くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「江ノ島西浦写真館」三上延

2016-09-17 21:10:38 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 江ノ島かぁ、行ってみたいですね。
 三上延「江ノ島西浦写真館」(光文社)です。西浦写真館は、主人公桂木繭の祖母の富士子が営んだ店で、百年もの間人々の暮らしを写してきたのです。
 しかし、富士子は亡くなってしまう。
 一緒に遺品を整理するはずだった母に仕事が入り、一人やってきた繭は、写真館に住みつく「管理人」と「猫」を知ります。
 さらに、現像したものの渡せずにいた「未渡し写真」の入った缶を見つけ、依頼者に返さなければ、と動くことになるのですが……。

 繭はかつて写真家を目指していましたが、大切な幼なじみと写真が原因での別れを経験し、カメラとの接触を断っていました。
 最初の事件で関わった青年秋孝とともに過ごす中で、これまで心にしまってきた出来事と向き合うことになった繭。
 三上さんらしく、爽やかな中にもダークな展開でした。
 ほとんど出てこないのに重要な役割のお母さんや、思い出の中の富士子さん、秋孝の抱えるものなど、印象的です。
 
 ところで、栞子さんの新刊はいつ……?