Model 107

1985年の107
じっくり時間をかけてお気に入りの一台に仕上げます。

門司港駅舎 夜景観賞 5月15日 2019年

2019-05-23 | Weblog
保存修理工事が終了し2019年3月10日にグランド・オープンした門司港駅

その晴れ姿をこの目で見るのが今回のミッションの一つであります。

本年のゴールデン・ウィークは「10連休」という大イベントとなり、その後一週間ほどでまた九州旅行に10日間も出掛けるのはさすがに心苦しく、日程を縮小?しました。

例年なら鹿児島まで九州を一回りしていくところですが、明日は早々に姫路へと引き返します。



明るい時間帯(午後3時頃~)にホテルから徒歩で門司港駅に向かいます。*約15~20分くらいの距離です。

ホテルからシャトル・バスが運行されていますが、(それは4時45分が始発だったように記憶しています)それを待っているのでは時間がもったいないので早目の出発です。

ライトアップされた門司港駅を観賞するには早すぎるのですがそれには訳があります。

まず明るい時間帯に「ロケハン」を済ませておこうという魂胆です。

夜釣りなどでもそうですが、足場の明るいうちにポイントを確認するのがセオリーと聞きます。

夜釣りは危険が一杯ですからなおさらです。

ホテルから「大連通り」を歩きます。

途中に写真のような「ボラード《繋船柱“けいせんちゅう”》)*船を繋留するためのロープを掛けるフックのようなもの」が草叢に残されているのに気が付きます。

*オレンジ色の木魚みたいに見える物体です。

これを見ると昔の岸壁はここまであったのだと理解できます。



駅に到着し、まず夜間撮影の為の撮影位置とレンズの焦点距離とかを確認します。

「三脚を立てる位置はこの辺でよいかなぁ~」とぼ~っと考えます。

まだ「噴水」は運用されていないので、それとの位置関係はその時にアレンジすることにします。



こちらの写真は2011年9月13日に撮影した門司港駅です。

外壁は「ピンク色」です。

「なんでこの色なの?」と思いました。

ファサードには車寄せのための庇が取り付けられています。*赤矢印

屋根には飾りの手摺りのようなものは見当たりません。

大正時代に創設された駅舎とは趣が異なっているのが分かります。

2011年の旅行は…東京→北海道 宗谷岬→東京→九州 佐多岬 を一気に走ってみようという旅行でした。

日本の端から端まで一気に走ったらどんな感じなんだろう?という好奇心でした。

今から8年前ですから、まだそんなことをする気力も体力もあったのでしょうね。*もう無理です。

総走行距離は8000Kmを超えました。

オデ君と、がむしゃらに走っていた頃が懐かしいです。

8年前の写真も今回も、快晴の空に恵まれています。

お天気オジサンですからね…



こんなアングルもどうかなぁ~なんて見ています。

実際、夜景撮影では何箇所も撮影位置を変える余裕はありませんでした。

ライトアップされたら結構、荘厳な雰囲気が出せたかも知れませんね。

今度チャンスがあったらトライしてみます。



コンコースも観賞します。

ずいぶんとスッキリした印象を受けます。

左は「みどりの窓口」

正面はホーム改札口です。

「あれ?」と思いました。

以前、あった「柱」が見当たりません。



これです!

2011年撮影の写真には、コンコースにしっかりと設置されている円柱が写っています。

真鍮製板張りの円柱です。*ピカピカです!

「ずいぶん立派な装飾だなぁ」と強く印象に残っています。

戦時中、金属類の供出を免れる為、駅員が黒ペンキを塗布し難を逃れたそうです。

のちに、偶然ペンキが剥がれた箇所から金色に輝く地肌が現れその存在が知られることとなったそうです。

こんな大事なヒストリーを持つ円柱を撤去してしまったのでしょうか?



念のために夜間にもう一度、コンコースを撮影した写真です。

どう見ても、「あの円柱」は写っていません。

どうなってしまったのでしょうか?



