書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「非軍事化と『民族浄化』に関する中国政府のコメントに対する中央チベット行政府の返答」 から

2009年09月10日 | 抜き書き
▲「ダライ・ラマ法王日本代表部事務所」2009年9月5日、Tibet.Net、櫻木晴子訳。 (部分)
 〈http://www.tibethouse.jp/news_release/2009/090905_cta.html〉

 2009年08月27日「『中国、チベットの遊牧民5万人を定住させる 新華社通信』 から」および、2009年09月08日「梅棹忠夫 『梅棹忠夫著作集』 2 「モンゴル研究」 から」より続き。

 中華人民共和国憲法の第4条は、「地方自治は、各少数民族の居住区で実施される。これらの地域では、自治権を行使するために自治機関が設置される……全ての民族は自由に自らの口語や文語を使用、発展させ、風習や慣習を保存、改良することができる」と定めている。また、チベット人が言語、宗教や文化に基づいた独自のアイデンティティーを保存することができるとも保証している。しかし、チベットへの継続的な中国人の流入は、チベット人のアイデンティティーのみならず、チベット人の存在そのものを脅かしている。従って、中華人民共和国憲法第4条の狙いや目的が達成できるように、このような人口移動は中止するべきである。

 結局は、いくら良いことでも当の本人が嫌がることはするなということ。
 ただ、これまでもそうだったが、チベット人のチベット内に居住する非チベット人(たとばメンパ族)にたいする蔑視と迫害()や、あるいは同じチベット人でもカム地方のカムパ人に加えてきた差別はどうしたのか、そしてどうするのかという問いには、やはり答えていない。

 :チベット人の他の少数民族に対する蔑視と迫害については、李奈著/韓美津訳 『チベット 旅の百日』(中央公論社版 1993年2月)の113頁・142-143頁に言及がある。