アベノミクスの真骨頂は、国民全体の生活を豊かにすることにある。そのためにも、利益を出した企業は、社員に還元しなくてはならない。新自由主義であれば、会社は株主のものであり、社員は二の次である。それでは消費が増えるはずもなく、景気は良くならない。アベノミクス効果で、円安で株価も上がってきており、世の中全体が明るい方に向かいつつある。今後の焦点は、どれだけ国民の所得が増加するかである。安倍晋三首相は去る12日、首相官邸で行われた経団連、日本商工会議所、経済同友会との「デフレ脱却に向けた経済界との意見交換会」の場で「経済界には、業績が改善している企業の報酬引き上げをぜひお願いしたい」と要請した。「社員あっての企業」との考え方にもとづいており、新自由主義とは真っ向から対決する。自民党内が安倍首相の方針で一致しているわけではないが、株主の配当金を増やすことに血眼になるというのでは、いつになっても、暗いトンネルから抜け出せないのである。野口悠紀夫は『1940年体制(さらば戦時経済)』において、社員を大事に考えるのは、日本の悪しき慣行であるかのような言い方をしている。「経済学の教科書にある『企業』は、株主が所有する利潤追求のための組織であり、従業員は契約に基づいて『雇われる』に過ぎない。しかし、日本の企業は、これとは異質な社会組織である」と決めつけたのだった。「経済学の教科書」といっても、あくまで新古典派経済学のセオリーでしかなく、景気回復にもつながるためにも、まずは社員を大事にすべきだろう。
←アベノミクスを支持する方はクリックをお願いします