こちらはファサード前に設置されていた上屋を撤去した際の鉄骨が場所を変え展示されています。



設置されたのが「昭和4年」と記されています。

90年ちかくも門司港駅の一部であったのだから、もう「オリジナル」と呼んでも良さそうですが…



関門連絡線連絡通路入口が今も残されています。

地下道を通って桟橋に向かったのですね。



この「監視窓」から怪しい人物を監視していた係員がいたということです。

今も空港などで運用されている「顔認証」を人の目が行っていた時代の遺物です。





みどりの窓口に残されているマントルピース

その両隣には黒漆喰を石膏で縁取った飾り壁が…

鉄道運行に関する告知文などを添付するものなのでしょうか?

黒漆喰にそんなものは貼らないか…単なる飾り壁なのでしょうか?

よく分かりません。



貴賓室への階段

先のみどりの窓口の真裏に位置します。

通路はまだ改装工事中で東口へは通り抜け出来ません。



2階の「旧次室」

貴賓室のVIPに随行する方の控えの間…です。



天井の装飾など格調高い仕上がりです。

格天井となっています。

鏡のようにピカピカに磨き上げられています。

シャンデリアはシンプルなデザインですが、非常に高いデザイン性が感じられます。

ベース部は機関車の動輪を思わせるようなデザインです。



本日は休業で中を見ることは出来なかった「みかど食堂」

店舗看板は動輪とレールがモチーフとなっています。



こちらが「貴賓室」

入口マットが「みかど食堂」となっているのは…

みかど食堂の利用客が「個室利用」する際にこちらのスペースが提供されるそうです。

竣工当時のみかど食堂の絵葉書が残されていて、この度の保存修理工事の参考資料として利用されたそうです。

この度の保存修理工事にあたり、当時の設計製図図面の存在が各方面に問い合わせられたそうですが、発掘は難航したそうです。

そうした中、意外なところから当時の設計図面が発見されました。

それはなんと!宮内庁公文書館だそうです。

大正天皇が門司港に行啓された際の警備用資料として使われた設計図が保存されていたものでした!



