ポポロ通信舎

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原子炉解体工法に研究者の夢

2011年11月18日 | 原発震災・原発問題

2011年新装版の書『原子炉解体』(1993年に既刊)。出稿は原子力推進に携わってくられた研究員の皆々さん。

タイトルからすると一見、脱原発の運動論かと錯覚しますが、この本は原子力技術による工学的な廃炉工法に関するものでした。

3月末、東京電力は福島第一原発1号機から4号機までの廃炉を宣言した。これから行われる廃炉工事とは一体どのようなものか、すでに日本ではJPDR(動力試験炉、茨城・東海村)での解体経験があります。世間の人たちと放射能認識には大きな溝を感じている原子力研究者。寿命の尽きた廃炉が世界的にも次から次。いよいよこれからの「廃炉の時代」に向けて正しい認識をもってもらいたいと著者代表の石川 迪夫(いしかわみちお)氏=日本原子力技術協会最高顧問)は語っています。

個人の家の解体でも同じことがいえますが、取り壊す工事に求められるのは「安全で、かつ安く」の2点。廃炉そのものによっては何も生み出されるものはなく、誰もが金をかけたくはない。そこで最終工程まで包括する「システム工学」の考えが必要となる。いわゆる3Kの解体工事はたいへんでご苦労なことと同情されるものの、世界各国の研究者達は大方の予想に反して、この作業工程を楽しみに変えている。むしろハイテクを駆使し、嫌な仕事はロボットにさせる。圧力容器を輸送容器に変えることもできる。放射能除染工事は環境浄化に役立つ。廃炉への道のりで、研究者はそれぞれの夢を追い求めているといいます。

JPDRは1986年から1990年に解体工事を行ったが、廃炉費用は約200億円。ちなみに米国のショッピングポート発電所(1989年解体)で9100万ドル(約120億円)。その金額は当然最終的には、一般消費者の電気代に上乗せされている。

石川氏は、「数年前までなら原子炉跡地はゴーストタウンにはならないでしょうというのが精一杯だったが、今は違う。胸を張って、放射能を取り除き跡地を再利用することができます」と。

原発に夢を抱き推進してきた研究者の方達と、今夜は論争する気はありません。本書に紹介されているような優れた日本の解体工法で、石川氏のその意気をもって全炉、完璧な廃炉工事の成功を願うばかりです。

新装版 原子炉解体 廃炉への道
石川 迪夫編著
講談社

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