どこの国も国益を優先させて行動しているのであって、それを理解しなければとんでもないことになる。プーチン大統領が昨日、ウラジオストクで発言したことは波紋を広げている。「前提条件をつけずに年内の平和条約締結」という我が国への提案は、あまりにも唐突であった▼プーチン自身も思いつきであることを認めている。なぜ今そんなことを口走ったかについて、日本側も分析をする必要がある。日ロのこれまでの交渉を無視するような暴論でしかないが、本心はもっと別なところにあるのではないか。現在の不自然な状態を解消さえすれば、今後領土問題への歩み寄りもあるのではないか。日本が経済協力を惜しまなければ、それ相応の用意があるとの意思表示の可能性もある▼海洋国家である日本は、ヨーロッパからアジアにまで及ぶ大陸国家のロシアとは、利害が必ずしも一致しない。しかし、目下の脅威は中共であって、ロシアではない。中ロを分断することは外交戦略上も重要である。そこで安倍外交の手腕が問われるのだ。長州の先人である伊藤博文は親ロシアであった。それを意識しているかどうかは分からないが、安倍総理はプーチン大統領との首脳会談は、今回で22回目となった。相手が投げて来た変化球をどう打つかである。無理してホームランをかっ飛ばせなくても、ライト前の安打でもいいから、塁に出なくてはならない。ここで物怖じしてはならないのである。
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