日本人はようやく自分たちの歴史を取り戻しつつあるのだろう。昨日の安倍首相の戦後70年談話がそのきっかけになると思う。安倍首相はまず「歴史の教訓から未来への知恵」を学ぶ必要性を強調するとともに、十九世紀の欧米の植民地支配に抗するために、日本がアジアで最初の立憲政治を打ち立てたことや、日露戦争の勝利によって植民地支配にあったアジアアフリカの人々を励ましたことに触れた。かつての日本はアジアの希望の星であったのであり、戦後はそれすらも封印されてきたのである。しかし、その後は世界恐慌にともなう経済のブロック化が進んだことで日本経済は大きな打撃を受け、その解決策として戦争の道を選んでしまったことにも言及し、「戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます」と頭を垂れた。その上に立って「七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」との決意を表明したのである。特筆されるべきは安倍首相が「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と言い切ったことだ。だからこそ今回の談話となったのだろう。戦後七十年のけじめの年にあたって、日本人が自分たちの言葉で反省すべき点は反省し、目指すべき今後の国家像を明らかにした意義は大きい。安倍首相の勇気を讃えたい。
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