くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ルームメイト」今邑 彩

2013-07-22 22:05:57 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 「七月十九日。朝、起きると、西村麗子はすでに起きていて、ダイニングルームで、テレビのモーニングショーか何かを観ながら、トーストをかじっていた」
 というのが、この作品本編の書き出しです。かじるという字がスマートフォンでは出せませんでした。この前にオープニングがあっての始まりなんですが、もうしばらく読むと、今度はこんなふうに書かれています。
「七月十九日。金曜日の夜だった」
 まさしくこの日、七月十九日の金曜日だったのです。いや、それだけのことなんですけど……。
 今邑彩「ルームメイト」(中公文庫)。わたしはこの作品を新書版でもう二十年も前に一度読んでいます。仙台駅の東口にある図書館で借りたんですよね。井上夢人さんの作品と混同していた部分もありますが、ネタとしては忘れられなかったため、今回は伏線やミスリードを誘う場面がよくわかりました。
 この文庫を買ったのは、もう四年ほど前。授業でブックトークをしたときにある生徒が最近読んだと紹介していて、なんだか懐かしくなって。でも、読み返すとずいぶんスプラッタな感じがありました……。
 二十年前、わたしは猛烈に今邑さんの作品にはまったことがあり、「つきまとわれて」だの「蛇神」だの「鋏の記憶」だのを読んだものです。このところ、しばらく流通していなかった文庫がまた出るようになって嬉しかったんですが、今邑さん、先日亡くなられましたね……。
 「ルームメイト」は、「二十四人のビリー・ミリガン」をモチーフに描かれています。と書くと、かなりネタばれになってしまうのですが。
 わたしも読みました。今思えば、この時期は多重人格のものが流行っていたような気がします。だからこの作品でも、多重人格は幼少期の虐待をやり過ごそうとすることが要因だろうと工藤は思うんです。
 あぁ、ネタばらしだけであらすじが後回しになってしまいましたね。
 西村麗子とふとしたきっかけで知り合った春海。二人で広い部屋を借りることにしますか、ある日、麗子が姿を見せなくなって……。困惑する春海は、先輩の工藤に相談します。
 工藤はいとこのフリー記者武原とともにその足取りを追うことになります。
 なんかまとまりませんね。つづきはまた。