再読です。
『全核兵器消滅計画』中島彰著(2005年/講談社)。
最初に読んだのは2011.3.11の原発震災直後でした。再読により再発見があることに気付かされました。良書はもう一度読み返されることいいですね。
今回は、「巨大な加速器」からニュートリノ(素粒子)を発射することで核兵器を無力化する壮大な研究をされている菅原寛孝氏(総合研究大学院大学理事)のことが印象に残りました。
世界政府の理想は険しいが
第二次大戦後、「世界連邦のための世界的な運動」にアインシュタイン、湯川秀樹、ラッセルら推進に関わってきた。残念ながら広がり間見せていない。世界人造語のエスペラント語の普及にも似て「世界」や「国際」と銘打ったものは理想主義的ではありますが、どうも現実の損得社会では広い支持を得るには至らないですね。苦難の道です。
本書では、もしも核兵器を廃絶する「巨大加速器」が誕生したなら、それを一国が保有すると攻撃兵器にさえなりかねない。それには世界政府がどうしても要る。核保有国主導の今の国連では無理があるだろう。加速器を管理コントロールするには世界政府が必要条件。世界政府構想に核消滅構想が結びついた時に2つの構想は輝き全核兵器の消滅に向かう。
科学者、菅原寛孝氏はこの計画を「物理学者の一員として先輩方が犯した罪を償いたかった」としています。ここで菅原寛孝氏とはどんな人物なのか改めて検索してみました・・。するとなんと「ポポロの広場」(現ポポロ通信舎)の2011年4月25日「全核兵器よ、なくなれ!」も出てきました。当方このブログをアップしたことはすっかり忘れていました(汗)。
ニュートリノは構想段階に過ぎません。福島第一原発事故の沈静化には間に合いませんでした。ただこうした構想は大切に育てなくてはと思います。研究予算を十分に計上するだけの価値があります。そしてこの構想の担い手は、核兵器を持たない国、世界唯一の被爆国の日本の研究者にゆだねるのが一番と思います。
核廃絶の一つの解決策を示唆しているようで、少し明るい気持ちにさせられました。
「なぜ核は、原子力兵器はなくさねばならないのか。それは核が個人を殺すだけでなく、人類そのものを絶滅させかねないからだ。今、世界には2万発の核兵器が存在する。これらの核の脅威によって、地球上の60数億の人類は常に危機にひんしている・・」(本文より)
【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔
全核兵器消滅計画 | |
中嶋彰 著 | |
講談社 |
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