ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

脱原発、イマイチの『Newton』誌

2011年11月29日 | 研究・書籍

月刊誌は早2012年の1月号が並んでいる。

発刊30年になる科学誌『Newton』1月号。新春号の特集は「知っておくべき電力とエネルギー」。3部構成。プロローグでは「原子力の安全性が絶対でないことがだれの目にも明らかになった以上、この先原子力発電に多くを依存するのは現実の問題として困難な状況」・・「多くを」にまだふっきれないものを感じるがまあよい。しかし「とはいえ現状では電力の30%をになう原子力発電がなければ電力の安全供給がむずかしいというのも事実です」と、ここに至っても原発依存をあきらめようとはしない。

Part1は電気の基礎知識。Part2では、様々な電力をNewton誌らしい視覚に訴えるグラフィックな形で解説。あるある、いろいろな発電方法・・「バイオ燃料」「太陽光発電」「風力発電」「地熱発電」「波力発電」「海流発電」「潮流発電」「海洋温度差発電」「中小水力発電」「太陽熱発電」「高温岩体発電」・・。

Part3では、めざす将来のビジョンとして蓄電池のメリットと電力網の改革を提起。当広場でも取り上げた「スマートグリッド」の構想」だ。ここでは各セル(細分化された電気系統)が互いに電力を融通し補完し合う「デジタルグリッドメーター」を用いたネットワークを紹介している。

ここまで前向きに進みながらも「これらのエネルギーが安全でない、使いにくいという問題が残されている・・」と。そしてむすびは「原子力発電所をある程度残すのか、火力発電所を増強するのか、自然エネルギーを大幅に導入するのか、ありがたいことに選択する余地が残されている」としている。この記述からして、あくまで原子力には未練があり選択肢から外せないようにも感じられる。人類、地球、自然と共存できないのが原子力発電。まず原子力発電に依存しないことを大前提にし、多数ある発電方法から未来を展望するべきだと思うのだが。

原発事故から8か月以上経つ中でこの間、友人知人と原発問題についてしばしば話題にしてきた。職業的には看護師、薬剤師、獣医師、検査技師のいわば理系、命を預かる医療系の人たちが意外に原子力依存傾向にあることを知る。Newton誌の論調と良く似ている。同誌のような先端と思われる科学雑誌でさえまだ脱原発には距離があるように。おしなべて「現実的には原子力がなければ、私たちの生活、経済が成り立たないのでは・・」という見方だ。実際は原発なしでも電力は十分足りてるのだが、これまでの国民への原発依存洗脳・宣伝の効果のすさまじさを改めて感じる。

最後に小出裕章先生の動画「8分講座」を聴き再度、「電力学習」をしてみたい。

Newton (ニュートン) 
2012年 01月号
ニュートンプレス

 

原発なしでも電力足りてる 小出裕章助教(京大)

 

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