くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「時をこえる仏像」飯泉太子宗

2012-09-19 20:22:18 | 芸術・芸能・スポーツ
 芳家圭三「壊れた仏像直しマス。」(芳文社)の二巻を読んでいて、この本について書いておくのを忘れていたことに気づきました。もう、7月に読んだのに、忙しさに紛れてつい……。
 飯泉太子宗「時をこえる仏像」(ちくまプリマー新書)。ブックポイントで購入。
 「壊れても仏像」がおもしろかったので、手持ちにほしいと思いまして。ちくまプリマーは、中学生でも読めるように編集されているので、そういう点でもおすすめです。
 仏像修復の作業について具体的に書いてあるのですが、例えば十二神将の修復依頼がきたときは、形の特色を見ながら紛失したものを新しく作ることもあるとか。時代や仏師によって特色も異なるので、同じ系列のものがあると参考になるそうです。
 それまでに何度か修理されているものだと、同じ人に直されているのがわかる場合も。
 中には取れてしまった手を「木工用ボンド」でつけてしまう大胆な人まで。でも、部分的なものが散逸していまうよりはよっぽどいいそうです。
 修復のことを誤解して、新しく自分のセンスで彫り直してしまう人とか。仏像は文化遺産でありながら実用品でもあるのだから、できる限りもともとの姿に戻してやりたい。直しているうちに、過去に塗り直してイメージが変わったことが分かることなどもある。
 執筆中には東日本大震災があったため、そのときに壊れてしまった仏像の依頼も少なくないようです。ガソリンがなくて運びにいけなかったと聞くと、わたしも当時のことをまざまざと思い出しますね。なんというか、世界を変える事件だったと。あれ以降出版された本にも影響はあると思います。眞鍋さんの本にも被災地訪問の話題がありましたね。 
 そういえば、広隆寺の弥勒菩薩も、造られた当時はもっときらびやかだったみたいなんですって。今の仏像の見方とは違うかもしれません。高校の修学旅行、拝観停止でこの仏像が見られなかったことがいまでも心残り。薬師寺(だったかな?)の聖観音像が素敵でした。


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