いかにも「貴賓室」を思わせる華やかさと重厚さがバランスする素晴らしい仕上がり。

格天井も高い格式のデザインです。

ローズ色の壁紙に真紅のカーペット

庶民の色彩感覚とは大きな乖離がありますが、これがVIPワールドなのでしょう。

当時工事を請け負った方が壁紙の余りを保存していて、今回の保存修理工事に際しその資料提供を受け、オリジナルの壁紙が判明したそうです。

テーブル周りに並べられた椅子は、ドイツ「トーネット社」製 曲げ木椅子だそうです。

トーネット社は 1819年に設立された 曲げ木技術を生かした家具製造の会社で 「曲げ木椅子」イコール トーネットを代名するほどの存在のようです。

今回の工事では、現地 THONET社から製品を取り寄せているそうです。

ネット・ショップでも貴賓室と同じデザインの座面がアイボリー革張りの製品が販売されています。

価格は カタログ価格(税抜): ¥123,000~¥148,000 となっています。

ダイニング・チェアーでこの価格はさすがに簡単には購入できない価格帯ですね。



真鍮製のドアノブ

シンプルなデザインですが格調の高さが伺えます。



同じくドアノブですが、こちらはクローム・メッキ仕上げのようなピカピカな外観となっています。



みかど食堂の来歴を説明するパネル



そしてメニュー

価格から推測すると、現在の営業メニューのようです。



駅舎2階の観賞を終えて記念入場券を購入しホームに出ます。

まずは「昼間バージョン」の入場券です。

門司港駅記念入場券は「昼間バージョン」と「夜バージョン」の2種類が販売されています。

夜間ライトアップ時にも使用するので2種類の入場券を購入しました。



「幸福の泉」と「旅立ちの鐘」

その向こうに見える石板は「ゼロ哩標」

ここでは、「ゼロキロ・ポスト」ではなく「ゼロ・マイル」です。



3.4番線ホームから、旅立ちの鐘方向を見ます。

動輪は 8620形 28627号機のものです。

蒸機に興味の無い方には何のことか分からないと思いますが…

8620形は蒸機の形式です。

28627は製造順を示す数字です。

付け番の計算方法は…万の位の数字×80 +(下二桁の数字-20)+ 1 が製造順番号となります。

28627号機は… 2 x 80 + (27 - 20) + 1 = 168

168 番目に製造された 8620形蒸気機関車 となります。

8620形は面倒臭いですが、D形やC形 など 昭和の蒸機はもっと簡単です。

D51200号機 は D51形蒸気機関車の200番目に製造された蒸機となります。

ちなみに C型蒸機は動輪が3つ 旅客輸送に適した高速走行が得意な機関車、D形は動輪を4つもち貨物輸送に適した力持ち機関車とされていました。



1番線ホームに設置された「鹿児島本線 ゼロキロ・ポスト」

門司港 - 八代間 営業キロ数 232.3 km は、ここから起算されます。



ホームに設置されている水道蛇口

ちゃんと稼動します。

ただ…前回も思ったのですが、ちゃんと固定すれば良いのに…プラプラしています。

以前は真鍮の地肌が露出していたと記憶していますが、なぜかブラウンのペンキが塗られています。

何か意味があるのかな?



さて…日中のロケハンが終了し、一旦ホテルに撤収。

温泉に浸かってからビール・タイムです。

お風呂上りにキンキンに冷やされたビールはたまりませんね!

良い感じです…注ぎ方も泡の立ち方も合格!です。

大丈夫ですよ! 今日は運転はしませんから…

夜はホテルのシャトル・バスで門司港駅まで送っていただきます。



さて…夜景撮影のゴールデン・タイム

ブルー・モーメントを撮影にやってきました。

昼間に購入しておいた「夜バージョン」の記念入場券

下見しておいた場所に三脚を立てます。



そして撮影した一枚がこちらです。

噴水はライトアップ中、何度も運用されます。

空色の変化を気にしつつ、利用客が途切れた瞬間に撮影します。

列車が到着すると、駅舎から利用客が大勢出てきますから、その間は撮影は中断です。

「空色」「噴水の形」「人影のない瞬間」 この三つのファクターがリンクする瞬間がシャッターチャンスです。

それと噴水ですが、あえてオフセットとしてみました。

北九州市などのホームページでも、噴水と駅舎ファサードがセンタリングした写真を多く見ます。

ちょっと表現が下品かも知れませんが、私は何となくセンタリングの構成が「ウォシュレット」を連想してしまうので、敢えてオフセットとしてみました。

それと大時計の文字盤がしっかり見えるようにセットしています。

大正3年 創建当時はこの大時計は無かったようです。

記録に残っているのは、昭和2年に撮影された「初代」 そして昭和30年に撮影された「2代目」 さらに昭和56年撮影「3代目」の写真が観光経済新聞に掲載されています。

初代大時計の文字盤にはメーカー名がぼんやりと写っています。

大正時代にこうした大時計を製造できるメーカーは限られていたでしょう。

九州鉄道の生い立ちからすると、ドイツのメーカーか…鉄道時計といえばスイスのメーカーか…想像は広がります。

3代目大時計のメーカーはシチズン(CITIZEN)です。



上の写真をクローズアップすると…時計の文字盤はインデックスまではっきりと写っています。

*ワンショットではなく、編集と合成はしていますが…

これをワンショットで撮影できる人はすごいと思います。

興味の無い方には全く無意味な話ですが…創建当時のオリジナルではないにしても、今は門司港駅のシンボルといっても良い大時計に最大限の敬意を払って撮影してみました。



こちらは同じ場所から iPhone で撮影したもの。

文字盤のインデックスは完全に飛んでしまっています。

撮影位置から見た両者の写真には大差は無いのですが、この大時計の姿をしっかり撮影したくて大嫌いな三脚を使用しました。

今回の記事は、以下のホームページの記事を参考に書かせていただきました。


九州旅客鉄道株式会社 建設工事部 施設課 門司港駅 修理工事について

「門司港駅」を3月10日にグランドオープン


現役の駅舎である重要文化財の工事とは




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