くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「市立ノアの方舟」佐藤青南

2016-09-19 18:27:42 | 文芸・エンターテイメント
 関東の片田舎にある野亜市。市役所でアミューズメント施設の誘致を企画していた磯貝は、市長が入院したために突然動物園の園長にされます。
 これまでとは全くの畑違い、さらに職員はこれまでの園長の日和見主義に辟易しており、前途多難です。何より入園者は年々減っていて、このままでは廃園の危機?!
 一癖もふた癖もある飼育技術者たちが、磯貝のアイデアを認めて変わっていくのがおもしろい。佐藤青南「市立ノアの方舟」(祥伝社)。
 動物園ものも青南さんの作品も好きなわたしには、非常に楽しめました。
 日本で最初にコアラを展示した動物園のひとつでありながら、餌代がかかるため譲渡。しかし、看板などにはまだイラストが残っているというので、モデルになった園があるのかとつい検索してしまいましたよ。

 磯貝が園内をまわると、土産物屋には園にはいない動物のグッズもあって売れ行きはよくないとか。
 ランチはレトルトカレーあけるくらいのことしかできないとか。
 そういうことをひとつひとつ解消していくのです。
 後半、オオフラミンゴとチリーフラミンゴがつがいになってしまったため、卵を奪わなければならない苦悩が描かれます。
 動物園動物は、野生下のものとは違うということも。
 職員体験にきた中学生たちの問題も、印象的でした。いじめられるのに、一見仲良し三人組に見えるというのは、確かにありそうですね。