河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1650- 池辺晋一郎、鹿鳴館、飯森範親、東フィル、新国立劇場、2014.6.21

2014-06-22 02:25:04 | オペラ

2014年6月21日(土)2:00-5:20pm 

  プレイハウス、新国立劇場

リバイバル公演
新国立劇場 プレゼンツ

三島由紀夫 原作
池辺晋一郎 作曲
鵜山仁 演出

鹿鳴館
 前奏4′+第1幕33′+間奏2′+第2幕48′
 Int30′
 第3幕41′+間奏1′+第4幕31′

キャスト(in order of appearance)
1 影山朝子、大倉由紀枝
1 大徳寺季子、手嶋眞佐子
1 大徳寺顕子、高橋薫子
1 宮村則子、鵜木絵里
1 坂崎定子、池田香織
2  草乃、山下牧子
3  清原久雄、鈴木准
4  清原永之輔、星野淳
5 影山悠敏、黒田博
5 飛田天骨、早坂直家


新国立劇場合唱団
飯森範親 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団


三島由紀夫の文庫本を買ってあらためて読もうと思いつつ、舞台のセリフ本ですので、この上演は日本語の歌ですが字幕スーパーがつくし、あえて読む必要もなし。予習要らないのが字幕スーパーのメリットの一つ。文庫本は買ってしまったので、他の収録戯曲を読むか、と。
流れにまかせながら土曜の午後、ゆっくりと楽しもうと思ったのですが、3時間オーバーのヘビー級で、心地よすぎる疲れがグッとたまりました。

前奏や間奏は大河ドラマのような鳴り具合、幕中も劇的で劇風。概ね管弦楽が非常に雄弁、あわせる歌は日本語ですしスムーズな響きが心地よく耳をさする。
ストーリー展開に合わせてオーケストラが棘のように突き刺さる鳴り。第2幕、夜会のホストをするという朝子のワルツからエンディングへの流れ、お見事。たまって圧縮されていたものが解放される、こうゆう音楽展開はカタルシス的感興を聴衆にもたらすものだ。

後半の幕も激しく緊張を強いる展開が続く。奇妙なダンス、ミステリアスな雰囲気、赤の閃光、白黒衣装の舞台、妖しげな色模様。グイグイと引き込まれていく。
鹿鳴館のもはや偽りのワルツが激高し、そしてピストル音。音は伸ばされ果てるようなエンディング。いやぁ、なんだかとっても素晴らしい充実の緊張感。


この公演は中劇場で上演。舞台の上にさらにもうひとつ小さな回り舞台がある。字幕スーパーは舞台の上のほうに横に。いわゆる字幕スーパー付きオペラ上演の初期の頃と同じ。この条件だと2階席のほうが観るにはベター。中劇場2階最前列は遮るものもの無く角度的にも最高でした。
舞台は、シルエットは赤が基調。ダンサーは赤、白、黒の衣装。そしてたくさんの菊、摩訶不思議な三島ワールド。劇の始まりというのはいつも奇妙で、空気が少しずつ変化していく。乱歩の迷宮の世界にすぐにでも飛び込んでしまいそうな歪みのディメンション。劇とともに動く鋭い音楽。間延びせず、圧縮感はそのまま充実の音楽劇。短いワルツも魅惑的。

最後のほうで、政治政治政治、というけれど、権力権力権力という感じかな。でもそれはメインテーマではないな。愛憎劇。
大詰めの段になって政治家ライバルを「君」づけにして双方の立ち位置的なものが明瞭となりますが、この劇の展開なら最初に「君」付けにして然るべきかと思います。いずれにしてもぞっとするような三島な世界、よくできているプロダクションだと思いました。
飯森はクリアでメリハリがあり、いい棒でした。
印象的なワルツはラヴェル風シュトラウスかな(リヒャルトの)。
おわり


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