これまた多彩なニュアンスがやたらと素晴らしすぎる。さらに、
このバンダとステージの本オケのほうのラッパセクションとのバランスが良い。指揮者目線と耳線をそのまま感じられる。
前方の席に座ると音が頭の上を通過してしまう、と言った話をよくするのですが、そうかもしれないが、このようなリアル感はここの席でのもの。
それから、直音(じかおん)を感じ取れるのはもちろんのこと、オーケストラの奥行きがよくわかりこれが結構な迫力。前に弦がいて真ん中あたりにウィンドがいて奥にブラスやパーカス、この遠近感をもろに感じ取れる。個体としてのオーケストラサウンドの神経細胞をみているような感じを味わえる。
ヤナーチェクのブラスと奇妙なウィンド、ハーモニクスの上をいく線、フルオケの醍醐味を満喫。

ヤナーチェクを前出汁にしてと言っては失礼ですけれど、後半はオケコン。
メッツの感情移入の激しさと言うより、この日のプログラムシーケンスから言って、これはコントロールからの開放な訳です。こうゆうところにも彼の練られたプログラムビルディングを感じます。
爆発的によく鳴る演奏で、エモーショナルな動きが濃い。多彩なニュアンスは前半からの流れだし、本当にストーリーテーリングを感じさせてくれる。プレイヤーも気持ちの切り替えと言うより積分していくような心持でしょうな。
バルトークの精緻な音楽がいつになく熱いものとなったパワフルな演奏で、お見事。
ありがとうございました。




1785- リーム、厳粛な歌、ブルックナー7番、カンブルラン、読響、2015.4.10

2015-04-12 11:25:18 | コンサート・オペラ

2015年4月10日(金) 7:00pm サントリー

リーム  厳粛な歌‐歌曲付き(日本初演) 22′
     バリトン、小森輝彦

(演奏順番)
   1.厳粛な歌         14′
   2.「ヘッセン急使」 (歌曲)
   3.「ヴォイツェック」 (歌曲)  2.&3.  8′

Int

ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調 (ノヴァーク版) 18′18′10′10′


シルヴァン・カンブルラン 指揮 読売日本交響楽団


1時間に満たないブルックナーでしたが、快速に飛ばしたという雰囲気は無くて、筋肉質で響きを凝縮してエコーを抑えるような具合の演奏であれば、パウゼと言ったあたりの話は不要な贅肉が無い中、おのずと消し去られ、その結果としての短時間演奏であったに過ぎないと思う。だから速い遅いといった範疇の話はこのてのレベルのみにとどまる。
とは言え、カンブルランの指揮であれば聴く前からこのような演奏になりそうだというのはある程度分かっていたと言えなくもない。

第1楽章頭から気張りの無い淀み無い響きがあとくされ無く美しく鳴りながら過ぎていく。気張りは無いけれど筋肉風に締まりのいい演奏。どこぞの皮下脂肪はきれいにそぎ落とされていてブルックナーがきれいな線で描かれていく。見事な音響バランス、爽快感。

第1楽章コーダの殊の外、先を急ぐスピード感は次楽章の先取りか。もたれないアダージョ楽章へうまくつながっていきました。

第3楽章のタイミングを見れば、全体が奇を衒うものではないことがよくわかります。バランスです。速度で騙さない締まった演奏は指揮者がオーケストラに反映させたものと言えよう。

終楽章は作品の構造展開が不足している分、整理整頓が容易でコンパクトに鳴る。
日フィルから移ってきたホルンの若者猛者の日橋プリンシパルも心地よく気持ちよく吹いているなぁ。

カンブルランのブルックナーは山の尾根のように線の縁取りをきれいに浮き彫りにしてくれる。きれいな分、際どいバランスであり、右左に滑り落ちないようにメロディーラインの線が流れていく様は恐い美しさと言える。いい演奏でした。

前半のリームはタイトルと組合せが紛らわしい。厳粛な歌という曲の後に歌曲が2曲、最初の厳粛な歌には声は無い。サヴァリッシュからのリクエストで作ったブラームス・オマージュだから高音楽器が無いのかどうかなどというコンセプトについては不勉強につきわからず、もう一度聴きたいなというのはありますね。
つづく歌曲2曲、これも一度だとわかりません。スタイルとしてはオーソドックス風味はありますが、カンブルランさんもリームをもっと取り上げてくれていれば興味ももっとわいたかもしれないが、でも他の現代音楽作曲家も取り上げてくれているのでその一つととらえて興味を掻き立てさせてくれたわけですね。
カンブルランが取り上げてくれた現代音楽系の作曲家の作品ではこのリームが一番インパクトが少ない。
選曲の多様な妙はカンブルランのものですが。
おわり