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本の紹介です。
上下の2冊でかなり分量です。
ハードカバーで見た目はそんなに厚さを感じさせない本ですが、読み終えるまで結構時間がかかりました。
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タイトル:
帝国・メトロポリタン歌劇場
~桟敷をめぐる権力と栄光~
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原題:
Molto Agitato
The Mayhem Behind the Music at the Metropolitan Opera
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著者:ジョアンナ・フィードラー
Johanna Fiedler
訳:小藤隆志
カワイ出版
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出版:2001年(オリジナル)
日本出版:2003年10月1日
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上下・各¥2,200
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ページ:
上213(注釈/参等含め247)
下215(注釈/参等含め247)
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歌手、指揮者、演出家、支配人、裏方、等々の権力闘争、我がまま、歴史、いいことわるいことが時間の流れ、歴史の流れの順序に沿って書き塗られている。
章立てでその単位ごとに一人の人物にスポットをあてながら裸にしていく。
キャサリン・バトルなど木端微塵にボロクソもいいところだ。
日本で有名になったのはそのうわべだけで、あまりにもひどい人物像にさすがにこれが真実なら、人間か、といったところだが、河童的には芸術の表現という、うわずみだけ観るのも別に悪いとは思わない。
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ただ、アーサー・フィードラーの娘ジョアンナであるが、この著者はニューヨーク在住ということで現場に足繁く通っていたと思われるのであるが、それにしては引用があまりにも多い。というよりもほとんど全部とは言わないが大部分が新聞記事や音楽雑誌の引用、参考文献の引用、である。
だからバトルをボロクソに言っているのも何かの引用にすぎない。
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河童のブログを盗作したのではないかと思われるぐらい完璧に同じ内容の文が、
下巻の第26章
芸術監督ジェイムズ・レヴァイン
78ページから81ページ
にかけて出てくる。
河童ブログで3回にわたり書いたものとそっくり。
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上記河童ブログは当時のニューヨーク・タイムズの評を訳したものだから同じものを見て同じように書けば同じになる。
唯一の違いは、ジョアンナは日本語に訳す必要はなくて、日本の専門家が翻訳したもの。河童ブログは河童が訳したもの。その優劣はつけがたいが、音楽にくわしいぶんだけ河童のほうの訳が滑らかな箇所があるようだ。
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モルト・アジタート
なかなか面白い本でした。
おわり
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